多頭飼育崩壊の寸前で救出 控えめな子猫が飼い主の生活を変えた

控えめな性格の小鉄くん

 善意だけでは、多くの猫の面倒を見ることはできない。子猫を預かったエサやりさん宅が多頭飼育崩壊の寸前になった。8匹の子猫が救出され、中でも控えめだけど甘えん坊な子猫は、新しい家に迎えられ幸せをつかんだ。そして飼い主の女性の人生を変えた。

(末尾に写真特集があります)

預かりで多頭飼育崩壊寸前に

 大阪府内に看板業者が集まる町がある。毎日そこに通って野良猫にエサやりをしていた人が、ある時TNRに協力を求められ、3匹の子猫を保護した。3匹はエサやり仲間の家に預けられたが、陽の当たらない玄関に置いたケージに入れて、エサを与えるだけで、健康に育つ環境ではなかった。譲渡を試みたものの、なかなか見つからず、年が明けてしまった。

 2018年1月、猫の保護活動をしている藤本さんが子猫たちの存在を知り、大阪にある猫カフェ「ミーチャミーチョ」に紹介し、子猫たちを引き取ってもらうことになった。エサやり仲間の家は8匹の子猫を抱え多頭飼育崩壊寸前だった。ミーチャミーチョのオーナーが5匹を引き受け、藤本さんが残る3匹を引き受けて譲渡先を探したという。

 ミーチャミーチョが預かった子猫の中の1匹が「小鉄くん」だった。

どんくさく、いじらしい子猫

 大阪府に住む森下さんは、長年猫と暮らしたいと思いながらも、仕事が忙しく、家にいる時間が少なかったので、飼うのをあきらめていた。転職をして時間ができたのを機に、念願の猫を飼ってみようと思い立った頃だった。

ママの腕の中でご満悦

 よく通っていたミーチャミーチョで、森下さんは生後9カ月の小鉄くんに出会った。やんちゃで人懐っこい茶トラの子猫も気になったが、猫じゃらしをうまくつかめないなど、小鉄くんのちょっとどんくさいところが可愛いと思った。他の子がひざに乗っていると、足元で伏せをして待っている、いじらしさもあった。彼も「絶対小鉄がいい」と言うので、小鉄くんを譲渡してもらうことにしたという。

飼い主の生活が変わった

 2018年4月、小鉄くんは森下さん宅にやって来た。最初は固まって動かず、トイレの中でうずくまっていたり、ベッドの下から出てこなかったりした。2日間ほど夜泣きをし続けたので、森下さんは朝の4時くらいまで眠れなかった。

 ミーチャミーチョのスタッフに聞くと、いままでずっと兄弟と一緒にいたので、兄弟を探しているのではないかということだった。だが、2日ほどすると、小鉄くんはひょっこり出てくるようになったという。

 小鉄くんを迎えてから、森下さんの生活はすっかり変わった。それまでは飲み会に行くと、2次会や3次会にも参加していたが、飲み会に行くことが激減し、土日も出かける回数が減ったそうだ。

 猫は自分のペースで生きる気ままな動物だと思っていたのだが、森下さんの気持ちに合わせてくれることにも驚いた。森下さんがインフルエンザで寝込んでいた時はずっとそばに寄りそい、落ち込んで辛い気持ちになった時は控えめに甘えてくる。森下さんは、そんな小鉄くんが愛おしくてたまらないのだという。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この特集について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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