家の中には危険がいっぱい? 多頭飼育歴21年、ズボラじゃいられない猫との暮らし

箱に入る猫
「夏ですねえ…」夜になると降りてきてまったりするアル。蚊取り線香、物置にしまいたいんですが?(箱の中はビニールパッケージなっているので猫に害はありません)

 多頭飼育人生が始まって、早21年。慣れたつもりでも、日々、いろんなことが起こります。飼い主にとってはなんてことない「ついうっかり」でも、ひとつ間違えば猫の健康をおびやかすこともあるのです。

(末尾に写真特集があります)

夏本番!適温調節は階段で行うのが「しましま流」

 いよいよ梅雨が明けましたね。雨続きもうんざりでしたが、猛暑続きにもぐったりです。

 我が家のエアコンは夏の間中、ほぼ24時間稼働しっぱなし(1階リビングルーム)。最近のエアコンは切ったり・つけたりするよりもつけっぱなしのほうが省エネなようです。おかげで1階は見事に、ほぼ適温で一定です。が、2階はそうはいきません。寝室と各自の個室にしかエアコンがないため、ドアをあけないと廊下は冷えません。

 昼間はほとんど1階で過ごしますし、2階の廊下はサンルームを兼ねているので、そのほうが洗濯物がよく乾く、という利点もあります(笑)

 昼間の外気温が34℃だったある日。猫のアルとベルのしましまきょうだいが階段にいました。ベルは2階の階段の入り口に、アルはそこから2段下がったところに。

 (なんだ、そんなところにいたの)

 そう思いながら、トントンと階段を上がっていくと……

「あっっっつっっ!!」

 半分も上がったあたりから、歴然と室温が変わります。はっきり、空気の層ができているのです。シーリングファンが必死に回って、循環を試みてくれてはいますが、こうも暑いと追いつきません。

 どうやらアルは、あまり涼しすぎないほうがいいようです。

 一方、梵天丸やサビは、ちょっと熱くなるとパンティング(犬のようにハァハァと荒い息をすること)が始まるので、こんな日は必ず1階にいます。

また別の時間に見ると、アルもベルも違う段にいるので、彼らは移動することで適当に調節しているのでした。

階段にいる猫
階段の段数で「適温調整」するアルとベル。昔から『気持ちいい場所は猫に聞け』っていうけれど、暑くないの?そこ。

タオルケットは厳禁です!

 こうなると悩ましいのが夜です。夫は無類の暑がり。私はどちらかと言えば冷え性で、そのくせ汗っかきです。…そんな我々の強い味方が、エアコンの『おやすみモード』なのですが……室温が冷えてくると猫たちが寄り添ってきて、結局暑い思いをすることも。

 昼間、暑いさなかに抱っこすると「母たん、暑いでち!」と全力拒否するくせに! 猫の勝手さには腹が立ちますが、何か自衛策を考える以外ありません。

 そんなとき。本来なら便利なのがタオルケットなどの夏掛け布団です。が。

 これが我が家では使えません。

 なぜなら。

 爪をひっかけてボロボロにされるから。そしてその引っ張られた「糸」が危険だからなのです。

手ぬぐい
手ぬぐいが大好きなもので、季節を問わず使っています。洗うたびに、ちょっとずつほつれて糸が出るので(古くなると落ち着きますが)、干している間も安心できません

 何年か前。水を飲んでいた梵を眺めていたら、口の下に糸がぶら下がっているのに気が付きました。引っ張ってみると、さほど抵抗なくするりと抜けました。本猫は「けほっ!けほっ!」と数回せきをしましたが、すぐに落ち着きを取り戻しました。

 何だったんだ?

 その時はその程度にしか考えませんでしたが、後日、その危険性を獣医さんに指摘されてぞっとしました。

「ヒモ状のものが好きな子もいますが、絶対に食べさせないでくださいね。おもちゃについているヒモや、人間の服についている装飾なんかも危ないです」

 面白がって食べている間に、食道から胃腸へ。やがて便に交じって排出されればいいのですが、ひょっと、何かにひっかかったら厄介なのだとか。

「もし、口やお尻の穴から糸やひもがでていても、絶対にひっぱらないこと!」

 え? ……先生、こないだ梵の口から糸が出てて、引っ張っちゃいました!

「ダメ!今度みかけたら、連れてきてください。無理に引っ張ると、縫い糸を引っ張るかのように、内臓が引きつれてしまい、最悪はケガになることもあるんです」

 えー? 怖すぎる!

 それからというもの、トイレ掃除をしていて、便に私の髪の毛が入っているのに気づいたりすると「ぎゃー!」。無事に出てくれてよかったと安堵(あんど)。

  • ふきんにしている日本手ぬぐいのほつれた糸
  • 爪とぎがほつれた麻ひも
  • バスタオルやタオルケットで爪とぎをして伸びてくる糸

 ……家の中、糸だらけじゃん!!

「ああ。今年もタオルケットが使えない夏が来るのね」

 タオルを高いところに干しながら、爪とぎから出たヒモを切りながら、ため息をつくのでした。

【前の回】猫のご飯を変えるのってこんなに大変だったっけ? 医療用フード騒動記

浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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この連載について
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猫と暮らし始めて、気が付けば40年! 保護猫ばかり6匹と暮らすライターの、まさに「カオス」な日々。猫たちとの思い出などをご紹介します!
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