きょうだいで一番臆病だった子猫 迎えられた家でヤンチャ発揮

 猫のどんな所にひきつけられるかは人それぞれ。女性は譲渡会で4きょうだいの中で一番怖がりだった子猫にひかれた。それでも家に迎えると、子猫は人なつっこさとやんちゃぶりを発揮した。

(末尾に写真特集があります)

 大阪の住宅地にいた野良猫が妊娠、出産したため、母子ともに捕獲された。母猫は避妊手術をして元の場所に戻し、4匹の子猫たちは保護、それぞれ春、夏、秋、冬という名前がつけられた。2017年秋ごろのことだった。

 同じ母猫から生まれても、それぞれ性格が違った。茶トラの夏くんは天真爛漫な甘えん坊。秋ちゃんはなでるとゴロゴロ喉を鳴らした。春くんは一番の甘えん坊。グレーの、少しふわふわの毛の子が冬ちゃんで、4匹のうち一番の怖がりだった。

緊張した子猫に自分を重ねて

 大阪府に住む藤井さんのご主人は、猫が大好き。生体販売に反対していて、ご自身の会社でも猫を保護している。2017年、奥さんも保護した猫が自宅と会社を行き来した時に、初めて猫と触れ合った。もともと犬派だったが、猫に興味を持ち始めたという。

「猫を飼ってみてもいいなと思って、譲渡会に行ってみることにしたんです。2017年9月、近くで、定期的に開催されているワンハート大阪さんの譲渡会に初めて参加しました。どの子も可愛かったけど、その時は決められませんでした。後で主人に、ひやかしのようなことをしてはいけないと言われましたが……」

ウキウキおやつタイム
ウキウキおやつタイム

 ワンハート大阪では、インスタグラムで譲渡会に参加する猫の写真を公開しており、その時、目に留まったのが冬ちゃんだった。

「インスタで見て可愛いなって。11月の譲渡会で実際に会ってみたら、4匹一緒にいたのですが、冬ちゃんだけが猫じゃらしにおびえていました」

 実は藤井さん、猫の譲渡会に参加したのは2回目。緊張していたので、同じく緊張している冬ちゃんに相通じるものを感じた。一番ビビりなところに加え、抱っこすると、毛並みがフカフカしていたので、冬ちゃんをもらおうと決めたという。

大好きなカニカマをこっそり

 冬ちゃんは、11月18日、生後4カ月で譲渡された。最初はソファの下に隠れてなかなか出てこず、水も飲まなかった。

 しかし、ワンハート大阪のスタッフと話しているうちに、少し顔を見せるようになり、爪切りもさせてくれた。翌日には、肩に乗ったり、顔をなめたりして人なつっこさを発揮したという。名前は、「あんこちゃん」になった。

昇る朝日に何を思う?
昇る朝日に何を思う?

 このあんこちゃん、藤井家の一員になってから、“カニカマ事件”を起こした。

 おやつのカニカマが大好きなのだが、ある日、静かに食器棚の中に入って、大きな袋を物色。藤井さんがふと見ると、食器棚の曇りガラス越しに、あんこちゃんがカニカマを食べているシルエットが見えたという。

 残念ながら他3匹のきょうだいは、譲渡されたものの、みんな亡くなってしまったという。臆病だったあんこちゃんだけが、元気に生きている。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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