猫のご飯を変えるのってこんなに大変だったっけ? 医療用フード騒動記

猫
ちょっとふっくらした梵天丸。お歳のせいか、高いところから飛び降りるのがつらそう。やはりダイエットは大事! なによりハイカロリーは肝臓に負担がかかる、と大反省。

 春先に猫風邪をひいた梵天丸。その時の血液検査で「そろそろ腎臓に配慮したご飯にしたほうが……?」とアドバイスされたのですが。過去の経験がひとり判断につながり、騒動になったお話です。

(末尾に写真特集があります)

シニアになったら腎臓チェックは不可欠!

 そうか、もう梵天丸もそんな年齢か……。

 いつまでも子猫だと思っていた梵。多頭飼育中でも一番の甘えん坊だけに、幼いイメージのまま、気が付けば15歳。

 これまでにも、腎臓の機能が低下、活性炭などを使った老廃物除去、輸液による補水……といった在宅ケアを経て、最終的にはやせ細って看取る、というパターンを何度も経験してきました。

 腎臓の働きを健康診断でウオッチングすることで、対策を講じることはできます。
が、腎臓の機能は一度損なわれたら後戻りはできません。

 いかに早く兆しをみつけ、いかに迅速にフードを変えるなどの手を打つかによって、その猫の余命は変わってきます。

 最期は腎不全、肝臓の機能障害、高血圧……と人間のおっさん並みの病気を抱えながら、20歳まで生きてくれた愛猫のアーサーという存在がいたので、どうしても15歳ぐらいじゃ「まだまだ……」という感がぬぐえないのです。

猫
憎まれっ子世にはばかる? ちょいちょい舌をしまい忘れていたアーサーは、その名の通り、猫の『王』。療法食には飽きたとか、わがまま放題だったけれど、20歳までがんばってくれた

「そろそろ腎臓ケア食を」の言葉につい

 私がワクチンを怠ったために、猫風邪になった梵天丸。申し訳ない気持ちでいっぱいで、1カ月の投薬期間はドキドキしっぱなしでした。

 処方された薬をすべて飲み終え、くしゃみもおさまり、目の腫れも引いたころ、確認を兼ねた身体検査とワクチン接種を行いました。

 そのときの血液検査を見ながら、先生がひとこと。

「まだ医療的に何かしなきゃいけないレベルじゃないけど、梵ちゃんももう歳だもんね。そろそろご飯を、腎臓ケアのタイプに変えるころかもしれませんね」

 このひと言で「そうか!」と思ってしまった私。

 一抹の寂しさを覚えつつも、一日も長生きしてもらうためには、一刻も早く腎臓ケアの療法食に変えねば!と思ったのです。

 10数年前、アーサーを看取ったころ、腎臓ケアに対応する医療食は動物病院でしか買えませんでした。が、最近は当時と同じものが近所のペットショップにも並んでいます。(あれならすぐに手に入るし、昔より安くなってる!)

 そう思った私は「わかりました。考えます!」と元気よくお返事。

 それに続いた、先生の「肝臓もそろそろね、ちょっと負担かかってるかな……」の一言を聞き逃したのです。

今や多彩な腎臓ケアフード

 帰宅した夫にも相談して、愛猫が歳をとるたびに購入していた腎臓ケアの医療食を梵天丸だけに与えることに。おなじみの、白地にオレンジのデザインのフードを買ってきました。

 当の梵天丸は、あまり食にうるさいタイプではないこともあり、フードの切り替えはすんなりスムーズ。

 いつもとは違う匂いを嗅ぎつけて、食い意地王子・エンマが騒ぎますが、我が家は基本的にクレートトレーニングで個別に食べさせているので、問題ありません。

 そして2週間後。

 梵天丸の歯石を取ることになって、再度動物病院へ。ここ最近、急に梵が太ったような気がしていたので、それも相談しようと出かけました。

「あ、あれ?ちょっとふっくらした?」

 診察台で計った体重を見て、先生が首をかしげます。

「そうなんですよ。そろそろ医療食に、ってお話だったんで、ご飯を変えたんですけど」

「え?もう変えちゃったの?今日サンプル渡そうと思ってたのに」

 え?そうなんですか? どうやら過去の経験があだになって、私のひとり判断になってしまったようです。

 先生によれば、

  • 今の梵天丸の腎臓の数値をみると、そこまでのケアは不要。
  • むしろ肝臓の数値も弱いので、負担はかけたくない。
  • よって、腎臓をケアしつつもカロリー低めのご飯が最適。

 ですが、私の与えたフードは、腎臓はケアするものの、カロリー高めだった模様。

「そりゃ太るよ!だめだめ、それは中止して!」

 すみません……。

 先生からは、今の梵に最適と思われるフードのサンプルを3日分ほどもらいました。

 さらに、他の子のカルテを見ながら、「そうだなあ。もうみんなシニアだし、この数値なら……アルとベル以外は全員、このフードにしてもいいかもしれない」

 ご飯を変える、っていうのは、こちらが思っている以上にいろんなことを考えなきゃいけなかったのです。またまた大反省の巻。

「ごめんね梵。またご飯変わるよ」

 何事もなく、ポリポリと食べてくれるのが救いです。

 ちなみに、指示されたフードを容量を守って与えたら、体重は元の適正体重に戻りました。

「……私も先生に、適正なフードを処方してもらったら痩せるかしら」

「隙あらばアイス食べてるようじゃ、無理なんじゃね?」

 夫は相変わらず容赦がありません。

猫
ご飯を変えたら、丸かった顔がシュッとなった梵天丸。やはりほっそりしていた方が若返るのは、人間も猫も一緒なんですね(涙)

【前の記事】多頭飼育は情報管理が大事! 健康管理のため「猫手帳」をつけることに

浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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この連載について
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猫と暮らし始めて、気が付けば40年! 保護猫ばかり6匹と暮らすライターの、まさに「カオス」な日々。猫たちとの思い出などをご紹介します!
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