猫にもやっぱり「好み」がある 2匹と家族4人の微妙な関係
猫と人間との関係は、微妙である。兄猫ジャッキーと弟猫きなこも、やっぱり「好み」があるようで、わが家の4人との距離感は、違う。人間同士と一緒で、「合う、合わない」があるのだろう。さて、猫2匹と家族4人の微妙な関係は――。
(末尾に写真特集があります)
兄猫のジャッキーは断然、「妻派」だ。本コラムの1回目で紹介したように、「自分がこの人に救われた」ということが、何となくわかっているのかもしれない。
妻(51)も、それにありったけの愛でこたえる。「どうしてこんなにかわいいんだろ? かわいすぎて罪~~」が口癖だ。今まで飼った猫とは違う、「どうしようもないかわいさ」があるのだという。弟猫きなこにエサなどを譲る、控えめな性格も、母性本能をくすぐるらしい。
妻はジャッキーを抱っこし、彼のお腹に自分の顔を埋める。ジャッキーもまんざらではない表情。2人の相思相愛ぶりは、見ていてジェラシーを感じるほどだ。
大学3年の長女(21)は、ジャッキーに片思い。ベタベタしすぎるせいか、やや引かれ気味。ストレートな愛情表現をする長女は、ジャッキーを何とか抱っこしようとする。時々、腕の中を飛び出し、逃げてしまう。長女は「ジャッキー~~、私の時は、なんで逃げちゃうの?」と悔しそうだ。妻に「あなた、しつこいからよ」と諭され、落ち込んでしまう。
一方、弟猫のきなこは、どうか? こちらは、どちらかというと僕になついている。仕事から帰ると、リビングのガラス扉越しに「ニャーニャー」と泣き続ける。時に悲痛に聞こえるほどだ。「そこまで俺のことを慕ってくれるのか」と優越感に浸る瞬間でもある。
リビングに入り、エサをあげようとすると、皿には既に「カリカリ」が入っている。「エサではなくて、僕自身を求めていたのか」。そう思うと、また優越感に浸ってしまう。
妻や娘2人から「パパ、良かったね。家族で慕ってくれる人がいて!」と、いつもからかわれる。きなこに下から、つぶらな瞳でじっと見上げられると、たまらない気持ちになる。
もちろんジャッキーに嫌われているわけではない。いすに足を組んで座っていると、必ず「ピョンコ」して、顔を足にスリスリして通り過ぎる。きなことはまた違う、おっとりしたかわいさがある。
中学3年の次女(15)は、「全方位外交」だ。ジャッキーとも、きなことも、同じ距離感で接している。長女に比べると、クールな性格。あまりベタベタしないからか、2匹とも次女とは、良い距離感を保っているように見える。朝学校に遅刻しそうなときも、「あっ、ジャッキーときなこ、さわってない」と、タッチしてから走り去る。妻か僕に怒られたときは、寝そべったジャッキーかきなこを「枕」に顔を埋め、慰めてもらう。
猫たちは、我々家族の潤滑油の役割を果たす。家族で時々けんかしても、スーッとジャッキーかきなこが通ると、その場の険悪な空気が和らぐ。わが家での僕の「地位」は、家族で6番目。妻を頂点に、長女と次女、ジャッキーときなこの次、だ。そしてこの「ヒエラルキー」こそが、佐藤家のささやかな平和を保つ秘訣なのかもしれない。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。