ガレージに子猫が入った段ボール箱 小さな三毛はよく食べて幸せに
個人で保護活動をしている家のガレージに、早朝、段ボール箱が置かれていた。中には子猫たち。そのうち三毛の子猫は、メスの猫を探していた家に引き取られた。小さくやせていたが、よく食べて大きくなり、マイペースな猫に育った。
段ボール箱の中に子猫
2017年7月、朝からうだるような蒸し暑い日だった。家のガレージを見ると、大きな段ボール箱が置いてあった。
大阪府内で、個人で猫の保護や譲渡の活動をしている辻本さん。できる範囲で活動しているのだが、時々無理やり猫を押し付けるように持ち込んだり、捨てに来たりする人がいる。嫌な予感が胸をよぎった。
箱の中から子猫の声が聞こえてきた。箱の側面はガムテープでしっかり固定され、上部には空気を取り込めるように丸い穴が開けられていた。ふたを開けてみると5匹の子猫が入っていた。ウェットフードと糞尿にまみれ、ノミがたかっていた。
黒猫が2匹、茶トラが2匹、三毛猫が1匹。辻本さんは何はともあれ子猫たちをシャンプーして、ごはんを食べさせた。お腹がすいていたのか、5匹ともガツガツと食べた。
猫がほしい…でも厳しい譲渡条件に叶わず
奈良県に住む山川さんは、お寺に捨てられていた猫を飼っていたが、2016年秋に亡くなってしまった。「猫がいないのは、寂しいなあ。どこかにいい子がいたら、春くらいには迎えたいな」と思っていた。譲渡会にも何度か足を運んだが、思いのほか、譲渡条件が厳しく折り合いがつかなかった。
「子猫なら8時間以上、成猫でも4時間以上家にいられる人でないと、だめだと言われたんです。家の間取り図を求められることもあり、あまり知らない人に見せるのは抵抗がありました」
ひと昔前なら、譲渡会に行かなくても町に野良猫や捨て猫がいたが、いまは見当たらない。あきらめきれずに探していると、獣医師が中心になって猫の医療や譲渡の支援をしている団体「avet(エイベット)」のサイトで、三毛の子猫を見つけた。
自分の時間を大切にするマイペースな「寧々ちゃん」
サイトには、譲渡先を募集している多くの猫についてのブログが掲載されているが、その三毛猫は一番上に出ていて目にとまった。幼い頃からメスの猫しか飼ったことがなかったため、メスを探していたのだが、三毛猫以外はすべてオスだった。
三毛猫を保護した辻本さんは、幸い留守番の時間で制限はしていなかった。三毛猫を連れてきてもらい、その日からトライアルを始めた。
三毛猫には「寧々ちゃん」と名付けた。生後3カ月と聞いていたが、あばら骨に簡単に触れることができ、月齢より小さいように感じた。それでも怖がる様子もなく、ごはんを食べてぐっすり眠った。「よく食べてくれたので、心配はいらないと思いました」
寧々ちゃんはマイペースで、自由気ままに暮らしている。山川さんが朝仕事に行く時「行ってきます」と声をかけても、知らん顔のこともある。帰宅しても「もう帰ってきたの」と素知らぬ顔をしている。
「猫にも個性はあるでしょうけど、人と猫の間にも距離感が必要です。寧々は甘えたい時に甘えてきますが、自分の時間を大事にしているように思います」
それでも山川さんは、家で待つ寧々ちゃんのことを思うと、外にいても「早く帰って煮干しをあげないと」という気になるという。「寧々がいてくれると、温かい気持ちになれるんです」
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