白猫のお尻で有名になった女性 明るくのびのび保護活動

 尾が短く、左右の目の色が違うオッドアイの白い猫がSNSで大人気になり、手作りの首輪を発売するとすぐに完売するという人気インスタグラマーがいる。最近は猫の保護活動も行い、保護猫を譲った“猫家族”も増えているという。そんな女性に会いに行ってみた。

(末尾に写真特集があります)

 真っ白い体に、ウサギのように短いしっぽ。猫の名は「コト」。インスタグラムに投稿された写真が評判を呼び、3年前にはお尻のカットを集めた写真集「コトのおちり」(扶桑社)にもなった。

 コトは東京都の東、駅からほど近い一戸建て住宅に住んでいる。飼い主はインスタグラマーのmaiさんだ。

魅惑的なコトの後ろ姿。ぷりっぷり(maiさん提供) 
魅惑的なコトの後ろ姿。ぷりっぷり(maiさん提供) 

 話を聞いている最中、居間を白い猫を通りすぎ、ぴょんと棚に上った。後ろ向きになると、短い尾とお尻が見えた。

「本当にお尻が丸見えでしょ(笑)。お尻をアップする人は他にいないからインスタで笑ってもらえましたね。“プリケツ選手権”(猫部門)でも優勝し、そのあたりからフォロワー数が増えました」

 コトは5年前、静岡の女性が廃墟で保護した野良猫の子だった。兄妹の中で1匹だけ人気がなかったが、maiさんはインスタで見て、コトに一目ぼれした。

「他の人にはマイナスに見える短尾やおぶすな顔が、私にはすごく魅力的だったんです」

 しかし、すぐにコトを迎え入れたわけではない。すでに自宅には13歳を過ぎた先住猫の「モコ」がいたからだ。

2匹の猫とmaiさん
2匹の猫とmaiさん

同居猫に“妹”を

「先住のモコとは、私がまだ大学生の時、バイトしていたバーに向かう途中の道で出会ったんです。トコトコ後をついてきて、私が店に入ると、窓からじっとのぞいている。幹線道路沿いなので危なくて、マスターが『連れて帰れば?』と言ってくれたので(当時同居していた)実家の母に『猫を保護するよ』と電話したんです」

 maiさんのお母さんも動物好きで、家にはすでに犬と猫がいたが、即OKが出た。モコはしばらく実家で賑やかに暮らしていたが、Maiさんが大学を卒業した後、一緒に東京に引っ越してきた。

 そこにコトを迎えると言うと、周囲もお母さんも反対したという。

「モコが年だし、ストレスになったら可哀そうだと心配されました。私もそこは考えましたが、モコがいなくなったら自分はもう生きていけないという不安もあって、モコが元気なうちから妹分的な猫を迎えたかったんです。ぐずぐずと悩んでたら、コトが夢に出てきて、モコと一緒に寝ていた。きっと大丈夫、迎えるなら今しかない、と思って迎えました」

 見合いは予想外にうまくいった。最初こそシャーシャーいったが、モコは無邪気に甘えるコトを本当の妹のように可愛がった。追いかけたり張り合ったり、刺激を受けて「若返えった」ともいう。冷蔵庫の上で寝ているモコは、確かに愛らしく18歳には見えない。

若々しい18歳のモコ
若々しい18歳のモコ

近所の猫にも関心が向き

 maiさんが住む周辺は野良猫が多く、餌やりをする人もいた。2匹の愛猫との暮らしを満喫しながら、maiさんも外の猫が気になり始め、TNRをすることもあった。そんな時、近くに住む親せきから、「家の軒下で猫が5匹生まれた」と連絡が入った。

「その時には5万人くらいにインスタのフォロワーさんが増えていました。子猫と母猫を保護してアップすると、ありがたいことに“もらいたい”というコメントが多く届いたため、住環境などある程度選んで、1人1人と面接しました」

 それから3年。この夏には、軽井沢から46番目の保護猫「ましろ」を連れ帰り、三毛猫の「やよい」と「よつば」も保護中だ。

「ましろは、山に捨てられたみたい。軽井沢にいってすぐ見つけたので、捕獲機をネットで買い、おやつでおびきよせて、東京に帰る2日前に捕まえてノミ取りやシャンプーをしました。捕まえるまで3回に分けてブログに書いていたのですが、もらいたいという声が多くあり、この子ももう家族が決まりました」

コトを抱くmaiさん
コトを抱くmaiさん

花びらのような首輪

 maiさんは自営業をするかたわら。保護活動を積極的に続け、「ねこ休み展」などイベントにも写真やグッズを出展する。オリジナルグッズも考案した。

「皆さんが自分の猫に使える物のほうが喜ばれると思い、1年半前に、花びらのように広がる『ザビエル首輪』を作りました。型紙はお父さんが作ってくれたんですよ。理数系なので、そういうのが得意で、張り切って試作を作ってくれました(笑)」

 布の襟が開いて少し立つように計算して、花びらの形や数を考えた。きつくないように通すゴムの長さは28センチにした。Maiさんが布を選び、お母さんがミシンで縫うが、イベントには大量に必要になるため、縫い子さんにも手伝ってもらう。

「ザビエル首輪は夏のイベントで500個完売しました。ネットでチャリティーとして販売することもあります。仲間が保護した地域猫の抗がん剤代を集めたり、広島の友達が骨折した猫を保護した時も、手術代をチャリティーで集めました。その手術の後、豪雨で被災されたので、炊飯器なども送りました」

 家族の応援も受けながら、のびのび明るく活動をしている。それゆえmaiさんに惹かれる人も多いのだろう。

「保護した猫を人に託す時は涙が出ることがあるけど、皆さんインスタなどに載せてくださるので、様子がわかって安心です。保護猫を譲るたびに、一人、また一人と親戚が増えていく感じ。猫を介したつながりは、実の親戚以上に濃いんですよ。私には子どもがいないけど、元気に育つ保護猫たちは、まるで孫みたいに愛しいんです」

 そういって、とびきりの笑顔を見せた。

maiさんのインスタグラム
@maihimemoco
藤村かおり
ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。

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この特集について
ペットと人のものがたり
ペットはかけがえのない「家族」。飼い主との間には、それぞれにドラマがあります。犬・猫と人の心温まる物語をつづっています。
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