元野良猫「ぽんた」刺し身に大満足 たまにはごほうびも必要

 ぽんたが家に来て2カ月が過ぎ、節分の頃になると体重は5kgを切った。

(末尾に写真特集があります)

 自動給餌器を活用しながら、フードを小分けにして1日7回与えるというダイエットは順調だった。猫は夜行性というが、ぽんたも夜に食欲が旺盛になるようだった。それがわかってからは、夜間は昼間より多めに与えるようにした。その効果もあってか夜鳴きは皆無となり、毎晩掛け布団の上に乗って丸くなるぽんたをなでながら、私は落ち着いて眠れるようになった。

 ぽんたが鳴いて食事をねだるのは朝だけで、あとは与えられたときに淡々と食べた。時間になり廊下に置いてある容器にフードを入れると、気配を感じるのかぽんたが現れ、前脚をそろえて器の前に座り、おもむろに口をつける。器が空になっても、「おかわり」を要求するそぶりは見せなくなった。食後にはたんねんに顔を洗っているので、そこそこ満足はしているらしい。

 ダイエットの初期に、夜、お風呂から上がると、ぽんたが生ゴミを入れた箱のふたを開けようとしていたり、シンクやコンロの上にのびあがって鍋の中をのぞきこもうとしているのを目にし、ぎょっとしたことが何度かあった。そんな光景がはるか昔のようだ。

「フリースは暖かいな」(小林写函撮影)
「フリースは暖かいな」(小林写函撮影)

 ぽんたの様子を見て、ツレアイは「頑張ってダイエットをしてえらいから、たまにはお刺し身をあげよう」と言う。

 私は、猫の健康を害する一因になると聞いていたので、人間の食事は与えないことに決めていた。以前、私たちが夕食に焼き魚を食べていた際、ぽんたが食卓に登ろうとしたことがあった。机をたたき「ここはダメ」とにらんだらすぐに降りて、それっきり登らなくなった。

 そういう聞き分けのよいところがいじらしい、とツレアイは言う。

 本や雑誌で調べたところ、刺し身用の白身魚やゆでた鶏ささみなどなら、多少は与えても問題がないようだ。そこでタイの刺し身を買ってきて、親指の先ほどの量を刻んで器に入れた。

「ぽんちゃん、落ちるよ!」(小林写函撮影)
「ぽんちゃん、落ちるよ!」(小林写函撮影)

 するとぽんたは猛烈な勢いで平らげ「もっとないの」という顔で私を見上げた。さらに与えると、洗ったようにきれいになるまで器をなめ続けた。器を下げると、少し離れたところで口を大きく開け、口のまわりを豪快に舌でなめ回している。

 その満足そうな姿を見て、たまには「ごほうび」を与えることも必要だと感じた。

 ぽんたは、昼間もときどきリビングに出てくるようになった。私たちがリビングで話をしていると、様子が気になるらしい。

 夕食後にソファでくつろいでいるときも、ふと気配を感じてドアに目を向けると、はめ込まれたガラスの向こうからぽんたがじっとこちらを見ている。ドアを開けると両前脚をぐーんと前にのばしながらリビングに入ってくる。その場で「なでて」のポーズをとり、気持ちよさそうに転がる。

 しかし、やはり石油ストーブは嫌いらしく、「また、こいつがいるのか」というような顔でストーブを凝視する。そして10分も経たないうちにドアノブを見上げて「開けて」のポーズをとる。ドアが開くと一目散に私の部屋へと戻っていくのだった。

リビングを後にするぽんた。「部屋に戻ろうっと」(小林写函撮影)
リビングを後にするぽんた。「部屋に戻ろうっと」(小林写函撮影)

 ネット上では、石油ストーブの前にだらんと横になり暖をとる飼い猫の姿をよく目にする。猫は、暖房が好きなのだとばかり思っていたが、野良猫だったぽんたの場合は、人工的な音や臭いに違和感を感じるのかもしれない。

 それにしても、リビングよりも冷え冷えとした私の部屋を好むのはどういうわけか。外での生活経験があるから、寒さには強いのだろうか?

 当面、「暖かいリビングで猫とまったり過ごす」という夢はあきらめた。それでもぽんたが冷えないようにと、私の部屋は無人の場合でも、常にオイルヒーターのスイッチを入れておくようにした。

 部屋のドアは、ぽんたが自由に出入りできるように、いつも半開きにしてある。普段、私が冷暖房をつけっぱなしてドアを開けていると「電気の無駄遣い」と文句を言うツレアイだったが、このことに関しては何も言わないのだった。

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宮脇灯子
フリーランス編集ライター。出版社で料理書の編集に携わったのち、東京とパリの製菓学校でフランス菓子を学ぶ。現在は製菓やテーブルコーディネート、フラワーデザイン、ワインに関する記事の執筆、書籍の編集を手がける。東京都出身。成城大学文芸学部卒。

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この特集について
猫はニャーとは鳴かない
ペットは大の苦手。そんな筆者が、ひょんなことから中年のハチワレ猫と出会った。飼い主になるまでと、なってからの奮闘記。
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