雨の中で鳴いていた子猫 泥まみれで救出、「我が子にするんだ」
冷たい雨が降り続く中、子猫の鳴き声が聞こえた。しかし、探しても姿は見えない。翌朝、やっとの思いで子猫を発見し、泥まみれになって救出した。その瞬間、「我が子にするんだ」と強く思った。
雨の中、空き家の壁の下に子猫
2017年11月、外は冷たい雨が降っていた。大阪府に住む糸川さんは、旅行から帰って、久しぶりに出勤した。すると、職場の横の空き地から、猫の鳴き声が聞こえてきた。だが姿は見えない。気になって、近くにキャットフードと水を置いて帰宅した。
翌朝、雨は一層ひどくなっていた。ただ、猫の鳴き声は聞こえなくなっていた。最悪の事態を考えながら猫を探した。すると、か細い声が空き地の隣の空き家の裏から聞こえてきたという。しかし、やはり姿は見えなかった。糸川さんは空き家のトタンをはがしてみることにした。
「壁と地面の間に少しすき間があり、『絶対にここにいる』と確信したんです」
仕事用の白衣が汚れるのも気にせず、糸川さんは両手で土を掘り起こした。半分土砂に埋もれた状態で、そこに子猫がいた。
泥を落とすと、サビ猫だった
子猫を抱き上げた糸川さんは愕然としたという。
「両目が目やにと土で潰れていたんです。慌てて汚れをふき取りました。きれいにすると、目が半分開きました」
その時、糸川さんは子猫と目が合った気がして、「我が子にするんだ」と強く思ったという。泥だらけの仕事着のまま、動物病院に走った。
まだ開院前だったが、獣医師は速やかに手当てをしてくれた。生後2カ月くらいだった。
「泥だらけの目が開いていない子猫を抱えてパニックになっていましたが、きれいに洗ってもらうのを待っている間に、気分が落ち着いてきました」
きれいになった猫を見て、サビ柄という独特な柄の猫だということを知った。
「ふわふわになった子猫を抱きかかえた時は、ただただ幸せな気持ちになりました。その抱き心地は、いまでも覚えています」
我が家のように振舞う子猫
糸川さんは子猫に「ビビ」ちゃんと名前を付けた。
保護して最初の3日間は、低体温症と脱水症状との戦いだった。口呼吸になるくらい症状が重く、夜通し眠らずに看病し、朝になると、動物病院に行った。自ら水分を摂らない子だったので、数時間おきにスポイトで水分を補給して、水を飲む特訓をしたそうだ。
家には先住猫がいたので、猫風邪が完治するまで、別の部屋に隔離していたが、ビビちゃんは最初から、まるでずっと暮らしている我が家のように振舞った。その姿を見て、糸川さんは安心したという。その後、ビビちゃんは自ら先住猫のなつめちゃんに近づき、1週間後には本当の姉妹のように仲良くなった。
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