15歳の愛猫とステイホーム 「今ここにしかない時間」を大事に、思う存分味わう

映画監督・犬童一心さんの愛猫「チャッピー」
チャッピーとのステイホーム

 コロナ禍、の「禍」をなんと読むのか?などと軽い気持ちで話していたら、あっという間に映画の撮影は延期。その後の打ち合わせはリモートとなり、「ステイホーム」なるのどかな言葉を旗印に自粛となった。

 家にこもり、チャッピーとはかつてなく密接に長時間一緒だった。チャッピーの日々をこれほど見つめ、これほど声をかけ、撫(な)で続けたことはない。

 朝、私が起きてリビングに行くと必ずやってきて、いつもの位置に座ってこちらを見上げる。少し温めた、新しい水がほしいのだ。朝食のおこぼれのヨーグルトをもらえるまで更に待つ。食べるとトイレ。終わるとソファに行ってゆったりと毛づくろい。その隣に座ってコーヒーを飲むと、頭を私の足に乗せ背中を向ける。撫でてほしいのだ。ゆっくりと撫でていると、眠ってしまうか、飽きて日当たりの良い階段に行ってまた毛づくろい。

 チャッピーは、台風の大雨の中で拾ったのが出会い。東京で外に出るのは危険と、家から出さなかった。その時からずっと「ステイホーム」だ。

 私がソファに横になると、股の間に乗って来る。そしてこっちを見る。その目をじっと見つめているうちに、私の心持ちにも変化が訪れた。時間があるのだから資料になる本を読もうとか、見ていない映画をチェックしようとか、そのままになっていた企画書を仕上げようとか、何か役に立つことをしなければという急(せ)いた気持ちは消え、じっくりと庭いじりを始め、ゆっくりと散歩をするようになった。この期間を無駄にしない、損をしたくないという考えが消えたのだ。

 友人の監督が、リモートで映像作品を撮り始めネットで公開するようになった時、私はそっちへは行かなかった。チャッピーと今ここにしかない時間を大事にして、思う存分味わおうと思った。だって、チャッピーは15歳だし、いっぱい一緒に居られるなんて幸せじゃないですか。

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犬童一心
1960年東京生まれ。映画監督。主な監督作品に「金魚の一生」「二人が喋ってる。」「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など

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この特集について
遠い目をした猫
「グーグーだって猫である」などを撮った映画監督で、愛猫家の犬童一心さんがつづる猫にまつわるコラムです。
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