お尻を嗅ぐのがコミュニケーション! 犬同士で挨拶できますか?
人間同士のコミュニケーションは、言葉だけで行われるものではありません。例えば、握手をしたり肩を組んだりするふれ合いは、人間同士が行う友好の証といえるでしょう。同じように、犬同士のコミュニケーションにもふれ合いがあります。犬がどのように相手と意思疎通を行っているのかを知ることで、犬同士のトラブルが少なくなり、犬の気持ちをより深く理解できるようになるでしょう。
お尻を嗅ぐのは犬同士の挨拶
人間にとっての「お尻」は、なんとなく恥ずかしいもので、無遠慮にふれたりしてはいけない部分です。ところが、犬同士にとってはそうではありません。犬同士がお尻のにおいを嗅ぎ合うのは、相手のことをもっとよく知るためのコミュニケーション手段なのです。
犬の肛門には、肛門腺という器官があります。ここから出る分泌物は、それぞれの犬ごとに異なるにおいがしていて、人間でいう「名札」や「名刺」のような役割になっているのです。つまり、お尻のにおいを嗅ぐのは、お互いを確認し合う「犬の自己紹介」なのです。
ただし、このようにお尻のにおいを嗅いで挨拶ができるのは、社会化ができている犬同士の場合です。相手の犬を怖いと思う気持ちが先に立ったり、闘争心が出てしまったりする犬は、初対面の相手と挨拶をするのが困難です。飼い主が無理ににおいを嗅がせたりはしないようにしてください。
犬がほかの犬を遊びに誘うときのポーズ
犬同士の挨拶が終わった後、前かがみになってお尻を上げるポーズをとる犬もいます。これは、「プレイング・バウ」、「プレイ・バウ」と呼ばれるもので、相手の犬に「遊ぼう!」と誘いをかけているポーズです。
左右に激しく動くこともありますし、最初に勢いよく頭を下げることから、「いったいどうしたの?」とビックリしてしまう方もいるかもしれません。しかし、犬にとっては、好きな相手を遊びに誘う「うれしいときのポーズ」ですから、心配したり、止めたりする必要はありません。
また、遊びの誘いだけでなく、相手に敵意がないことを伝えたいときにプレイング・バウのポーズをとる犬もいます。プレイング・バウのポーズをとったままじっとしている場合は、「遊びたいと思うほど好意を持っているけど、君はどう?」という気持ちで、相手の様子をうかがっている状態といえます。
遊びがエスカレートしすぎたら?
犬同士の遊びは、走ったり、甘噛みをしたり、取っ組み合いをしたりと、人からは激しく見えるものです。けんかとの境目がわからずに、「止めたほうがいいのかな?」と不安になってしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。
犬同士も、遊びがエスカレートしすぎたときは、「ちょっと落ち着こう」という態度を見せます。それが、遊びの最中に、「伏せ」や「お座り」をする行為です。
伏せたり座ったりしている犬は、次の行動が取りづらい状況にあります。そういうポーズをあえて取ることで、興奮した場をいったん鎮めようとしているのです。
このような行動は、知らない犬が遊びの輪に混ざったときにも見られることがあります。遊びが盛り上がっている中で、いきなり新しい参加者が入ると、場が混乱しかねません。そういうときにも、「ちょっと落ち着こう」という態度に出る犬がいるのです。
マウンティングはやめさせるべき?
発情しているメスに対して、オスが馬乗りになる「マウンティング」を仕掛けようとした場合は、交尾のサインです。しかし、飼い主として妊娠を希望しているわけではない場合は、すぐにやめさせなければいけません。そもそも、発情しているメスと未去勢のオスを近づけること自体、控えなければいけないことですが、万が一のときはすぐに引き離しましょう。
しかし、性的な行動以外でもマウンティングは行われます。マウンティングは、犬同士がお互いの立場を確認し合っている行為でもあるのです。マウンティングは、されたほうが怒ったり、拒否して逃げたりすれば自然と終わりになりますので、性的行為やけんかに発展しない場合は、無理にやめさせる必要はないでしょう。
【前の回】初対面の犬との適切な距離は? 犬にもパーソナルエリアがある
【次の回】犬のあくびは眠いからではない? 犬の寝言や寝相にも意味がある
著者:西川文二
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オールカラー、224ページ
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