2022年、解決を加速させたい猫問題 猫と暮らしていなくてもできること

保護猫
なんとも個性豊かな猫たち。アニドネが支援している「特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道」で保護され里親募集中の子たち(記事掲載時点)

公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)」代表理事の西平衣里です。2022年2月は、2(にゃん)がずらりと並びます。来たる2月22日2時22分の瞬間をどう過ごそうかしらとわくわくしているのは、私だけではないはずです(笑)。記念すべき猫月間に、最近の猫問題をお伝えし、そして猫と暮らす以外にも猫のためにできることを考えてみたいと思います。

まず解決すべきは“幼齢猫問題”

 私がアニドネを立ち上げた2010年、保健所や動物愛護センターなど、行政が行う不要犬猫の引取数は24万9000匹でした。そして、悲しいことにその82%が殺処分になっていました。最新のデータでは、引取数は約3分の1となり、7万2433匹。殺処分率も減り32.8%となっています(※)。その中で、幼齢猫、いわゆる生まれたばかりの赤ちゃん猫は、1万30匹も処分されています。

子猫の世話
主に子猫をレスキューしている「一般社団法人 ねこたまご」。人間の赤ちゃんと同じく、2~3時間起きのミルクや排せつのサポートが必要

 飼い猫が赤ちゃんを産んでしまい育てられない、野良猫が軒下に産んでしまったから……など、まさか殺されるために生まれてきたわけではないであろうに、かわいい子猫が生きられない事象が日本全国で起きているのです。

※出典:犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況

一筋縄にはいかない問題解決

 幼齢猫が多く処分されてしまうことの一因に、野良猫が多いことが挙げられます。避妊去勢をして、不幸になってしまう猫たちが産まれないようにすることはとても大切です。また、飼い猫であったとしても適切な飼育をしないがために何十匹にも増え飼育崩壊に陥るということも起きています。これについては、全国で2149件もの苦情が報告されています(2018年環境省調べ)。

 猫は、暖かい気候の場所だと年に3回出産することもあります。外で暮らす猫は、常に飢餓と病気の危険にさらされ寿命は短く、決して幸せではありません。まずは命を産みだす猫たちのケアが必須です。

 次いで、アニドネが支援している保護団体さんも問題視しているのが“人も猫も高齢化問題”です。超高齢化社会の影響は猫にも及んでいます。飼い主が入院や体調不良で飼育困難となり手放すケースにおいて、多くの場合猫もシニアで、新しい飼い主が見つかりづらいということが多々起こっています。

 また、「住宅問題」も大きいです。最初は一緒に暮らすつもりはなかったけれど猫を迎えた。しかし、大家さんに許可はもらえず手放すことに、というのもよく聞く話。猫は多頭で飼育する方も多いですが、賃貸で数頭飼育可の物件数は少ないのが現実です。

老猫シェルター
最期は温かい腕の中で旅立たせてあげたいと、老猫シェルターを運営している「特定非営利活動法人 ファミーユ」。老猫たちがまったりと過ごすシェルターの様子

 さぁ、猫を取り巻く問題を知ってしまった猫好きのみなさん。なんとかせねば……と思いませんか?自分に何ができるのかを考え、一歩踏み出す2022年にしたいはず、ですよね!

一緒に暮らせなくても、猫のためにできること

 アニドネ的に言えば、全国民に犬猫との暮らしをしてほしいですが、もちろんアレルギーや住環境、仕事などで飼育は難しいなど事情はそれぞれでしょう。無理をして、かえって犬猫にかわいそうな思いをさせるくらいなら、飼育しない選択をおすすめします。であれば、何ができるのでしょうか?

 ①ボランティアを生活の一部にする
 ②情報発信をする
 ③寄付をする
 ④寄付付きキャンペーンに参加する

 保護団体さんで子猫のミルクボランティア(行政でも募集しているところもあります)にチャレンジすると、多少寝不足になるかもしれませんが、かわいい子猫と触れ合いながら命を救えます。地域猫活動をしている方と仲良くなって手伝いをするのもいいですよね。時間的に無理であれば、こういった現実をSNSで伝えていくのもいい策です。保護活動を頑張る団体を応援したい気持ちは、寄付サイト「アニドネ」をぜひご利用ください。

 今回具体的にご紹介したいのが、寄付付きキャンペーンです。実は、にゃん並びの2月にキャンペーンを実施する企業はとても多いのです。

猫愛は企業をも動かす

 「もともと猫グッズは人気なんです」と語るのは「株式会社パルコ」CRM推進部の西川なおみさん。パルコで運用しているオンラインストア「PARCO ONLINE STORE」限定で、「ねこグッズあつめてみました にゃんにゃんにゃん」を企画された方です。売上の2%が寄付になり、アニドネ経由で認定団体さんへお届けされます。

イベントチラシ
2022年2月3日(水)~2月28日(月)の期間限定オンラインストア。おしゃれでパルコらしい品揃え

「“2”が揃う『#猫の日』にちなんで、パルコでもできることはないかと考え企画しました。この期間限定のポップアップショップも登場しますので、ぜひオンラインストアを覗いてみてください!」。
 筆者は先んじて拝見しましたが、とってもテンションのあがる猫グッズが充実のサイトでした!

 次いでご紹介したいのが、「Tasty for Cats ねこのいない、ねこカフェ」です。新大久保駅直上のフードホール「Kimchi, Durian,Cardamom,,, (キムチ、ドリアン、カルダモン、、、)」が、2月2日(水)~2月27日(日)の期間限定でねこカフェに様変わりします。愛猫家で知られるダレノガレ明美さんが、カフェメニューや猫をモチーフにしたグッズ開発のプロデュースをし、収益の一部が寄付になるイベントです。

動物福祉的観点から「猫がいないカフェにした」と企画主催者のコメント。猫思いですね

 局名すら変わり、その日は猫が社長になるという筋金入りの猫好きTV局「BSテレ東」さん。2月22日(火)は、なんと1日猫番組の日となります。3年前から「保護猫に貢献したい」とありがたいお申し出を受け、「#BSキャッ東は多くの猫を救いたい」のリツィート数×2円がアニドネへの寄付となり、アニドネ認定団体へ届けられます。ぜひみなさんも一緒にご参加ください!

BSキャッ東
2月22日をお楽しみに!©BSテレ東

 最後にアニドネ主催の「STORY with PET」もご紹介させてください。今回で4回目の投稿企画です。自分の愛犬愛猫への思いを綴る、その思いを読む方が犬猫のすばらしさを知る、犬猫への優しい社会にしよう、という思いを込めた企画。私はこの投稿を読むのが大好きで、この企画はずっと続けていきたいと思っています。1投稿500円の寄付となり、総額50万円を団体さんへお届けしています。寄付はアニドネの運営費から拠出しています。

イベントチラシ
今回は雑誌『いぬのきもち』、『ねこのきもち』とコラボ。2月1日(火)~3月31日(木)まで実施

 毎回泣ける投稿が多く“涙腺崩壊企画”とも呼ばれています。大の大人が声高に「こんなに犬、猫が好き!」と言える場ってそうそうないかなとも思っています。ぜひ犬猫愛を文面にしてほしいと思います。同じ思いの人がこんなにいると知るだけでも、アニドネ活動の背中を押されてるようで、心強くなります。

 さぁ、2022年2月。猫たちのために、一歩ではなくぐっと歩みを進めてみませんか?よろしくですにゃ!

(次回は3月5日公開予定です)

[前の回]人生の一部を「社会のために」で彩ろう 好きからはじまる動物ボランティア

西平衣里
(株)リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊メンバー、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営を経て、アニマル・ドネーションを設立。寄付サイト運営を自身の生きた証としての社会貢献と位置づけ、日本が動物にとって真に優しい国になるよう活動中。「犬と」ワタシの生活がもっと楽しくなるセレクトショップ「INUTO」プロデユーサー。アニマル・ドネーション:http://www.animaldonation.org。INUTO:http://inuto.jp

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この連載について
犬や猫のために出来ること
動物福祉の団体を支援する寄付サイト「アニマル・ドネーション」の代表・西平衣里さんが、犬や猫の保護活動について紹介します。
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