スリムでイケメンな「ジャッキー」と 中年太りオジサン「きなこ」

キャットタワーから、下を見るジャッキーときなこ
キャットタワーから、下を見るジャッキーときなこ

 兄猫ジャッキーと弟猫きなこのふるまいは正反対だ。スリムでイケメンなジャッキーに、まるで中年太りのオジサンのようなきなこ。そんな2匹の対照的な日常とは――。

(末尾に写真特集があります)

オジサン同士、つい共感

 まず、違うのは体形とルックス。ジャッキーはスリムで、人間でいうと「筋肉質のイケメン」なのに対し、きなこはずんぐりしていて、どちらかというと「飲み過ぎ中年太りのオジサン」。

 ジャッキーは、家族以外のだれから見てもイケメンらしい。妻と娘2人の気持ちは、どうしてもジャッキーにいってしまう。朝起きると、娘たちがまず様子を見に行くのは、ジャッキーだ。「かっこよくてスリムな男」に恋をする女心を考えれば当然か。

 僕は、あまり相手にされない(?)きなこの気持ちがよくわかるので、気にかけるようにしている。そのせいか、僕が家に帰ると、きなこがリビングルームの扉越しに「ホワ~ン、ホワ~ン」と鳴き続ける。

 エサを要求する相手も、僕が多い。妻がエサをあげた後でも、きなこは「こいつなら、エサをくれるだろう」と思うのか。異常にスリスリしてくる。そのことを知らない僕は、まるで「まだ、何ももらってないよー」と訴えるポーカーフェイスのきなこに、だまされてエサをやってしまう。

「パパ、エサちょうだいニャ~」。このつぶらな目で見つめられると、ついエサをあげてしまう
「パパ、エサちょうだいニャ~」。このつぶらな目で見つめられると、ついエサをあげてしまう

 一杯食わされてしまう僕は、きなこの健康を考慮して、最近は必ず妻に確認をしてからあげるようにしているが、ついつい「もらってないよ」のかわいい顔にだまされそうになる。

 なんだか「オジサン」同士で共感し合っている感じもする。妻と娘2人に相手にされない僕ときなこ、お互いに傷をなめ合っているのかも知れない。

 オスのきなこだが、意外と「男好き」である。じつはきなこの兄弟が、会社の先輩(60代前半)の家にいる。名前は「桃太郎」。桃太郎も、奥さんではなくその先輩にとてもなついているそうだ。寝るときもずっと一緒で、奥さんがうらやむほどだという。きなこの家系は、男性になつく習性があるのかも、と勝手に想像してしまう。

娘たちに遊ばれるきなこ。なんかどんくさいところが、また可愛い
娘たちに遊ばれるきなこ。なんかどんくさいところが、また可愛い

きなこの執着心は、感心するほどすごい

 さて、話を戻そう。歩き方も2匹は違う。ジャッキーは、さっそうときれいに歩く。まるでファッションショーに出演するモデルのように。一方のきなこは、音にすればドスンドスンとゆっくり踏みしめるように歩く。妻や娘たちも「きなこの歩き方には貫禄があるね」と、いつも笑っている。

 運動神経もジャッキーは抜群だ。アルミホイルを丸めて作った銀ボールを投げると、ダッシュして口にくわえ、得意げに戻ってくる。猫じゃらしでじゃらすと、ポーンと1.5メートルぐらいはジャンプする。 

 でも、きなこは銀ボールにはまったくの無関心。猫じゃらしにいたっては、体を動かさず手で追える範囲ならば、とりあえずじゃれてみるというありさまだ。

 いつもの定位置は、キッチン横のエサのお皿の前と決まっている。空のお皿の横に、ひたすら座り続け、通りかかる家族を見つめては「まだもらってないよ」と目で訴えかけてくる。

 とにかく余計な動きはせず、エサをもらうことだけを考えている。長いと3~4時間ずっと座り続けていることもある。妻と「これだけの執着心を見習いたいほどだ」と半ばあきれ、半ば感心している。それ以外にいるとすれば、食卓の下で、おなかを出して仰向けに寝ていることが多い。まさに「食っちゃ寝」生活。うらやましい!

食卓の下で、おなかを出し寝転ぶきなこ。ポッコリしたおなかが、何ともかわいい?
食卓の下で、おなかを出し寝転ぶきなこ。ポッコリしたおなかが、何ともかわいい?

 猫は夜行性なので夜中に2匹で「戦いごっこ」が始まることがある。そのときも、ジャッキーの動きはきびんで、きなこは防戦一方だ。ジャッキーは、いったんソファの上にジャンプして、勢いをつけてきなこに飛びかかるなど、様々な技を駆使するが、きなこはすぐに仰向けになっておなかを出して「はい、降参!」。ジャッキーの勝利に終わる。

 あー、きなこ、もっと頑張れ! 僕は、ますます「きなこ愛」が大きくなる。

バルコニーの手すりに乗って、ひなたぼっこをするイケメンのジャッキー
バルコニーの手すりに乗って、ひなたぼっこをするイケメンのジャッキー

 というわけで、僕以外の佐藤家の女子3人は、かっこいいジャッキーの大ファン。僕もうらやむほどのモテモテぶりだ。そんなモテモテぶりを、次回コラムで紹介しよう。

【関連記事】猫にもやっぱり「好み」がある 2匹と家族4人の微妙な関係

佐藤陽
1967年生まれ。91年朝日新聞社入社。大分支局、生活部、横浜総局などを経て、文化部(be編集部)記者。医療・介護問題に関心があり、超高齢化の現場を歩き続けてまとめた著書『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)がある。近著は、様々な看取りのケースを取り上げた『看取りのプロに学ぶ 幸せな逝き方』(朝日新聞出版)。妻と娘2人、オス猫2匹と暮らす。妻はK-POPにハマり、看護師と大学生の娘たちも反抗期。慕ってくれるのは猫の「ジャッキー」と「きなこ」だけ。そんな日々を綴ります。

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この連載について
日だまり猫通信
イケメンのオス猫2匹と妻子と暮らす朝日新聞の佐藤陽記者が、猫好き一家の歴史をふりかえりながら、日々のできごとをつづります。
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