ワクチン、予防、相談… 子犬にかかりつけの動物病院を持とう

かかりつけの動物病院・獣医師を持つのは大切
かかりつけの動物病院・獣医師を持つのは大切

 たとえ病気にならなくても、犬はワクチン接種をしたり、フィラリアの予防薬をもらったりするために、動物病院へ行く必要があります。特に子犬は複数回のワクチン接種が必要ですし、健康管理や食事指導なども含めて、こまめに動物病院に行くことをお勧めします。子犬を迎えるまえに、かかりつけ医の重要性や役割について知っておきましょう。

かかりつけ医でできること

 動物病院では、いったいどのようなことができるのでしょうか。病気やケガをしたときに診察してもらう以外に受けられるサービスをまとめてみました。動物病院によって受けられるサービスが異なりますので、動物病院に確認しましょう。

◆医療行為

 ワクチン接種やフィラリア予防、健康診断、ノミ・マダニ予防、爪切りなどは、病気やケガの診察と同じように、どこの動物病院であっても行っています。

 犬は、生後1年間は複数回、それ以後も定期的に、伝染病を予防するためのワクチンを打つ必要があります。これは、1年に1回接種が義務付けられている狂犬病注射とは別のものです。また一般的に春から秋にかけては蚊が媒介するフィラリア症の予防が必要です。フィラリア症やノミ・マダニ予防のシーズンは地域によって異なりますので、近隣の動物病院で確認してください。引っ越しはもちろん、旅行などで一時的に異なる地域に行く場合にも、その地域で必要な予防を行う必要があります。

 また定期的に、爪切りや肛門腺絞りなどのケアが必要な場合もありますので、診察時に獣医師に相談するようにしましょう。

 このように、犬はたとえ病気にならなかったとしても、1年のうちに何度も動物病院に行く必要があります。

◆しつけ相談や飼育相談

 子犬のしつけの相談ができる一番身近な専門家が、獣医師や動物看護師です。問題行動の悩みから、どんな食べ物をあげればいいのかといったことまで相談にのってくれます。特にパピークラスやしつけ教室などを併設している動物病院であれば、専任のスタッフに時間をかけてしっかりサポートを受けることができるでしょう。

◆トリミングやシャンプー

 トイプードルなどのように定期的なカットが必要な犬種はもちろん、それ以外でもトリミングやシャンプーをしてもらう場合は、できるだけ犬が嫌がらないように配慮してくれる場所を選びましょう。体調に不安がある時や皮膚に異常がある時には、動物病院でお願いすることができれば安心です。

◆ペットホテル

 ペットの一時預かりをしている動物病院であれば、健康状態も含めて見てもらえるので安心です。

◆しつけ教室やパピークラス

 動物病院主催でしつけ教室などが行われていることもあります。病院が主催ですと、安心して参加できますし、同じ病院に通うお友達ができる可能性も高いでしょう。

子犬には動物病院になれさせる工夫を
子犬には動物病院になれさせる工夫を

かかりつけ医の重要性

 狂犬病の注射やワクチン、フィラリアの薬などは、どこの病院でも対応してもらえるものです。しかし、かかりつけ医を持たずに、毎回、別の病院に行っていると、体重の変化やこれまでの病歴、前回打ったワクチンの種類などを管理してもらうことができません。これでは、犬の健康を十分に把握することは困難です。

 子犬のころから継続して様子を見てもらっているかかりつけ医なら、病気のときも的確な診断ができるでしょう。

 また、動物病院の中には、カルテのない犬の時間外診療は受け付けていないというところがあります。もし、カルテがなくても対応してくれるところであったとしても、できる処置の内容は変わってくることでしょう。

 犬と暮らしていると、手術が必要な大病を患ったり、設備の整った病院でCTやMRIを撮ったりする必要が出ることもあります。かかりつけ医で対応できないときでも、病状に応じて信頼できる大病院を教えてもらえるなど、大きな支えになるでしょう。

かかりつけ医の探し方

 かかりつけ医は、長い付き合いになる存在です。犬のためにも、飼い主自身のためにも、信頼できるかかりつけ医を探しましょう。

 かかりつけ医を選ぶ際に大切なのは、「通いやすいか」ということと、「信頼関係が築けるか」ということです。

 通いやすさという意味では、犬が体調を崩したときに、すぐに行ける近所の病院が良いでしょう。病気の説明や治療方針はもちろん、日常的な健康管理やしつけについても快く相談にのってくれる獣医師や動物看護師のいる病院がかかりつけ医には向いているでしょう。きちんと犬や飼い主と向き合って、話し合いながら信頼関係を築いていけるかかりつけ医を持つことが大切です。

 かかりつけ医が決まったら、犬にも動物病院を好きになってもらえるよう、日頃から散歩で近くを通るようにしたり、獣医師や動物看護師に頼んでおやつをあげてもらったりといった工夫をするのもおすすめです。

 犬にとっては楽しい場所ではないことも多い動物病院ですが、少しでもストレスを減らしてあげるように飼い主が心がけましょう。

監修:村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「パピーケアスタッフ養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
子犬の飼い方・しつけ方
犬のしつけで大切なのは、子犬の時期。飼い方やしつけのポイントを、動物行動学に詳しい獣医師に解説してもらいます。
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