「エサが命」弟猫きなこのぶれない生き方 座りこむ姿はまるで座敷わらし

 前回 はイケメンの兄猫ジャッキーのモテモテぶりを紹介した。さて、今回は弟猫きなこのことを書くことになっているのだが、書くことがあまり思いつかない……。いやあった、あった。彼の「ぶれない生き方」である。この芯が通った生き方、僕も妻も「見習わないと」と感心しきりなのである。

(末尾に写真特集があります)

人生哲学ならぬ猫生哲学

 さて、何にぶれないのかというと、それは「エサが最優先」という生き方、「猫生哲学」である。寝ている以外は、8割ぐらい、エサ場の前にいる。そこでちょこんと座り、じーっとしているのだ。良く言うと、ムダがない。猫じゃらしで遊んだり、走り回ったりせず、ただひたすら「食べること」に体力を温存しているのである。

 朝5時か6時、リビング隣の和室で寝ている妻を起こすのが日課だ。「ニャー、ニャー」と妻が起きるまで、鳴き続ける。しょうがなく、キッチンにあるエサ場の皿にカリカリを置いて、また寝る。すると1時間後ぐらいに、また「ニャー」と鳴いて、僕らの顔を悲壮な顔で見つめるのだ。昼から夜まで、同じ繰り返しだ。エサをやっても。1~2時間後には、またおねだりに来る。

 妻は、そこらへんは厳しく接しているのだが、僕はついつい情にほだされそうになる。だが、そこはきなこの体のことを考え、心を鬼にしてエサをあげるのを我慢するようにしている。

飼い主イチコロ、エサくれダンス

 最近はコロナ禍で在宅勤務が多いので、僕も、きなこの生態をじっくり観察できる。朝から晩まで、食べることしか考えていない。「さっき、食べたでしょ?」と言うが、どこ吹く風だ。しばらく鳴いて、僕らが無視すると、次第に声は聞こえなくなる。

「もう、あきらめて寝たのかな?」と思って、キッチンの方に歩いていくと、どこからかさっそうとやって来て、ぼくたちが歩いている前を歩き、キッチンへ誘導する。

「その手には乗らないよ!」。でも、あきらめないきなこはエサ場の前で、じーっと座り続けている。その姿を娘たちは「座敷わらし」ならぬ「きなこわらし」と呼ぶ。

 エサ場はキッチンにあるので、妻は食事の準備も、岩のようなきなこをまたぎながら作っている。「きなちゃん、ちょっと、あっち行って」。もちろん、聞いてくれるわけがない。時に、おなかを出してゴロゴロと捻転する「おねだりダンス」を披露することもある。それを見ると、ついつい笑みがこぼれる。

おねだりする猫
きなこ恒例の「エサくれダンス」

 多くの猫は「ちょっと甘えたい気分だニャー」と思うと、飼い主にスリスリしてくるものだろう。ジャッキーはそうしてくる。きなこも、もちろんスリスリはしてくる。でも、その目的は明らかに「エサをくれ」ということなのである。

 ある意味、この情熱はすごいと思う。だって生きる目的が、明確ではないか! 僕ら人間は、生きる目標や夢が、ぶれることが少なくない。周りの「雑音」に惑わされ、自分が本当にやりたいことをあきらめることだってある。時々、妻と「きなは、すごいね。食べる、という目的に向かって一直線だもんね」と感心しきりである。

袋に入る猫と歩いてる猫
「俺も回収してニャ!」。左はさっそうと歩く兄猫のジャッキー

正統派ではない可愛さ

 きなこの行動は、面白い。食べると寝ている以外は、テレビを一緒に見ていることが多い。家族でハマっている韓国ドラマを一緒に見ていることもある。ドロドロの復讐(ふくしゅう)劇だが、何となく中身もわかるのだろうか。長い時間、じーっと見ている。ニュースやワイドショーも好きで、よく見ている。

 また、夜に壁に懐中電灯を使って手で「影絵」を映し出すと、「ワンワン」と犬のような鳴き方をする。もしかすると、前世は犬だったのか……。どこか、普通の猫と違い、見ていて面白い。

 箱類も大好きだ。段ボールや新聞回収の袋、娘の資料BOXなどなど、「猫は液体だ」なんてTwitterで見かけたことがあるけれど、どんな入れ物にも上手にスッポリ入って、ご機嫌至極である。箱から顔を出した姿は、こっけいで可愛らしい。ジャッキーの「正統派の可愛さ」と違い、どこか「ズッコケな可愛さ」がある。

箱が好きな猫
きなこは箱がお好き

 わかりやすく書こう。我が家の「家庭内序列」は、1位ジャッキー、2位妻、3位娘2人、4位きなこ、5位僕、といった感じだろうか。ジャッキーが出てくると、娘たちは「きゃー、ジャッキー様!」と歓声をあげるのに、きなこが出てきても、「何だ、茶色い方か」とにべもない。そんな仕打ちを受けるきなこに、僕は自分自身を重ね合わせ、共感してしまう。

 でも、きなこと僕の順位は永遠にひっくり返らないだろう。最下位の僕ときなことの「実力差」は厳然たるモノであることを自覚している。

 さあ、僕もきなこを見習って、生きる目的に向かって「ぶれない人生」を歩んでいこう! そんな生き方をできるオジサンは、かっこいいと思う。そうしたら、もしかすると家庭内での序列が上がるかもしれないしね!?

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佐藤陽
1967年生まれ。91年朝日新聞社入社。大分支局、生活部、横浜総局などを経て、文化くらし報道部(be編集部)記者。医療・介護問題に関心があり、超高齢化の現場を歩き続けてまとめた著書『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)がある。近著は、様々な看取りのケースを取り上げた『看取りのプロに学ぶ 幸せな逝き方』(朝日新聞出版)。妻と娘2人、オス猫2匹と暮らす。妻はK-POPにハマり、看護師と高校生の娘たちも反抗期。慕ってくれるのは猫の「ジャッキー」と「きなこ」だけ。そんな日々を綴ります。

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この特集について
日だまり猫通信
イケメンのオス猫2匹と妻子と暮らす朝日新聞の佐藤陽記者が、猫好き一家の歴史をふりかえりながら、日々のできごとをつづります。
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