犬・猫に人生を変えられた夫婦 突然、動物5匹の多頭飼育が始まった

ボンネットで寝る猫
走っている間は揺れるしやかましいキャンピングカーですが、山のキャンプ場に停泊中は静かなもの。日の当たるダッシュボードは、猫たちの格好の昼寝スポットに。

 大げさなタイトルですみません。実際、広い意味で「猫のおかげで人生変わった!」と感じている飼い主さんは多いことでしょう。ですが、私たちの場合、本当に猫たちのおかげで人生が変わったのです。

(末尾に写真特集があります)

どこへも行けない! さあどうしよう……

 20年ほど前。結婚したばかりの私たちは人間ふたり、私が連れていた猫2匹(クリスとココ)の2人と2匹の家族でした。

 ところが私の両親が交通事故で他界。精神的ショックもさることながら、あとに残された猫2匹、犬1匹が合流することに。突然、動物5匹の多頭飼育が始まりました。

 さて、そこで困ったのが家を空けられないこと。

 猫2匹だって、もちろん気になります。ですが、私の独身時代にも泊まりがけの取材などあれば、友人に来てもらったり、ペットシッターにお願いしたり、なんとか解決してきました。

 ところが5匹ともなると……。しかも犬と猫、異種まぜこぜ状態ではよほど動物好きの友人でも、気軽に頼めるものではありません。

 問題は私たちが旅行したり、趣味のスポーツで遠征するときでした。

 思い切ってペットシッターさんにお願いしたこともあります。

 しかし頭数が多いぶん、大変な金額になるのです。人間がどんなに安い旅費で上がるように苦心しても、もう1人連れて行ったぐらいのお金がかかってしまいます。

 出かけたら出かけたで、彼らのことが気になって「ねえ、切り上げて早く帰ろうよ」になってしまう。

 そうしょっちゅうある話ではないものの、悩ましい問題でした。

連れていけばいいんだ!

 まだ両親が事故に遭う前。クリスとココだけが我が家にいたころ、一度、キャンプに行ったことがあります。

 仲間から誘われ、元々アウトドア大好きな私は大喜び。ですが、夫は浮かない顔をしています。聞けば「テントなんて布切れ一枚隔てて野宿なんて、いやだ」。

 はあ?? 見るからに男性的なタイプで、私と彼はそもそもバイク仲間でした。

 その彼からそんなセリフが飛び出そうとは……。いや、男性ならみんなアウトドア好きだと思っていた私のほうがどうかしていたのかもしれません。

 その時の折衷案は「ハイエースに寝泊まりする」でした。

 友人の貨物用ハイエースを借り受け、床を徹底的に拭き掃除して、大きめのペットケージにクリスとココを入れ、人間用の布団を積んで出発。

 最初こそびっくりして騒いでいたクリス・ココでしたが、30分も走ると落ち着きました。山道に入ったので心配になって、後ろを見ると。なんとクリスがペットケージにしっぽをひっかけて体を安定させているではありませんか!

 その姿を見たときは、おなかを抱えて笑ったものです。

車で寝る猫
長老猫・アーサー。車で連れ出されることを、最初は面倒くさそうにしていました。が、この車で出かけると、一日お姉(私)が一緒にいてくれる。あちこちにふかふかのソファがある。そう気がついてからは、むしろ喜んでいるようでした。

解決策はキャンピングカー

 そんなこともあったよね。あのときは2匹だったから、連れても行けたよね。そんな話を、たまたま仕事に向かう車の中でしていた私たち。

 ふと、前をキャンピングカーが走っているのが見えました。

 今から20年前。まだキャンピングカーが珍しいころのことです。

「ねえ。あれなら連れていけるんじゃない?」

 指さして言う私。顔をしかめる夫。

 いくらすると思ってるの?

 嫌だよあんな大きな車。

 サーキットでバイクの草レースに出ていた夫。スピードこそ正義だと思っていた彼からすれば、あんな大きくて鈍重な車、とても考えられなかったでしょう。

 ですが、やはりそこはエンジン好きの性。ついつい調べてみたら、中古車がオークションに出ているのを知ってしまったのです。

 売られていたのはアメリカ製の、現地でレンタカーとしてさんざん使われた揚げ句に輸入された、かなりの年代もの。しかし、バイクも車も、自分で整備する夫です。レース車両を運ぶ大型トラックも、左ハンドルも経験あり。

 そのキャンピングカーのベース車両はフォードだから、マツダに相談すればパーツは手に入るはず(当時はマツダがフォードを扱っていましたから)。

 それに、父を介護する可能性を考えて、私たちは土地を手に入れていました。つまり置き場所もなんとかなってしまった。

キャンピングカーと猫
キャンピングカーを買ったばかりのころ。アビシニアンのアーサーを中心に、寄り添っているのは同じくアビシニアンのディーナ。奥はアメリカンショートヘアのクリスです。

 さあ、諸条件はそろいました。

 考えた末に、信じられないぐらい安かったその1台を手に入れたのです。

 結果から言うと、それは大正解でした。

 いえ、私は何もしていないのでそう言えるのかもしれません。

 あちこちガタが来ている車相手に、夫は格闘していました。彼が事前に予想した通り、車自体はどうにかなったのです。問題は「家」のほうでした。

 手に入れた時点で相当古かったキャンピングカー。しかも走っている間は常に震度3でゆすられ続けているようなものです。水回り、照明、取り付け収納、あちこちにガタが来ていました。

 個人売買ですから、どこにも保障を求めることはできません。車のディーラーに相談したところで、家具のことなんてわかりません。

 仕事から帰ると、彼は毎日のように工具片手に車の中へ。

「ちくしょー。なんだよこれ。アメリカ人のばかー!」

 謎の悪態を何度聞いたでしょう。

 その彼は結局今、キャンピングカー・ジャーナリストとして仕事をしています。何が人生を変えるか、わからないものです。

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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