食い意地王子、猫の「エンマ」 冷蔵庫の上で見張り、鍋ごとガス台から落とす

猫
人が何か食べていると、どこかで寝ていても必ず飛んできて請求するエンマ。食べ盛りを過ぎれば落ち着くと思ったんですが、もうすぐ10歳のシニアになってもこの調子。

 現在の我が家の猫は6匹。ほぼすべてが保護猫(譲渡ではなく、自分でみつけたり・託されたり)です。が、一匹だけ、例外がいます。保護したとき母猫のおなかにいた、エンマです。

(末尾に写真特集があります)

乳母日傘で育ったのに……

 エンマが生まれたいきさつは、過去の記事でもご紹介しました。東日本大震災のちょうど一カ月後の4月11日。帝王切開で生まれてきた一人っ子も、もうすぐ10歳です。

 生まれたその日から、手厚い看護を受け、人間の手を借りてまでお乳をもらい、路頭に迷ったことも、ひもじい思いをしたことも一度もありません。そのはずなのに、なぜだか猫たちの中ではエンマが一番、食い意地が張っているのです。

 まず、我が家では、食べ物が出ている間は夫婦どちらかが必ず「見張り」をせねばなりません。家事分担は基本イーブンで、食事はその日手が空いているほうが作る、というのが我が家のルールですが、例えば調理中の手をちょっととめて、何かを取りに行きたいとか、そんなとき。

 作りかけの食材はとっさに冷蔵庫やあいている電子レンジに退避させる。あるいは、パントリーに入れる。それができないときは、相手を呼ぶ。

 そうしないと、「まさか?」と思うようなものすら、とりあえずはくわえて逃げるのです。

冷蔵庫の上に乗る猫
冷蔵庫の上が定位置。人が調理している様子を俯瞰で確認、おいしそうなものがあればすかさず飛んできます。

常に敵の「本丸」を狙う!

 特に注意せねばならないのが、食べ残し。皿の上の食べ残しや皿の汚れはもちろんですが、お鍋に残ったものも要注意です。

 2人暮らしをしていると、食べきれずに翌日以降に持ち越すのはよくあること。根っからズボラな私たちなので、翌日も食べるとわかっていたら、容器に入れ替えるなんていう丁寧なことはしません。どうせ温めるんですから(よっぽど残量が少なかったりすれば別です)。

 その、鍋ごとの料理を、エンマさんは見事に見逃しません。

 ついうっかり、鍋を隠すのを忘れて台所を離れたら。お風呂に入っちゃったとか、しまい忘れて寝ちゃったりしたら。深夜、階下からの「どんがらがっしゃ~~んっ!」という音に跳び起きる羽目になります。

 何がすごいって、エンマは鍋ごと、ガス台や調理台から落下させるのです。

 他の猫たちはエンマがやらかしてくれるのをワクワクしながら待っています。料理が鍋ごと、床にぶちまけられると、わっ、と一斉にとびついて、ごちそうにあずかろうという魂胆です。

 もちろん、音と同時に寝室を飛び出してかけつけるので、ほとんどの子は私たちのバタバタという足音にびっくりして逃げ出します。飼い主が憤怒の形相で迫っていようが、最後まで料理にくらいつくのがエンマです。

 この10年。まず、ル・クルーゼの24インチ鍋(かなり重たいです)をダメにしました。落下の衝撃で割れたのです。

 ガス台下に置いてあるゴミ箱は、繰り返し重たい鍋を落とされて、ベコベコの哀れな姿に。まさか狙わないだろうと思っていた、カレー、チリビーンズ、キムチ鍋。スパイスがきつかろうがどうしようがおかまいなしだとわかりました。

ヨーグルトを食べる猫
ヨーグルトが大好き。空になった容器は洗って捨てるのですが、「洗っちゃダメ! それはエンマのお仕事!」 手を突っ込んで底のほうまできれいにしてくれます(無糖タイプです)

え? まさかの白飯まで?

 肉、魚、おかまいなし。危険なタマネギやチョコレートはもちろん注意していますが、そもそも人間の食べ物がいいわけがありません。必ず片付けるように心がけているので、そうしょっちゅうではありませんが、それでもこの10年で4~5回は、やらかしています。

 幸いいつもすぐかけつけるので、床がひどい事になって深夜の掃除をさせられる程度で、タマネギ中毒や誤飲事故でエンマが健康を崩したことはありません。

 そして、つい先日のことです。ベッドに入り、読みかけの本を開いた瞬間。

 どんがらがっしゃーん!!!

「な、なんだ?」

 夫婦で顔を見合わせます。

「なんかまだ、台所に出てた?」
「いや。おかずは冷蔵庫とパントリーにしまったよ、オレ」

 とはいえ、何かが落下したのは間違いありません。ガウンを羽織ってバタバタと階段を駆け下り、パチッと電気をつけると……。

 床に飛び散っているのは白いご飯。ガス台から炊飯釜ごと、落としたのでした。(※我が家はガスでご飯を炊きます)

「くぉぉらっ! エンマっ!」

 私の剣幕にさすがのエンマも一時退却。とはいえ、はじっこまで飛んだ米粒をいじこく食べています。

「今までご飯なんて狙わなかったでしょうに!(※炊き込みご飯を除く)」

 残りがほんの一膳だったのも幸いでしたが、下にあったゴミ箱(バケツ型)のふたには新たなへこみが追加に。ぺたぺたとあっちへひっつき、こっちへくっつく米粒相手に、深夜の格闘は続きました。

「シメのお茶漬けが欲しかったのかもよ?」(夫)

 何の飲み会だよっ!

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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