アパートの通風口で生まれた姉妹猫 家に迎え3年、在宅勤務で「奇跡的な可愛さ」堪能

2匹の猫
キャットタワーのハンモックに入るすず(左)とゆず(石川さん提供)

 アパートの通風口で生まれて、保護された子猫姉妹が、猫好き夫婦のもとにやってきました。結婚前から「いつか飼いたいね」と話し、念願がかなってはや3年。コロナ禍で猫と一緒にいる時間も長く、夫妻の“猫愛”は高まるばかり。家を訪ねてみました。

(末尾に写真特集があります)

カーテンのむこうでひっそり

「うちの子たちは少しビビりで」

「出てきてくれるかなあ」

 姉妹猫のゆずとすずに会いにいくと、会社員の石川さんと妻のふみかさんが、リビングで出迎えてくれた。が、猫の姿は見えない。

 探すと、カーテンのむこうにゆずが隠れ、棚の奥ですずが息をひそめていた。

「私たちにはべったりですが、来客に慣れてなくて……いつもテーブルに座ると、すずが私のところに、ゆずが夫のところに来るんですよ」

 そう言って、ふみかさんがほほ笑む。

1匹のはずが2匹に 

 夫妻が、ゆずとすずを迎えたのは、2018年7月。結婚して3年が経った頃だった。

「結婚したら猫を迎えたいと話していて、マンションを買って落ち着いたタイミングで探し始めました。夫の実家にキジトラがいてなじみがあったので、キジの子に絞って……」

 夫妻は飼う前から保護活動をするNPOなどを支援し、飼うなら保護猫と決めていた。春先に保護サイトを見ると、“キジトラたくさんいます”と記した団体があり、会いにいった。

「サイトに掲載されていた猫たちはほとんど家族が見つかっていたのですが、『まだ決まっていない』という子を抱かせてもらいました。それが、ゆずです」

子猫
ボランティア宅で初めてゆずを抱いたとき(石川さん提供)

 ゆずは、野良の母ときょうだいともに、都内のアパートの通風口で身を寄せ合っているところを保護された子だ。「この子がいい!」と夫婦で気に入ったという。

 この時は、1匹だけ飼うつもりだった。

 だが、ゆずの譲渡の申し込みをして帰宅すると、ボランティアから「じつはもう1匹、ゆずの姉妹を紹介するはずでした……」と写真が送られてきた。それが、キジ白のすずだ。

「当時からすずは臆病で、僕らが会いにいった時も隅にじっと隠れていたようです」

 石川さんのマンションの規約は2匹まで。そのため、最初に子猫、次にいつか成猫を」と考えていたそうだ。だが、写真を見て「姉妹一緒に飼おう」ということになった。

2匹を迎えて家が一気ににぎやかになりました(石川さん提供)

初日から慣れた姉妹

 7月、生後3カ月で2匹が石川家にやってきた。家になじむのは早かったようだ。

「初めは台所に置いた段ボールに隠れていて、1、2時間ほどしたら出てきて、2匹で勝手遊びはじめました(笑)。トイレも初日に覚えたんですよ」

 姉妹は「助け合っているように見える」とふみかさんが話す。

「猫自身にそういう気持ちがあるかわからないけど、すずを心配している感じで、ふるまいもお姉ちゃん。臆病で妹的なすずが、ゆずのすることをまねています。もし、すずが1匹だけどこかに引き取られていたら、もっとおどおどしていたかも。そう考えると、姉妹一緒でよかったなと思いますね」

 2匹は仲良し。ゆずがくつろいでいるとすずがやってきて、ぺろぺろなめる。それがしつこすぎて、ケンカになることもあるという。

「女子同士、静かに、猫パンチで応戦しあっています。そして気づいたらまたくっついている。1匹だけでは見られない自然な表情を、じゃれあいの中で見ることができるんですね」

 朝晩ばたばたとする“追いかけっこ”も、「2匹ならでは」の可愛さだと石川さんがいう。

コロナ禍での再発見

 夫妻はふたりとも会社員で、コロナの影響で、昨年からほぼ在宅ワークになった。

 石川さんがリビングで仕事をし、ふみかさんが寝室で作業をするという。

「私はリモート会議が多く、猫が会議に参加してしまうので、さみしいけど別室で仕事をするようになりました。夫はパソコンを時々踏まれているようです(笑)」

眠る猫
ふみかさんに甘えて寝る幼いすず(石川さん提供)

 お茶を飲むためにリビングに行って猫に会うと、「癒やされる」とふみかさんはいう。その可愛さも再確認したという。

「気が立っていても、猫を見れば穏やかな気持ちで仕事に戻れます。猫がいることによって気分が高まり、士気も上がる。『こんなに可愛い存在が家にいる!最高の環境だ』と、奇跡的な可愛さをあらためて堪能しています。3年経っても可愛さに慣れないですね(笑)」

 コロナ禍で、猫たちも夫妻に甘えることが増えたようだ。

「ゆずとすずがこちらを慕う頻度も高くなった。トイレ前で待っていたり、僕らと一緒にいられることを喜んでいるみたい。通常の仕事スタイルに戻って、長く家を空けることを想像すると、ちょっとさみしい(笑)」

2匹の猫
「お仕事がんばって」こんな目で見つめられたら胸キュン(石川さん提供)

環境に気を付けながら長生きを

 今はコロナで旅行は自粛中だが、夫妻が一緒に長時間でかける時は、それぞれの家族に猫シッターをしてもらうことになっている。

「猫のため、ふたりの実家に鍵を渡している」とふみかさん。

「私の家族も夫の家族も猫が大好きなので、喜んで世話にきてくれます。留守中は何があるかわからないので助かります。以前、ちょっとしたアクシデントがあって……」

 2019年、2匹が1歳の夏。暑いさなかに旅行に出た時、ヒヤッとすることが起きた。

 猫たちが熱中症にならないように、エアコンを適温にして、“つけっぱなし”で出かけたはずだった。

 だが、ふみかさんの兄が、猫に餌をあげにきたところ、部屋が暑くなっていた。

「兄が旅行先に電話をかけてきて、『温度がおかしいけど、これは猫のためにわざとしてるの?』という。どうやら猫がリモコンを踏んだようで、冷房が暖房に切り替わっていたんです。兄に『すぐ冷房に戻して』と頼み、事なきを得ました」

 以来、留守時は、リモコンを猫が出せないところに「きっちりしまう」ようになった。脱走やいたずらにも、十分気を付けている。

ヘソ天する猫
「バンザーイ」ゆずのへそ天姿(石川さん提供)

 ゆずとすずは、この春3歳になった。すずの方が少し体が小さいが、姉妹ともに健康だ。

 夫妻間でするラインは、気がつけば猫のことばかりで、スマホには何千枚もの写真が保存されている。石川さんは姉妹猫を撮るため、ミラーレスカメラを買った。

「この子たちを10年、20年と大切にしていきたい」

「ううん、20年といわず、もっともっと長く!」

 愛情たっぷりの家で、姉妹はとても幸せだ。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は17歳の黒猫イヌオと、3歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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