犬や猫を置いていけない… キャンピングカーを手に入れたが慣れてくれるだろうか
いきなり多頭飼育になって「どこへも行けない!」と頭を抱えた私たち。思い切って編み出した解決策は『キャンピングカーで一緒に連れて行こう!』でした。
動物たちの反応は……?
今から20年前のこと。あれこれ悩んだ末に私たちは中古のキャンピングカーを手に入れました。あちこち遊びに行きたい。けれど犬1匹、猫4匹の動物家族を置いてはいけない。彼らを一緒に連れて行くために買ったのです。
購入したのはアメリカ製のかなり使い込まれたキャンピングカー。幅は路線バスほど。長さは少し短いですが、それでもほぼ、トラックです。
エンジンは7500㏄の8気筒(V8エンジン)。まあ、アメ車らしい、ドロドロドロ……という地響きのような音がします。元々モータースポーツ好きなふたりなので、私たちはむしろ喜んでいましたが、さて、動物たちはどうでしょう?
当然ですが、初めて乗せたときは犬も猫もパニックでした。
まず、犬のネネちゃんは一緒にお出かけできる! とはしゃいだものの、エンジンの音にびっくり。じっと床に伏せて、あたりを警戒し始めました。
猫たちの反応はみごとにバラバラ。
長老猫のアーサーは最初こそびっくりした顔をしていましたが、私のひざの上で悠々と丸くなり、寝息を立て始めました。
アメリカンショートヘアのきょうだい、クリスとココはおっかなびっくり。バンクベッド(運転席上に張り出したベッド)の隅に、2匹で肩を寄せ合ってガクガク震えています。
一番怖がったのは、普段強気なギャルっこ、アビシニアンのディーナさんでした。あちこち逃げ回り、隠れるところを探し、なだめようとして手を出すと猛烈に怒ります。
もちろん、いきなり旅に出たわけではありません。まずは試しに、自宅周辺をワンブロック、ぐるっと回っただけでこの騒ぎ。
「やれやれ。少しずつ慣らすしかないね」と夫も苦笑い。
まずは信頼するかかりつけの獣医さんに相談することにしました。
ひたすら環境に慣れさせること!
「キャンピングカーですか……」
我が家の車の写真を見た先生は、目を丸くしました。
「なるほどね。考えましたね。でも、いきなり遠出はお勧めしませんよ。少しずつ慣らさないと」
まず先生が下さったアドバイスは次の通り。
■まず、ペットキャリーに慣らすこと
それまでキャリーに入れられるのは「病院に行くとき」。なので、猫によってはキャリーを取り出しただけで逃げ出そうとします。
家からキャンピングカーなどに乗せ換える時、パニックになって逃げだすのを防止するためにも、キャリーに入れて移動させること。そのためにも、まずキャリーそのものに慣らすことから。
■乗り物酔いの可能性を考える
私も子どもの頃、遠足のたびに乗り物酔いに苦しんだのでよくわかります。まず、車の匂いで気持ちが悪くなるのです。特に猫は環境が変わることがストレスになりやすいので、まずはキャンピングカーそのものに慣れさせること。エンジンをかけずに、キャンピングカーで過ごす時間をもつ。
何なら一泊、猫たちとキャンピングカーで寝泊まりする、など。それでも嘔吐する場合は、酔い止めを事前に飲ませること。
■音に慣れさせる
エンジンの音もさることながら、キャンピングカーにいると外の音も聞こえてきます。キャンピングカーを駐車場に止めたまま、エンジンをかけて音に慣らす(長時間のアイドリングは迷惑なので、ごく短時間に)。
それができたら、少し走ってみる。慣れてきたら、少しずつ距離を延ばす。実に時間のかかる対策ですが、とにかくやるしかありません。
実り多かった、クレートトレーニング
まずはクレートトレーニング(ハードタイプのペットキャリーに慣れさせる訓練)です。
猫の数だけ、ハードキャリーを用意。毎日のご飯を、そこで上げるようにしました。
最初はいぶかしがっていた猫たちですが、ご飯となれば話は別です。朝晩、各自のクレートでご飯をあげ、食べ終わるまで扉を閉めておきます。
前にも本で読んだのですが、これが習慣になれば獣医さんに連れて行くのも楽ですし、災害時の避難にも便利です。
実際やってみると、思いのほかスムーズに慣れてくれました。
獣医さんへ行く時しかキャリーを使わなかったころは、キャリー=嫌なもの・怖いところへ行くもの、でした。それが、毎日の食事の場になったのです。
もう、若くて元気な猫が長老猫のハイカロリー食を狙うこともなくなりました。
薬を混ぜて与える時も、監視していなくても良くなりました。食後のまったり時間も、各自の「部屋」ですから、心おきなくくつろげるように。
キャンピングカーのために始めたこととはいえ、これはもっと早くからやっておけばよかった! と思ったものです。
しかし、本当に大変だったのはそこから先。
個性さまざまな犬と猫たち。キャンピングカーに慣れてくれるまでには当分、格闘せねばなりませんでした。
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