最高裁の裁判官も狙って出した!? 100年に一度の「猫の日」スペシャル

 ペット関連の法律に詳しい細川敦史弁護士が、飼い主の暮らしにとって身近な話題を法律の視点から解説する当連載。今回は「猫の日」にちなんで、先生の愛猫「ゴヤール」も登場する、ちょっぴり特別な内容でお届けします。

2年前に家族になった愛猫の「ゴヤール」。推定9歳の男の子

初めまして、ゴヤールです

 ご承知のとおり、2月22日は、猫の日です。

 そして、今年2022年は、さらに西暦に2が3つも並ぶことから、100年に一度の猫の日(「スーパー猫の日」とか「にゃおにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんの日」とでも言いましょうか)として、昨今の猫ブームと相まって、猫界隈に止まらず、大きな盛り上がりを見せています。

 それに便乗して、今回は、法律と全く関係ありませんが、わが家の猫「ゴヤール」(去勢済み・男の子)を紹介します。

 ゴヤールは、2年半前にやってきました。当時7歳と言われていましたので、今は推定9歳です。

 子どものころ、実家で猫がいる暮らしに慣れていたものの、結婚してからは生活スタイルの関係もあり、動物は飼っていませんでした。子どもが大きくなり、偶然にも再び猫との生活がスタートしましたが、やはりいいものです。ゴヤールは人懐こいので、ブラッシングをしたり、たまにお腹にモフったりします。

前足でツンツン、上手にビリヤードするヤール

 と、飼い猫の話だけで終わってしまうのもどうかと思うので、このあたりで閑話休題、猫の日に思い出される「猫の里親詐欺訴訟」について書きます。

保護猫を発端とする集団訴訟

 さて、猫の日にちなんだエピソードで、個人的に忘れられないのは、私が若手弁護士の時代に初めて関わった動物関係の裁判、「猫の里親詐欺訴訟」です。ある女性が数カ月の間に数十匹もの猫を十数名のボランティアから別々の機会に引き取り、猫は忽然と姿を消してしまった――という事件で、詳しい内容については、過去の記事で紹介していますので、そちらもご参照ください。

 被害に遭ったボランティアたちが団結し、猫の返還と損害賠償を求めて民事訴訟を起こしました。終生飼養の意思がないのに多数の猫を騙し取った事実を認定して慰謝料請求を認めた第一審の大阪地裁判決、さらに猫の引き渡し請求も認めた第二審の大阪高裁判決を経て、被告女性側から最高裁に上告されました。 

権威ある最高裁判所で

 最高裁判所といえば、言わずと知れた、日本の司法の最高機関である裁判所です。ときどきテレビなどでも紹介されていますが、重厚かつ荘厳な雰囲気の建物で、弁護士であれば、一度は法廷に立って弁論をしてみたいのではないかという特別な場所です。私も20年以上弁護士をやっていますが、これまでご縁はなく、入ったことはありません。

 そのような権威ある最高裁判所に、保護された猫の返還や慰謝料を請求するという集団訴訟が係属したわけです。これだけでもなかなかのことです。

ごろんとする猫
最高裁判所に、保護された猫の返還や慰謝料を請求するという集団訴訟が係属。「すごいことですにゃん」

 民事訴訟では、判決の言い渡し日に当事者(とりわけ代理人弁護士)が出てくることは稀なので、裁判所は、特に申し出がない限り、当事者の都合を聞かずに判決日時を決めることが一般的です。これが最高裁になると、当事者が裁判所に呼び出されること自体が極めて稀なので、最高裁が記録一式を引き継いでから、3カ月後、半年後、あるいは1年以上経ったころに、突然、決定書が郵便で届くというのが普通です。

決定日は2月22日

 このように弁護士では全くコントロールできる余地のない最高裁判所が、この里親詐欺事件について上告棄却の決定をしたのが、平成20年2月22日、ちょうど「猫の日」でした。さすがに100年に一度ではありませんが、年号にも2が並んでいます。

まさに猫の日、平成20年2月22日に「猫の里親詐欺訴訟」は上告棄却が決定した

 最高裁判所の裁判官たちが、「この事件、もうすぐ猫の日が近いから、それにあわせて出そうか」と協議をしたとまでは思いませんが、口には出さなかったとしても、裁判官の誰かや、手続事務を行う職員たちの誰かが心の中でそんなことを思ったかもしれない――と想像すると、少しクスリとします。ただの偶然なのか、それとも必然だったのか……。

 最高裁での幕引きを含め、思い出深い事件の一つなのです。

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細川敦史
2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。民事・家事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。動物に対する虐待をなくすためのNPO法人どうぶつ弁護団理事長、動物の法と政策研究会会長、ペット法学会会員。

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この連載について
おしえて、ペットの弁護士さん
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