愛猫にとってのソーシャルディスタンス 広すぎる猫と、ゼロの猫

 ここ数カ月で突然現れ、当たり前にまでなった“ソーシャルディスタンス”という言葉。新しい生活様式を始めるためにも意識すべきことですが、我が家の2匹の猫らにも、それぞれの“ディスタンス(距離)”があるようです。

家でもソーシャルディスタンス

 まず、キジトラ猫の“モモ”は、我が家に来た子猫の頃から常に、飼い主との間に距離をとって生活しています。

 最初は、慣れない環境と新たな飼い主に対する距離でした。多くの猫が、初めての場所や人に対して距離を取るものでしょう。

 モモは常に我々人間に姿を見られないよう身を隠し、ゴハンも人が見ていないときに食べていました。そんな生活を2週間くらい続けて徐々に慣れ、飼い主には心を開くようになってきました。

 しかし、ビビりの性格は相変わらず。来客があると、基本的には姿を隠し、2時間くらい経過してその客人が物静かだと分かると、客人を確認しに出てきて、短くても3メートルは距離を取ります。

 すっかり慣れたはずの飼い主にですら、いまだに距離を取ることもしばしば。モモは、甘えたいときに、飼い主の1メートル先にちょこんと座り、モジモジしながら視線を送ります。

 甘えたいのだな、と気づいて「モモちゃーん!」などと声をかけて近づくと、モモは「いや、そんなんじゃないんだけど……」みたいな様子になり、その距離はさらに遠くなります。はにかみ屋さんにもほどがあります。

 仕事中に、1メートルのところで猫がモジモジ視線を送ってくるのは気が散りますが、モモの好きなようにさせるしかありません。放っておけば、そのときの気分次第で寄り添って来たり、そのまま寝てしまったり、やっぱりいいやとプイッと行ってしまったり、さまざまです。急に膝に乗ってくるなど、いきなり距離を縮めることがないのがモモなのです。

モモの最近のお気に入りの寝床はテレビ前

ディスタンスなしの猫も…

 一方、猫でありながらソーシャルディスタンスの概念がないのが、サビ猫の“あんず”です。

 保護猫の譲渡会で出会ったときから、初対面の夫に抱かれてゴロゴロ、にゃあにゃあと甘えていましたから。

 我が家にも12日で慣れ、「モモ~出ておいで~ここの家、そんなに悪くないよ~」みたいな感じで、あんずがモモを誘い出し、飼い主とモモの距離をその天真爛漫さで埋めてくれました。

 ソーシャルディスタンスが叫ばれている今でも、あんずにとってはおかまいなし、という出来事がありました。

初対面の人にも距離感ゼロ

 先日、エアコン洗浄のために、業者さんに家まで来てもらいました。この時期に家に他人を上げるのも……とも思いましたが、何が何でも洗浄しなければならず、決行したのです。

 1LDKのせまい我が家が“密”になってはいけないと、娘と夫には散歩に出てもらい、私が留守番をしていました。

 2人の作業員の方がさまざまな掃除グッズや洗剤、水の入ったタンクを持ってきて、てきぱきとエアコン2台の作業にあたってくれました。

 モモは、まずチャイムに驚き、右往左往してから、身を隠していました。あんずはチャイムも気にしない無神経ぶりを発揮し、作業員の方々を気にすることなく猫タワーの頂上でぐっすり。たった1時間半ほどなので、このまま無事に終わるだろうと思っていると……。

 あんずが猫タワーの上で目を覚まし伸びをして、エアコン洗浄をしている業者さんの姿に気づきました。

「え? 何、誰? 人が来ていたなら言ってよーおもてなししないと」

 と思ったか分かりませんが、いそいそと作業員の方に近づいていきました。

 私「ちょっと! あんずちゃん、今はだめだよ」

娘のおもちゃを蹴散らして“猫めしや”ポーズを決めるあんず

 我が家のきったないエアコンを洗った汚水や、掃除の薬剤なんかが置いてあったので、あまり猫を近づかせたくありません。それに、エアコンのまわりの家具は、しっかりビニールで養生されているので、あんずがイタズラしたら作業の邪魔になります。

 しかし、好奇心が旺盛すぎるあんず。見慣れぬ客人を見過ごすことなどできません。

 あんずの気をそらそうと、おもちゃをけしかけても無視。そんなことより、知らない人や、見たこともない掃除用品で遊びたいんです。

 私「見るだけだからね」

 途中、作業員の方がエアコンのフィルターなどを洗いに外の水場に移動するたび、玄関まで着いていくあんず。

 作業員の方は、あんずが足元に来ると、少し困ったような顔をして会釈。事前に猫がいることは言ってありましたが、戸惑いますよね……。犬ならともかく、フレンドリーな猫にまとわりつかれたら……。

 あんずが近づきすぎないよう見張り、近づきすぎたら抱っこ、というのを繰り返して、大きないたずらもなく無事に終了。

 こんな時期なので、お互いのために距離をとっておきたかったのですが、あんずにはソーシャルディスタンスを守ることなどできないようです。

甘えています

 猫って、モモのように基本的に距離を保ちがちですが、それぞれ自分なりの譲れない距離感を持っている生き物だなと感じています。

 人の距離感も、それぞれ個性がありますが、今は距離をとって、またそれぞれの距離感で過ごせるようになれたらいいなと切に願っております。

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安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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この特集について
猫アレルギーですけど
普通の家で飼われている猫「あんず」と「モモ」。飼い主の主婦が、2匹との生活や発見をユニークな視点で切り取る人気連載です。
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