雨の公園に捨てられた子猫たち 譲渡希望のない黒猫に情が移る
雨の降りしきる公園に、4匹の子猫たちが捨てられていた。2匹のキジトラはあっという間に引き取り先が決まったが、残る2匹の黒猫にはなかなか希望者がなかった。そうこうしているうちに、保護主の情が移り、2匹はその家の猫になることになった。
びしょびしょの段ボール箱に子猫
一日中、雨がしとしと降り続く日だった。2009年7月、大阪府内の住宅地にある公園。あずまやに4匹の子猫が入った段ボール箱が置かれていた。
中の2匹は黒猫で、2匹はキジトラ。目が開くか開かないかの、産まれて間もない子猫だった。箱の中には牛乳とツナ缶も入っていた。あずまやとはいえ、雨が降りこんできて、段ボール箱はびしょびしょに濡れていた。
段ボール箱の子猫を発見したのは近くの子どもたち。前日にはなかったらしく、人気の少ない雨の日に子猫たちを捨てに来たのだと考えられる。
宮沢さんは、子猫を発見した子どもたちに「見に来て」と言われて公園に行き、子猫を預かった。
黒猫2匹に情が移り…
キジトラの子猫はすぐにもらい手が見つかったが、2匹の黒猫はなかなか譲渡希望者が現れなかった。宮沢さんは動物病院やスーパーに譲渡先募集のビラを貼ってもらった。
宮沢さんは結婚当時、夫が野良の子猫を拾ってきたことがあり、子猫の育て方はある程度知っていた。乳離れするまでは3時間おきにミルクを与えなければならず、職場まで子猫たちを連れて行き、哺乳瓶でミルクを飲ませたという。「スミッチ」と「小ちび」と名付けた。
子猫たちが生後3カ月くらいになった時、友人の友人が黒猫を引き取りたいと言ってくれた。
「でも、すっかり情が移ってしまって、可愛くて仕方がなかったんです。譲渡すると思うと涙が出てきて、その人には悪いけど、渡せませんでした」
べったり仲のよい黒猫2匹
2匹の黒猫は子猫時代、ずっと宮沢さんの肩に乗ってきたという。
「お茶碗を洗っている時も、運動靴を洗っている時も、ずっと肩に乗っていました。いまでも人が大好きなんです」
2匹はとても仲良しで、いつも一緒にいる。ただ、他の猫は、あまり受け入れる気がないようだ。
スミッチちゃんは、後から家に来た若いオス猫をいつも追いかけまわす。スミッチの寝場所に寝そべろうものなら、「私がいつも寝ているところに、なんで寝てるの」とでも言うように主張する。
一方の小ちびちゃんは小悪魔的な性格。フレンドリーにしているように見えても、急にギャーっと怒り出すこともある。自分の肉球をチュッチュッと吸うのが好きで、なぜか香水をつけている女性にもすり寄っていく。
宮沢さんは仲のよい2匹のために、ワンピースなどおそろいの洋服を用意したりしてかわいがっている。
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