ひざの上で頼りなく震える小さな子猫「ピーヤ」 無事に育ってくれるだろうか
子猫がいる、と友人から電話があった。
野良猫が子育て
取り壊すことになった祖父母の家へ荷物の片付けに行くと、いつのまにか住み着いた野良猫が家の中で子育てをしていたらしい。
人間の気配がすると母猫は子猫たちをくわえて姿を隠してしまうから、何匹いるか分からない。軒下から出入りしているようだ。
友人は猫が苦手らしく扱いに困っていた。また見かけたら連絡をほしいと伝える。
老猫のくまにとって子猫は刺激が強すぎるだろうから、うちで飼うつもりはない。子猫と暮らしたいとつねづね言っている友人に託すつもりだ。
生後1週間の子猫
1匹だけ捕まえたと連絡を受けてすぐに向かう。セーターにくるまれた子猫はネズミのように小さい。
キャリーバックにいれて赤ヒゲ先生のところへ直行する。キジ白の雌、生後1週間とのこと。まだ目も開いていない。
ほんとは母猫がなめて開けるんだけど、と言いながら先生はいきなり指先でペリッと目を開けた。
子猫の目は淡い青色をしていて、しばらくはほとんど見えないらしい。生後1週間と聞いて急に不安になる。
母猫と離すのが早すぎたかなと心配すると、「そんなこと言ってたらすぐに大きくなって立派なノラになっちゃうよ」と言われて少し気が楽になる。
3時間おきの排尿とミルクを飲ませることを教わり、必要なものを買って帰る。
3時間おきのミルク
帰宅して子猫をくまに会わせると、くまは一度だけ、ふぁ〜と軽く威嚇をしたが、そのあとは怒る様子を見せなかった。
子猫はひざの上で頼りなく震えている。手のひらに乗るほど小さくて、まだ猫とは呼べないようなヒナの状態。無事に育ってくれるだろうか。
子猫はまだ体温調節ができない。さっきまで母猫や兄弟たちとくっついて温かかったが、突然ひとりぼっちにさせてしまった。
先生に教わった通りにお湯をいれたペットボトルを布で包み湯たんぽをつくる。寝室の枕もとに子猫が眠るカゴを置いた。
3時間おきに目覚ましのタイマーをセットする。半分寝ぼけながらカゴをのぞくと、もぞもぞと動いている。
大丈夫、生きている。まずは排尿。母猫がなめて促すようにお尻をトントンと刺激すると、ガーゼが尿を吸ってじわっと温かい。
粉ミルクをぬるま湯で溶いて哺乳瓶で飲ませると、一心不乱にかぶりつく。
こちらも不慣れでなかなかうまくいかないが、ある時からお互いの呼吸が合うようになり、クックッと上手に飲んでくれるようになった。
最後に湯たんぽの冷めたお湯を取り換える。数日経つとカゴの中から出たがって、ベッドで一緒に眠るようになった。
子猫は首元や脇などの隙間に潜ったまま寝てしまうから、うっかり潰してしまわないように気をつけていると熟睡はできなかった。
朝はカゴに入れて出かけ、仕事が終わると飛んで帰り世話をした。
子猫はニャーではなく、高い声でぴ〜や~と鳴くので、とりあえずの幼名としてピーヤと呼んでいた。
ピーヤはすくすくと育っていった。
【前の回】庭猫「スンスン」あまりに突然の別れ 最後にそっとなでると悲しみがこみ上げた
【次の回】猫のルールを知らない子猫の「ピーヤ」 そこで夫が教育係をかって出た
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