半乗っかり・ひねり込み・茶わん持ちまで! クセが強い、穏やかで頑固な末っ子猫アル

 猫6匹を連れて新居に引っ越して3年。もとから好き勝手に、のほほんと暮らしているかに見えた彼らですが、ひろびろとしたスペースを手に入れた今、ますます自由奔放に。各自の個性がより際立つようになりました。中でも特にクセ強めなのが、末っ子のアルです。

(末尾に写真特集があります)

子猫なのにオッサン顔?

 9年前、中古車屋さんの駐車場で、エンジンルームに入り込んでいるところを保護されたキジトラきょうだいのアルとベル。名前の由来はそれぞれがみつかった車の名前です。(アルファード→アル、ベル→ベルタ)。

 特にアルは、心優しくて穏やかな男の子。長男猫の梵天丸が大好きな甘えん坊です。基本いい子なんですが、なにしろやることなすこと「クセが強い!」

 家に来た時は女の子のベルのほうが大きな体をしていました。それが生後半年を過ぎたあたりから逆転。ちょうど生後8カ月のころに撮影したのがこちら。

生後8カ月の猫
生後8カ月でこの貫禄! あんなにちっちゃかったのに……。

 ………みごとなおっさん顔です(笑)

 このころから、見分けがつきにくかった顔立ちもだいぶ変わってきました。ベルは女の子らしくアゴが細くて、マズル(口元)がやや白い。アルは目が丸くてアゴもしっかり。虎の子どもか、テディベアのようです。

腕のばし・半乗っかり・ひねり込み!

 いつも寄り添うっていることの多いアルとベルですが、ベル以外にアルが心を開いているのが長男猫の梵天丸です。

「兄者ぁ! 兄者ってばぁ」

 常に後を追いまわし、何か食べるときは必ずご相伴。梵がやっと静かな昼寝スポットを見つけて丸くなっていても、アルはさっさと見つけて突撃します。

 何がすごいって、その突っ込みっぷり。丸くなっている中心めがけて、ぐいぐいと頭を突っ込み、強引にひねり込みます。寝ていた梵はもちろんびっくり。跳び起きますが、相手がアルだとわかると「やれやれ……」という顔をして毛づくろいをしてあげるのです。

 ひとりでいる時のアルもたいがい個性的です。座るときには何かを敷きたがるのは猫の常。ですが、アルはさらに一歩進んで、段差のあるところを選びます。

 人がそばにいる(寝ている)ときなら、必ず腕枕。テーブルの上に座ったら、椅子の背もたれ。ちょっとでも段差のあるところに「半乗っかり」するのです。

 ついには先日、お尻が高い方/前脚が低い方、という「逆段差」まで披露してくれました。

キジトラ猫
いつも半乗っかりするくせに、なぜかこの日は「逆段差」!

 そしてもうひとつ、アルと言えば……というポーズが「腕のばし」。リラックスしているとき、片手または両腕を前へぐーんと伸ばす、というもの。

 これをやる猫は結構いると思いますが、アルはとびぬけて、その頻度が高いのです。しかもその手先がなかなか器用で、ついには「茶わん持ち」ができるまでに!

茶わんを使う猫
もう、中に人が入ってるとしか思えないこのポーズ。茶わんの中身は好物のお刺し身です。

狭いところ・細いところが大好き!

「クセの強さ」がさく裂したのが、キャットタワーを導入したときでした。

 ファンシーなデザインが多いキャットタワーですが、私たち夫婦の好みにはどうにも合いません。そこで夫がネットで見つけてくれたのが、ハシゴ式のタワー。ハシゴに棚を取り付けるようにできていますが、これを設置したところよもやの展開が。

 夜、いつも通り運動会が始まった時のこと。

 妹・ベルをおいかけていたアルが、勢い余ってキャットタワーのほうへ。ガタガタガタッと大きな音。何事? と見やると、なんとアルもベルも、棚板ではなく、タワーの裏側(ハシゴ)を直登しているではありませんか!

「はあああっ?」

 しかも、そこから縦型ブラインドのレールに飛び移る荒業を披露。たたたっ! とレールの端まで進んだものの、そこではっ、と我に返って立ち止まります。行き止まりだと気が付いたようです。

「どうするの、アル。そこから飛び降りるつもり? きっと足が痛くなるよ!」

 ヒヤヒヤと見守っていると、ささささっと器用に後ずさり。ふたたびキャットタワーにぽん、と飛び移って、今度はハシゴではなく、段違いの棚をトントン……と降りてきました。本猫は何事もなかったかのような涼しい顔。

「細いところが好きなのは知ってたけど、器用だねえ!」

 それから数日後のことです。夫がスマホで撮影した写真を見てめまいがしました。

手すりに乗る猫
これが夫が撮影した決定的瞬間。お願いだから細い手すりで遊ぶのやめて!

「アル。お願いだから2階の手すりで遊ぶのやめて!」

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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この連載について
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猫と暮らし始めて、気が付けば40年! 保護猫ばかり6匹と暮らすライターの、まさに「カオス」な日々。猫たちとの思い出などをご紹介します!
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