飼い主が盛り上げるほど冷めていく… 柴犬に知らんぷりされず遊ぶにはサプライズ作戦
おもちゃを渡してもすぐ飽きる、一緒に遊ぼうとしても知らん顔、飼い主が盛り上がるほど冷めていく……。「柴犬とうまく遊べない」とがっかりしている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
「柴犬は飼い主さんと遊ぶことで、仲間としての一体感を得ています」と獣医師の山下國廣先生。毎日の散歩や大好物のごほうびも、遊びの代わりにはならないそうです。今回は柴犬と楽しく遊ぶための方法を紹介しましょう。
柴犬と遊ぶメリット、遊ばないデメリット
犬にとって遊びのメリットは、体力の発散やストレスの解消だけではありません。犬が飼い主さんと仲間としての一体感を得て、家族(群れ)としての共同生活を営んでいることを実感できる大切なもの。とくに柴犬は飼い主さんから関わりをもとうとしなければ、「飼い主はただの同居人」と思うようになります。遊ばないことで、心理的な日々の交流が少なくなるのが大きなデメリットでしょう。
たとえば散歩のときに自由に歩く柴犬の後ろをついて行くだけになっていませんか?また、おやつを与えることをコミュニケーションだと思っていませんか?
犬と双方向の交流ができてこそ、コミュニケーションですよね。まずは暮らしの中に遊びを取り入れて、柴犬に「飼い主は楽しい存在だ」と伝えることから始めましょう。
柴犬におすすめの遊び方1 狩猟ごっこ
そもそも犬の遊びとは、成長してから行う「狩猟」や「格闘」の予行練習です。家庭犬からは想像がつかないかもしれませんが、オオカミやライオンといった野生の捕食動物が遊ぶ様子をイメージするとわかりやすいのでは?
狩猟の一連の行動は「においで獲物を探す→見つける→追いかける→捕まえる→かみつく→仕留める(最後は食べる)」というもの。獲物の代わりにおもちゃでかなえてあげましょう。犬によって好みがあるので、愛犬が気に入るおもちゃの素材を見つけることも大切です。
また、犬にとって安全な素材を選ぶことも重要。たとえば引っ張りっこ遊びに使う場合、ナイロン製のロープをかみ続けると歯が摩耗する可能性があるので、木綿製がおすすめです。
柴犬におすすめの遊び方2 格闘ごっこ
じゃれ合いは生きるためにライバルと戦う予行練習です。柴犬はプロレスごっこのようにスリリングな遊びも取り入れたほうが喜びます。柴犬が飼い主さんにじゃれがみをすることがあるので、素手よりもおもちゃや厚手の手袋を使ったほうが思い切り遊べます。
犬は相手を遊びに誘うとき、前脚を下げてお尻を上げる「プレイバウ」という姿勢になります。相撲の立ち合いの姿勢に似ていますね。飼い主さんが柴犬を遊びに誘うときにまねしてみましょう。格闘ごっこの遊びは、追いかけたり追いかけられたり、勝ったり負けたりするのを短時間で繰り返すのがコツです。
柴犬に知らんぷりされない遊びの誘い方
おもちゃにすぐ飽きたり、誘っても無視されたりするのは、“柴犬あるある”です。柴犬の飼い主さんからよく聞く遊びの悩みを解決するヒントを紹介します。
・おもちゃを見せても知らん顔
おもちゃを「はい、どうぞ」と渡すだけでは楽しいサプライズにはなりません。犬にチラッと見せて興味を引きつけ、獲物のようにサッと動かしてみましょう。おもちゃにひもをつけて動かすのもおすすめ。
・新しいもの好きですぐに飽きる
飼い主と一緒に遊ぶためのおもちゃを出しっぱなしにしているとすぐに飽きます。与えっぱなしにすることで所有性攻撃を誘発することも。普段は犬の届かないところに片付けておき、一緒に遊ぶときだけ取り出してください。
・遊びに誘うタイミングがわからない
犬はもともと薄明薄暮性の動物で朝晩に狩猟などの活動をしてきました。犬本来の生活リズムに合わせて朝晩の散歩の最中に遊びを取り入れれば、飼い主(群れの仲間)と出かけて遊ぶ(狩猟する)ことになります。また、犬が飼い主さんと共同生活を営んでいる気分になるのでメリットも大きいのでは。
・飼い主が盛り上がるほど冷める
柴犬が遊びたい気分ではないときや飽きているときに、飼い主さんが盛り上げようとするのは逆効果。遊びは犬が楽しんでいるピークのときに終わりにします。たとえば引っ張りっこ遊びを3分で飽きるなら1分で終わり。持ってきて遊びを3回で飽きるなら1回で終わり。数分でいいので時間を置いてから遊びを再開するのことを繰り返せば長く楽しく遊べます。
・犬が遊びに誘ってきたらどうする?
犬と一緒に遊ぶことが定着しているなら誘いに乗ってもかまいません。そうでない場合は、誘われても3回に1回こたえるくらいにして、あとの2回は知らんぷりしておきましょう。毎回ではないほうが楽しいサプライズになり、意外なワクワク感につながります。
・子犬との遊び方がわからない
子犬のいたずらはすべて遊びです。いたずらを叱って禁止するのではなく、飼い主さんが困らない遊びに変えましょう。発想を転換させるだけで犬との共同生活が豊かになります。
・シニア犬でも遊べる?
6歳すぎころまで遊んだことがない柴犬は、誘っても遊ばないかもしれません。歳を重ねるとそれまでのルーティンワークとは違うことをだんだんしなくなるからです。シニア犬に遊びを教えるなら、特定のにおいをつけた容器に大好物のオヤツを入れ、どこかに隠して探させる「宝探しゲーム」のほうが向いています。犬がおやつを探し当てたときに飼い主さんが一緒に「やった!」と喜ぶことで、犬は共同作業をしている気分になります。
寝てばかりの柴犬に遊びでサプライズを
欧米の犬種は人間の作業を手伝うために改良されたので、好きな遊びや得意な行動がはっきりしています。たとえば鳥猟犬のラブラドール・レトリバーは、獲物を回収するようにおもちゃを持ってくる遊びが大好き。牧畜犬のウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、家畜を追いかけるようにおもちゃを追いかけて嚙む行動が出やすい犬種です。
柴犬はいろいろな行動をオールマイティーにできる代わりに、全体的に意欲が低いタイプもいます。怠けているわけではなく、体力を温存していざというときに備えているつもりなのでしょう。しかし日常生活の中でいざというときはほぼ起こらないので、寝ているだけになってしまいます。飼い主さんとの遊びをサプライズにして、日常生活の中に楽しいワクワクを加えましょう。
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- 監修:山下國廣(やました・くにひろ)
- 獣医師、軽井沢ドッグビヘイビア主宰。科学的なアプローチと犬の立場に立った発想で人と犬のコミュニケーションをサポート。家庭犬の問題行動治療、しつけ方指導、トレーニング指導のほか、里守り犬(モンキードッグ)など野生動物対策犬の育成指導も行う。愛犬のすぐり(甲斐犬)を日本犬初の救助犬に育てて多くの現場に出動した。
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