きなこには兄弟がいた! 鬼退治には行っていない、あまあま猫の桃太郎

 実は、我が家の弟猫きなこには、兄弟がいる。名前は「桃太郎」。その飼い主は、会社の先輩Sさん夫婦。今回は、その顚末(てんまつ)を報告する。

(末尾に写真特集があります)

 以前にも少し書いたが、話はきなこをもらったときにさかのぼる。妻の友人の紹介で、きなこがわが家に来たときのことだ。当時は先代猫のソマが亡くなり、ジャッキー1匹だけだった。

 聞けば兄弟猫2匹がいるという。さすがに飼うのが3匹になると厳しいと思い、難病で猫を亡くしたばかりの会社の先輩Sさん(66)に声をかけた。最初奥さん(59)の方が「また亡くなってしまうといやなので、飼う自信がない」とのことだった。

 ところが……である。忘れもしない2016年11月上旬のこと。わが家のマンションの駐車場に2匹の赤ちゃん猫がやってきた。Sさん夫婦も車でやって来た。1匹は茶トラ、もう1匹は茶白。ともにオス。茶トラの方が、わが家に来た「きなこ」である。

「茶白ちゃんは、どうなるだろう?」と見ていたら、Sさんがすっと抱っこし、自分の車に入ってしまった。「寒いからかわいそう」と言って。奥さんは、戸惑いの表情。しばらくすると、真剣な顔をしたSさんは「それでは、失礼します」と言って、行ってしまった。奥さんは「え? え?」と言い、状況をのみ込めない様子だった。予想外の展開に、僕と妻は、その場に立ち尽くしてしまった。

 後にSさんに聞くと、「この機会を逃したら二度と猫は飼えない」と必死だったようだ。
「猫は出会いでしょ? 抱っこしたら飼うのが責任でしょ」と振り返る。

茶白猫
S家に来たばかりのころの桃太郎

 その後、茶白ちゃんは「桃太郎」と命名。鬼退治には行っていないが、Sさんの家の主となり、最大限の愛を受け、「猫生」を楽しんでいるようだ。

 桃太郎は、昼間は、奥さんに毛繕いされ、気持ちよさそうにしているそうだ。そうでないときは、奥さんのベッドで寝ているという。

 桃太郎は大のSさん好き。帰ってくるのを、今か今かと玄関で待ち続けているという。帰ってくると、お父さんにあまあま、スリスリする。夜は、そのまま一緒に寝るという。朝はトイレにウンチをしに行って帰ってきて、その臭いで起こすこともあるそうだ。

茶白猫
ベッドの上でくつろぐ桃太郎

 きなこは茶トラだが、桃太郎は茶白。顔を見ると、やっぱりよく似ている。でも、性格は少し違うようだ。きなこは「食事命」で、食事の皿の前で、じっと待ち続けているが、桃太郎は、そこまでではないらしい。ただただ、Sさん夫婦に甘えているようだ。

 Sさん夫婦は、これまで猫を2匹飼ってきた。15年生きたミーちゃんと、難病で3年7カ月で亡くなった玉三郎。ミーちゃんは母親的、玉三郎はお兄さん的な感じだったという。Sさんは、桃太郎はそのどちらとも性格が違うらしい。「猫らしい猫だね。のびのびと生きている」とSさん。奥さんも「桃ちゃん、一緒にいてくれてありがとう。夜、一緒に眠りにつくとき、深い幸せを感じます」と満足している。

茶白猫
Sさんのお腹でくつろぐ桃太郎

 一度だけ、きなこをSさん宅に連れて行き、「兄弟の対面」をさせたことがある。でも、お互いに隠れてしまった。桃太郎もきなこも、違う家庭だけど、幸せに育ってよかった。きなこ、桃ちゃん、これからも、よろしくね!

【前の回】愛猫「きなこ」の食いしん坊ぶりのその後 食事のあげ方を工夫してリバース対策

佐藤陽
1967年生まれ。91年朝日新聞社入社。大分支局、生活部、横浜総局などを経て、文化くらし報道部(be編集部)記者。医療・介護問題に関心があり、超高齢化の現場を歩き続けてまとめた著書『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)がある。近著は、様々な看取りのケースを取り上げた『看取りのプロに学ぶ 幸せな逝き方』(朝日新聞出版)。妻と娘2人、オス猫2匹と暮らす。妻はK-POPにハマり、看護師と高校生の娘たちも反抗期。慕ってくれるのは猫の「ジャッキー」と「きなこ」だけ。そんな日々を綴ります。

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この特集について
日だまり猫通信
イケメンのオス猫2匹と妻子と暮らす朝日新聞の佐藤陽記者が、猫好き一家の歴史をふりかえりながら、日々のできごとをつづります。
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