12月に迎えた4匹の猫たちは「みんな宝物」 今も昔も、猫に助けられてきた

2匹の猫と女の子
クッキー(左)と小豆を抱く詩乃ちゃん「大きくなったね」

 おととし、去年と、2年続けて12月に猫を迎えた家がある。それは母から一人娘へのクリスマスの贈りものでもあり、家はとても賑やかになった。母は昔から猫が好きで、娘を“予定よりちょっと早く”生んだ時にも、当時いた猫に支えられたのだという。母と娘と猫の絆の物語。

(末尾に写真特集があります)

12月にやってきた猫たち

「今、我が家には4匹の猫がいます。賑やかですよ」

 千葉県内の萩原千鶴代さん(49)の家を訪ねると、一人娘の詩乃ちゃん(11)とともに居間に案内してくれた。ドアを開けた途端、猫たちが“はっ”とした表情でこちらを見る。

「うちが学校から帰ってきた時も、猫がみんないったん遊びをやめるの。そのまま騒いでいていいよって思うんだけど」

 詩乃ちゃんが、「おいで宮ちゃん」と白黒柄の猫に優しく声をかけて体を撫でる。その横で、千鶴代さんが説明をしてくれた。

「宮ちゃんは推定6歳半。おととしの12月、保護猫カフェ「ととの森」から迎えました。前の飼い主さんが施設に入ることになり、保護されたそうです。宮ちゃんの数日後に同じカフェから迎えたのが、2歳半のタルト君。タルト君は多頭飼育の場から保護された猫です。そして去年12月、ととの森のシェルターにいた子猫のきょうだい、小豆ちゃんとクッキー君を迎えました。我が家では12月に猫と縁があるというか、2年続けて猫がクリスマスプレゼント。みんな、宝物です」

4匹の猫
左から小豆、クッキー、タルト、宮ちゃん(千鶴代さん提供)

 千鶴代さんは最初、宮ちゃんを1匹飼いするつもりだったが、さみしそうに見えたので、友達になれば、とタルトを迎えたそう。だが宮ちゃんは、一緒に遊びたがるタルトを拒否した。1年もすれば打ち解けるかなとじっくり様子を見たが、なかなか距離が縮まらない。

 すると不満からか不安からか、タルトの食欲が減ってきてしまった。そこで考えた揚げ句、タルトの遊び相手に子猫をもらうことにしたのだ。

「タルト君は、オスなのに後から来た小豆におっぱいを吸わせていたんだよね」

「宮ちゃんはタルトのことは避けたのに、クッキーのことはなめてあげていた。クッキーはどの猫ともうまくいって、掃除機の音とかもこわがらないし面白いよね」

「4匹がそれぞれいい関係。なのにぎゅーっとみんながくっつく“4猫団子”は見られない」

「見たいよねえ」

 親子で話が盛り上がる。

2人の女性と猫
宮ちゃんを抱く千鶴代さん(左)と詩乃ちゃん

 ひとりっ子の詩乃ちゃんにとっては、猫がとても大きな存在だ。

 ママがパートから帰るのは詩乃ちゃんの下校より後なので、詩乃ちゃんは学校から戻ると、誰もいない家にいつも鍵で入っていた。

 でも今は、猫たちが詩乃ちゃんを待ってくれている。

猫と暮らしたくて

 母の千鶴代さんにとっても、猫の存在は大きいようだ。

 千鶴代さんは子どもの頃から大の猫好き。実家でも、独身の頃から猫を飼っていたという。でも宮ちゃんを筆頭に次の猫たちを飼うまで、少しブランクがあった。

「先代のニャジというオス猫が亡くなった時にすごく悲しくて、飼えなくなってしまったんです。でも3年前、たまたま娘とおつかいに行った時に、道に倒れていた瀕死の白黒の子猫を見つけ、放っておけなかった。まるちゃんと名付けて、動物病院にも連れていってお世話をしたけどあまりに弱っていて、結局、1週間くらいで看取ることになりました」

赤ちゃんと猫
先代のニャジ(左)を撫でる一歳頃の詩乃ちゃん(千鶴代さん提供)

 千鶴代さんはがっくりと落ち込むと同時に、そこからスイッチが入ったように“猫が欲しくてたまらない状態”になった。でもペットショップで買う気にはなれない。そこで県内にあった保護猫カフェを見つけて、詩乃ちゃんとともに訪ねてみると、そこに、看取ったばかりのまるちゃんによく似た白黒猫(宮ちゃん)がいたというわけだ。

「柄がそっくりで驚いたし、たまたま、宮ちゃんの出身(もともと飼われていた家)がうちの近所だとわかり、運命的なものを感じました。今になって思うと、よく何年も猫がいない生活を我慢できたなと思うけど。昔も今も、私たちは猫に助けられているんですよね……」

母の不安を癒やした猫

 詩乃ちゃんは現在、身長145㎝で、クラスでは「真ん中あたり」の平均サイズ。昨年は1年で7㎏も体重が増えたのだとか。だが生まれた時は、532gと超低体重だった。

 千鶴代さんが振り返る。

「じつは妊娠7カ月での早産で、生まれても数分か数時間で『亡くなってしまうかもしれない』と医師から告げられていました。帝王切開で生んだのですが、翌日になって対面すると驚くほど小さくて。我が子を見て、“小さく生んでしまって”と泣きだすママが多いようですが、私は生きてくれていることが嬉しくて、にこにこしてしまった。でも娘は、退院できるまで8カ月もかかったんです。面会に毎日いったけど、あの期間は、私自身が猫のニャジに本当に癒やされたものです」

 詩乃ちゃんは、退院してからニャジと触れあった。耳やシッポをいじらてれても、ニャジは決して怒らず、いいよ、と好きなようにさせていたそうだ。

「ニャジは娘が退院して10カ月後、立てるようになった頃に、“この子はもう大丈夫”と見届けるように15歳半で旅立ちました。娘には記憶がないと思うけど、あの時も大事な家族=猫に守られていたんです」

クリスマスツリーの前で猫を抱っこする女の子
ツリーの前でタルト君と「もう12月だね」

 詩乃ちゃんが3年生の冬、再び猫のいる生活が始まったわけだが、その年の2月に、千鶴代さんは母親を突然の病で亡くしている。前日まで詩乃ちゃんも「おばあちゃん」に会っていたそうだ。その別れの2カ月後には、夫が単身赴任先へと引っ越し、母と娘の環境が大きく変わった。

「猫たちは、私たちの生活になくてはならない新たな家族なんだと、つくづく感じます」

みんなに長生きしてほしい

 猫たちと遊びながら、詩乃ちゃんと千鶴代さんが猫の年齢について話す。

「ママ、猫の寿命ってどのくらいかな」

「今は20歳ころまでだけど、もっと生きる猫もいるわよねえ」

「うちが20歳を超えた頃、宮ちゃんは16歳近いのか……」

「元気でいてくれるといいわね」

「宮ちゃんは会った時からおとなの猫で年上だったけど、あとから来たタルトや、小豆やクッキーにも年齢的に越されちゃった。結局うちのおねえちゃん、おにいちゃんなんだよね(笑)。みんな長生きして、ギネス記録を更新してほしい!」

 詩乃ちゃんがきらきらと、目を輝かせた。

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は18歳の黒猫イヌオと、4歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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