2匹目の猫を迎える時のポイント 子猫の方が受け入れられやすい?どうやって慣らす?

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。連載3回目は「2匹目の猫を迎える時に気をつけたいこと」です。

猫はポテトチップスと同じ?

 私の自宅には、17歳の海の進と1歳のフラの助(本名はフラッフィ)の2匹の猫がいます。私のように猫と一緒に暮らす方には、2匹以上と暮らしている方が多いように思います。

以前アメリカに住む友人で獣医師でもある人が、「猫とポテトチップスは同じだからね」と言っていました。どういうこと?と聞いたら、1匹(1枚)では満足できない、とのことです。確かにそうかもしれません。

 では、日本の猫と暮らす方もポテトチップス現象なのでしょうか?2019年のペットフード協会発表の全国犬猫飼育実態調査の結果を見てみました。飼育率は、犬の場合12.5%ですが、猫は9.7%のようです。犬を飼育している家庭の方が多いようです。

三毛猫
2匹目の猫を迎える?

 しかし、近年は全国の猫の飼育頭数が犬を上回っています。猫の飼育家庭数は少ないのに、全国で飼われている猫の数の方が多い、それは飼っている家庭の多くが多頭飼育なのかな?という推測になります。

 実際、各家庭の平均飼育頭数を見ると、犬1.23匹に対して猫は1.77匹。平均的に猫は複数匹で飼育されているご家庭が犬よりも多いようです。

 今1匹の猫と暮らす方、もう1匹迎えてもいいかな、と思っている方は結構多いのではないでしょうか?私も海の進が一人っ子だった時代に、今度ご縁があったら猫をあと数匹入れてもいいなとずっと思っていました。

先住猫がいる家で、どう新たに猫を迎える?

 今日のテーマはご縁があって、猫を新しく迎え入れる場合の注意点です。はじめての1匹を迎え入れるのは、通常の猫の暮らしが出来るように準備するだけなので、あまり悩みはなかったと思います。

 しかし悩むのは大好きで大切な先住猫がいるところに新たに猫を迎え入れることではないでしょうか?みなさんが疑問に思われるであろうポイントに、お答えしていきましょう。

疑問1. 先住猫にお友達は必要でしょうか?

 無理に作る必要はありません。猫は社会性のある動物ですが、他の猫と一緒ではないといけないことはありません。先祖は単独でひとり暮らしをした動物なので、単独でも大丈夫。

 しかし、社会性のある動物ですから、人間家族が遊んであげましょう。そしてもし何らかのご縁があれば、その時点で問題がないようなら、迎えたらよいと思います。

2匹の猫
ご縁があったら

疑問2. 新しい猫は子猫の方がいいですか?

 一般的に猫は新しく迎え入れるのであれば、子猫の方が受け入れやすいようです。

 われわれ人間と同じで、もし警察官が急にうちに来て、21歳の人の面倒を見るように言われたら、驚きますし、あまり歓迎はしませんが、生後2カ月の子を連れてきたら思わず、助けなきゃ、と思うのではないでしょうか。

 猫の場合も同じみたいです。では大人の猫を迎えいれるのは可能かというと、相性が良い子たちであれば、時が解決するので大丈夫です。しかし大人の猫を導入する場合、2匹は徐々にならしていくしかありません。

疑問3. 2匹の猫のならし方は?

 まずはお互いの姿は見えるけれど、けんかはできないように例えばドアの隙間から「お見合い大作戦」をはじめます。

 ドアの隙間からお互いの様子を見させながら、どちらの猫にもおいしいおやつをあげましょう。一緒に食べるという行為はお互いへの壁を低くさせます。

眠る猫
ゆっくりと慣れていこう

 また、例えばAちゃんの頬のフェロモン(落ち着くフェロモン)をタオルにぬぐってBちゃんのいる部屋にもっていき、また逆も同じようにしてお互いのにおいの交換をします。そしておやつをあげましょう。

 お互いのにおいがあるときにとても良いことがある、という条件づけです。ゆっくり「お見合い」をすすめましょう。

質問4.何匹まで飼っても大丈夫でしょうか?

 猫の性格、相性、場所の広さ、隠れる場所の有無、など色々条件が変わると答えも変わってくると思います。一般的な回答として、災害時にキャリーに入れて家族で持ってにげられる数まで、とされている方が多いと思います。

 我が家の場合、考えるのが災害時で、自分の母(高老齢者)、旦那、猫2匹、犬1匹が家族としていますので、これ以上は一緒に逃げられないし、災害時のお世話が大変なので、もう少し生活が落ち着くまで、増やさない方がいいかな、と思っています。

 新しい猫にご縁があった場合、子猫だったら(社会化期は、おそらく3~4カ月まで)比較的受け入れられやすいでしょう。しかし、大人の猫同士の場合は、ゆくっくり焦らずお互いの存在に慣れさせましょう。

(次回は10月11日に公開予定です)

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入交 眞巳
獣医師。東京農工大学 特任准教授。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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