新入りの子猫2匹 取っ組み合っていたかと思えばポトッと寝落ち、夜中は大運動会
子猫がいる、と再び連絡が入る。急いで向かうと、りんご箱の隅で2匹は縮んで震えていた。
名前は?と聞かれて
キャリーバックに入れて赤ひげ先生のところへ連れて行く。すっかり怯えきって、ちっとも顔を見せてくれない。
ブルブルと震える2匹を片手でつかんではひっくり返しながら先生は言った。
「オスとメス、キジ白、生後ひと月くらいかな」
オスのほうは美猫だね。うちのお客さんにちょうど欲しい人がいるから言っておこうか?メスは貧相だねえ、不細工だから無理かなあ、と続けた。
ブサイクと言われて母親気分で心配になり、自力で引き取り手を探そうと決めた。
名前は?と聞かれて、オスはタロー、メスはミニミニ、と咄嗟に答える。
オスは、前の年に死んだスンスンと瞳の色と柄が同じだ。スンスンの本名のタローにしよう。
メスの方は痩せっぽちで小さいからミニミニ。新しい飼い主を探すのだからとりあえずの名前でいい。
よちよちと探検
自宅へ連れて帰り、水やトイレを用意して2階の部屋に閉じ込める。ピーヤを保護したときよりも月齢があるぶん少しは安心だ。
チビたちは警戒しながら部屋の中をよちよちと探検し始めた。重心を低く指をいっぱいに広げて、ひと足ひと足ゆっくりと進む姿はまるで亀だ。
物音がするたびにベッドの下へもぐり込むが、すぐに出てきて無邪気に遊んでいる。
困ったことに、2匹とも便が緩い上にトイレの場所を覚えない。翌日も食欲はあるものの下痢は治らなかった。
長引けば脱水症状で命とりになる。赤ひげ先生のところへ連れていくと、おそらく胃腸炎だろうと、薬と栄養剤の点滴をしてもらった。
夜には症状はおさまりほっとする。翌日から普通の便になり、次第にトイレも覚えていった。
2匹とも食欲は旺盛だ。ミニミニはウウウとうなりながら、小さな体ごと皿に突っ込んでいる。
タローは紙くずやビニールひもなどを口にする癖があり、食べてしまわないように常に気を配っていた。
ふぁーと威嚇
くまとピーヤにはしばらく会わせなかった。とつぜん対面させると、先住猫はびっくりして傷ついてしまうと聞いた。
新入りを紹介するときは、匂いや気配で存在を知ってもらってから本人同士を対面させる。そうすればその後の関係は良好になりやすいと先生から教わりその通りに従った。
ピーヤのときは知らなかったから、それでも怒らなかったくまはえらい。
数日してから対面させると、2匹はびっくりした顔をしながらそろそろと近寄り、子猫たちの匂いを嗅いだ。
チビたちは耳をパタンと倒して前脚を広げて踏ん張り、生意気にもふぁーと威嚇した。
ポトッと寝落ち
子猫の1日はサイクルが短い。取っ組み合っていたかと思うと、行き倒れのような姿でポトッと寝落ちする。2匹は室内のいろんな場所で無防備にポトッと寝ていた。
夜中は大運動会。だだだだ、だだだだ、と駆け回る音。そして静寂、だだだだ、静寂、を何度か繰り返し、朝はどちらかが顔に突進してきて驚いて目が覚めた。
子猫たちの元気さにあきれたくまはしぶしぶ1階のソファへ、ピーヤは夫の部屋へと避難した。老猫1匹と若い猫3匹の暮らしはそれはにぎやかで、みんなが同じ部屋にいるとまるで猫カフェにいるようだ。
くまのことを考えると、一日でも早く貰い手を見つけなければならない。
【前の回】夫を慕い片時も離れたくない子猫「ピーヤ」 こんなにも深い信頼関係が築けるなんて
(次回は11月4日に公開予定です)
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