パンダみたいな目元をした猫 「雑種のかわいさを伝えたい」

   雑種の猫は、色や模様がさまざま。中には一度見たら忘れられないような柄の猫もいる。都内に住むイラストレーターの女性は、初めて一緒に暮らす猫に、片方の目元がパンダのように白黒模様の猫を選んだ。その後、偶然、薄茶トラの子猫も保護することに。今では2匹と暮らし、かわいらしさをインスタグラムで発信している。

(末尾に写真特集があります)

「甘える時にモキュってすぼめる口や、ユーモア満点の柄が大好きです」

   都内に住むイラストレーターmimoeさん(34)と「パンダ小町」(愛称パンきゅん、メス、3歳)が出会ったのは3年前。熱海を拠点に飼い主のいない猫の保護や譲渡の活動を行っている動物愛護団体「NPOくすのき」のホームページで、家族を募集する記事を見たのがきっかけだった。

家に来た日のパンダ小町。最初は隠れたものの、温かそうな場所を見つけて…。(提供写真)
家に来た日のパンダ小町。最初は隠れたものの、温かそうな場所を見つけて…。(提供写真)

準備を整えて保護猫を迎える

「パンダちゃんという名で募集記事に載っていました。元捨て猫ですが、少し笑っているような小さな口がすごくかわいいと思い、都内で譲渡会があると知って、会いに行きました。一緒に暮らす彼は実家で猫を飼っていたけど、私は子どもの頃にシベリアンハスキーを飼っていて、今も実家に犬がいる。猫と暮らすのは初めてだったんです」

 犬派だったmimoeさんが猫に興味を持ったのは、以前住んでいた家の近くにいた地域猫と“親しく”なったことだった。近所のみんなにかわいがられていた地域猫の1匹と心を通わせるうちに猫が好きになり、「いつか飼いたい」と思うようになった。引っ越しのタイミングで“ペット可”の物件を探したのだという。

   準備を整えて迎えた猫との暮らしは、想像以上に楽しいものだった。

「猫に触ると、すごーく気持ちよくて、それだけで不安もイライラも吹っ飛ぶ気がします。猫を描く時には最高のモデルになってくれるので、たくさん見ます。スケッチブックに絵を描いていると、その上に香箱を組んで座ってくるので、邪魔だな~(笑)と思いつつも、幸せを感じますね。自宅で仕事をしているので、常に猫に触りつつ、描けるのが最高です」

1年前、保護した当初のねくす。小さい! (提供写真)
1年前、保護した当初のねくす。小さい! (提供写真)

偶然出会って救った命

 まさに猫かわいがりをされていた“ひとりっこ猫”のパンきゅんだが、1年前の秋、ふいに子猫が増えることになった。

「お昼ごはんを食べに行こうと、彼と2人で家の近所を歩いていた時、小さな鳴き声が聞こえてきました。見ると、よそのマンションの裏口の薄暗い植木鉢の陰に、薄い茶トラの子猫がひとりぼっちでいて……。しばらく様子を見ていても、母猫や兄弟の姿は見えず、そこにいると凍えそうだったので保護しました」

 拾い上げた体はひんやりとして、片手に乗るほど小さかった。子猫は騒ぎも暴れもせずに、mimoeさんに体を預けてきたという。飼いたいと思ったが、もちろん不安もあった。

「病気を持っているかもしれないし、パンきゅんと相性が合わないかもしれない。いろいろな思いがよぎりました。でも小さな命を目の前にして放っておくことができませんでした」

   mimoeさんは体重わずか330グラムの子猫に「ねくす」と名前をつけて家に迎えた。寝室に隔離し、パンきゅんとはリビングで一緒に寝るようにした。動物病院での検査やワクチン接種を終えて、約3週間後、ようやく獣医師から「2匹の対面OK」の許可がおりた。

「パンきゅんは最初、ちょこまかと動くねくすに警戒心マックスでしたが、だんだんと距離が縮まりました。一緒にして10日も経つと、パンきゅんが毛繕いしてあげるようになりました。それを見た時は、すごく感動しましたね」

性格は正反対だけど仲良しになりました (提供写真)
性格は正反対だけど仲良しになりました (提供写真)

2匹それぞれに個性

 こうして、猫同士の“寄りそう姿”に、mimoeさんはますます癒やされるようになった。

   2匹ともメスだが、性格は真逆。パンきゅんはおっとりした性格で歩き方もゆったりしているが、ねくすはおてんばで暴れん坊。高いところからジャンプして落ちたり、走っていて椅子の脚にごーんとぶつかったりすることもしばしば。

   実は先日、そんなねくすにアクシデントが起きた。キッチンから箸をくわえたままジャンプして、口の奥をけがしたのだ。

「お箸を洗って乾かしているわずかな間に、思いがけない事故が起こってしまいました。それ以降、お箸を洗ったらすぐ水気を拭き取ってしまうようにしています。病院で診察して、抗生物質を処方してもらうだけで済みましたが、少しずれていたらと思うとゾッとします」

パンきゅんに話しかけるmimoeさん (提供写真)
パンきゅんに話しかけるmimoeさん (提供写真)

保護猫を選ぶ人が増えれば

   mimoeさんは、パンきゅんを家に迎えた3年前から、インスタグラムを始めた。パンきゅんのかわいらしい顔や日々の様子、ねくすの成長ぶりを紹介している。おそるおそる2匹を対面させた時には、写真を見たフォロワーから「いい感じだね」とコメントをもらって、おおいに励まされたのだとか。

   SNSでの発信に関しては、こんなことも思っているという。

2匹の愛らしい写真を見て、『雑種もこんなにかわいいんだ』と保護猫を選んでくれる人がひとりでもいたら嬉しい。ぬいぐるみを薦めるように猫を抱かせたりするペットショップの店員さんがいますが、動物を家に迎えるには、暮らしの準備も覚悟もいるもの。衝動的に命が買えるような状況が、いつの日かなくなるといいなぁと願っているんです」

「パンダ小町」のインスタグラム
mimoeさんと写真家・新家加奈さんによる二人展「写真とカレンダーがあって。ネコががいる」が開かれている。SUNDAY(東京都世田谷区池尻2-7-12 B1F)で12月28日まで。カレンダー販売なども。詳細はホームページで。

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藤村かおり
ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。

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