20歳を迎えた猫「モコ」、今も子猫と鬼ごっこ 長寿のひけつは

 花びらのように広がる猫の“ザビエル首輪”を作ることでも有名な、インスタグラマーのmaiさん(@maihimemoco)の飼い猫「モコ」ちゃんが、4月はじめに20歳を迎えました。20歳は猫飼いの憧れ。maiさんに、飼い主としての心境や、日々心がけていることなどを伺ってみました。

今年4月、ケーキで20歳のお祝い(maiさん提供)
今年4月、ケーキで20歳のお祝い(maiさん提供)

(末尾に写真特集があります)

大学時代から一緒の猫

――モコちゃんと出会った時、maiさんは学生だったのですね。

 はい、大学時代に道端で保護しました。当時診て頂いた先生から推定(生後)半年以上といわれたので逆算して、4月1日を誕生日にしました。ただ、今思えば歯周病で歯もほとんどない成猫だったので、実際はいま20歳半くらいかも。

 20歳まで生きられたらよいなぁと漠然と思っていたので、目標がかなえられた時は本当にうれしかったですね。何より今こうして元気に幸せそうに過ごしてくれていることに感謝の気持ちでいっぱい、モコが誇らしいです。

 ありがたいことに、インスタでも800件以上のお祝いコメントをいただきました。やっぱりみなさん、猫の20歳には“特別な気持ち”をお持ちなんだと思いました。

――今の家はモコちゃんのことを考えて設計したと聞いています。

 当時11歳だったモコのことを中心に考え、建てました。とにかく快適に過ごせるように、トイレ部屋に(臭わないように)小窓や換気扇を付けたり、日なたぼっこがしやすい棚を付けたりしています。「ストレスフリー」が大切だと思いましたので。

―――シニア期に入ってから、特に気をつけたことはありますか?

 10歳くらいから年に1回は血液検査をして、13歳の時に腎臓が悪いとわかってからは半年に1度検査をしています。階段に滑り止めを付けたり、あえて高いところへ登れないように柵をしています。高齢猫の足腰はやっぱりふらつくし、足を滑らせたら大変なので。

 あとは人間と同じで腸が大切だと信じているので、毎朝ご飯に乳酸菌(ハタ乳酸菌というパウダー)をかけています。2年前から腎臓のための新薬(ラプロス)を飲み始めて、食欲が出て、そこから体重も増えて筋肉もしっかりしてきました。

妹分の白猫コトちゃんと(maiさん提供)
妹分の白猫コトちゃんと(maiさん提供)

妹分の猫が来て若返った

――maiさんのお宅には、妹分のコトちゃん、チコちゃんがいます。保護活動をされているので、“猫との触れあい”もモコちゃんのいい刺激になったようですか?

 13年間は一人っ子だったので、他の猫との接触はストレスになるかな?と不安でした。でもコトを家族に迎え入れてからモコは刺激を受けて、起きている時間が増え、目に見えて若返りました!

 その後、趣味の保護活動で70匹以上の猫を一時預かりしてきましたが、モコは子猫とお昼寝したり鬼ごっこしたりして“若いパワー”をもらっています。筋肉も付いた気がします。

チコ(左)もモコが好き。コトと3匹“仲良しトリオ”(maiさん提供)
チコ(左)もモコが好き。コトと3匹“仲良しトリオ”(maiさん提供)

来年こそ新体操を一緒に

――そもそもモコちゃんはどんなキャラですか?

 とにかく甘えん坊でおっとり穏やかな子です。そして、昔から運動神経はよくなくて、どんくさいところがあります(笑)

――今後の目標を聞かせてください。

 4年前にテレビで一緒にオリンピックの新体操(フェアリージャパン)を見ていた時に、モコがリボンにじゃれていたんです。次のオリンピックも一緒に見られたら良いけど、難しいかな…と思って涙しました。

 でもこうして20歳を迎えられたので、来年オリンピックが開催されたらまた一緒にフェアリージャパンを応援したい!でも、モコがストレスフリーに幸せに穏やかな老後を1日でも長く過ごしてくれたら、それでよいです。

今春、美しい桜の木の下で(maiさん提供)
今春、美しい桜の木の下で(maiさん提供)

長生きにはモコちゃんの性質が影響?

 モコちゃんは2016年7月から都内の西日暮里ペットクリニックに通っています。現在の主治医の福田卓也先生に、お話を伺いました。

「20歳を超えた猫ちゃんはうちの病院でも診ていますが、そう数は多くはないので、モコちゃんが来院するとスタッフも“わあっ”となります。

 最初に来院された時にすでに(慢性)腎臓病を患っていて、昨年の春ごろにかなり悪くなりました。でも薬を続けると、腎臓の数値に改善がみられました。まだ正常値と比較すると少し高いのですが、年齢を考慮すると十分合格な範囲だと思います。毛づやの感じもいいですよ」

――モコちゃんの長寿の秘訣はなんだと思いますか?

「おとなしく体を触らせて(診察させて)くれたり、薬を飲んでくれたり、長生きの裏にはモコちゃんの性質が影響しているかもしれません。病院嫌いだと、具合が悪くても連れていくのが遅れ、治療がうまくできないこともあります。

 飼い主様が“いつも猫をきれいにしているな”ということも感じます。複数飼いだと管理が細かいところまで行き届かず、目元が汚れたりしていることもあるのですが、よくお手入れされてそんなこと目にすることはありません。家でもきちんと猫のケアをされているのでしょう。飼い主様の実践あってこその治療なので、治療の効果が出ているのは飼い主様のおかげなのだと思います。私たちはアドバイスしているにすぎないのかもしれません。

 お誕生日前には、ワクチンのご相談があったので、診察のうえ3年ぶりに接種しました。保護猫を預かるお宅なので、感染症予防のために…これからも、元気に過ごしてほしいですね」

 この取材の後、maiさんのお宅では5匹の子猫を保護したそうです。最年長のモコちゃんは、「今年もにぎやかな春が来たわね」と思っているかもしれません。

 モコちゃん、ハッピーバースデー!

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藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は19歳の黒猫イヌオと、5歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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この連載について
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