本当に怖い狂犬病、発症すると致死率ほぼ100% 愛犬にワクチン接種を

白い犬
狂犬病の予防注射を受けよう

 病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載5回目は狂犬病についてです。

狂犬病ってどんな病気?

 狂犬病は発症すると、ほぼ100%亡くなってしまう大変怖い病気です。

 また、感染したわんちゃんに噛まれることで人にも感染する「人獣共通感染症」でもあります。

 狂犬病は潜伏期間が長く、明確な治療法がありません。もし感染動物に咬まれた場合、しばらくは何事もなかったかのように生活できても、気づいた時には手遅れになってしまう大変怖い病気なんです。

感染経路 病原体は感染動物の唾液に含まれ、咬まれることで伝染
主な症状 異常行動、けいれん、麻痺など
潜伏期間 長い(犬で1~2か月、人で1~3か月)
治療方法 なし(死亡率は犬・人ともに100%

愛犬には狂犬病の予防接種を!

 狂犬病予防法により、犬の登録と年1回の予防注射は義務化されています。

 しかし、発症後の致死率がほぼ100%の怖い病気にも関わらず、国内では撲滅したとされ、危機意識はいまひとつなのが現状です。

 厚労省によると昔は接種率99%以上だったのに、なんと7割ほどに低下しているそう。

犬鑑札
犬の登録と、年1回狂犬病の予防接種は飼い主の義務

 日本では検疫などで、狂犬病を水際で食い止める仕組みがありますが、感染した野生動物が密輸などで国内に侵入し、そこから広がる可能性もゼロではありません。

 近隣国では未だ狂犬病の発生は多く、いつ日本に侵入してくるかわからないのが現状です。昨年には、愛知県にて来日後に狂犬病を発症した男性が死亡したという報告があり、なんと国内では14年ぶりの発症だったそうです。

 狂犬病の蔓延を防ぐため、飼い主の皆さんがしっかりと意識を持って、狂犬病のワクチン接種をうけさせることが大切ですね。

注射される犬
狂犬病のまんえんを防ぐため、愛犬にワクチン接種を

 このコロナ禍において、今まで普通に実施してきた予防医療が受けにくい状態かもしれません。しかし“withコロナ”社会が長引くことが予想されるいま、必要な予防医療は適切に受け、愛犬や飼い主さんの健康を守っていきましょう。

(次回は4月14日に掲載予定です)

シリウス犬猫病院
神奈川県川崎市中原区木月2丁目10−6
044-789-9030
*予約優先制、詳細はホームページから

【前の回】メスの犬や猫がかかりやすい病気 避妊手術で防げることも、獣医師とよく相談を

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石村拓也
獣医師。東京農工大学農学部獣医学科卒業。横浜市内の動物病院などを経て、2017年3月にシリウス犬猫病院開院。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。

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この連載について
獣医師さんから
病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院院長の石村拓也獣医師が教えてくれます。
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