元野良猫「ぽんた」が登った!家猫になっていく姿がうれしかった(14)
ぽんたが家に来て3週間が過ぎ、年が暮れようとしていた。
(末尾に写真特集があります)
ダイエットは順調だった。ぽんたを抱いて体重計にのり、そこから自分の分を引くという方法で体重を測ると、開始から1週間で100gが減っていた。
夜中、「ナオーン」とせつない声を上げながら、部屋の中を駆け回ることもなくなった。代わりに、朝の6時ごろに「なー」と元気な高い声で鳴き、食事をねだるようになった。
ぽんたは、1日のほとんどを私の部屋の、おもにクローゼットの中でじっとして過ごしていた。
午前中は食事あと、しばらくリビングにいたり、台所にやって来て日なたで毛づくろいをするが、その後は引っ込んでしまう。食事とトイレ以外はほとんど出てこない。私は、リビングのテーブルで仕事をしていることも多いため、なんとなくつまらなかった。
夕方から夜にかけてはリビングに現れるが、石油ストーブがついているとすぐに出て行ってしまう。ストーブのファンが回る音なのか、灯油のにおいのせいなのか、理由はわからないが、石油ストーブが嫌いなのだった。
夜中に走り回っていたときは、チェストや、ダイニングテーブルの上に飛び乗っていたのに、昼間はソファより高いところには登らない。
「猫ってもっと動くはずだけど、ぽんたは寝てばっかりで、大丈夫なのかな、内臓が悪いんじゃないかな」と心配性のツレアイは言った。
病院で検査をしたばかりだし、それはないだろう。ただ、外で暮らしていたときは生命の危険と隣り合わせだったとはいえ、刺激のある日々を送っていたに違いない。それに比べれば、変化のない室内の生活は退屈で、ひょっとしたら、人間でいう「うつ気味」かもしれない。
そう考えた私は、ぽんたが少しでも楽しく暮らせる空間を整えるため、猫グッズをそろえることにした。
まずは、おもちゃ、じゃらし棒だ。ペットグッズショップへ行き、カラフルなタオル地の魚の先に、リボンがついた釣りざお式のものを1本購入した。
じゃらし棒はただやみくもに振ればよいわけではない、ということを、私は飼育書を読んではじめて知った。「猫の狩猟本能と狩りの衝動を引き出すため」に、小鳥やネズミなど「獲物」の動きに似せた動きを作り出すことが重要のようだ。
購入した夜、寒々としたリビングのソファの上にいるぽんたの目の前で、振ってみた。反応は鈍い。しかし、飼育書に書いてあるやり方に従い、毎日続けているうち、次第にぽんたは飛びかかるようになってきた。1週間後には、じゃらし棒を振ると、夢中で部屋の中を走り回るようになり、やがて、私がじゃらし棒に手をかけると、腰を落として臨戦態勢に入るようになった。
また、猫は高いところから部屋の中を見下ろしたり、窓外をながめるのが好きだという。そこでキャットタワーを買うことを考えたが、ツレアイに「部屋が狭くなる」と反対された。もっと簡易的なものはないかとインターネット上で探したところ、「猫専用の見晴台」なるものを見つけ、購入。
これは、はしごを立てかけたような形状の、高さ1メートルほどの台で、猫が乗るための天板を窓や壁につけて使用する。中間には登りやすいようにステップ台もある。
見晴台が届き、早々に組み立てると、隣家の庭や通りが見えるリビングの窓辺に置いた。しかし、ぽんたは、台の前を行ったり来たりするだけで、乗ろうとしない。私が抱えてのせても、すぐに鳴いて降りたがる。
そのような日々が続き、気に入らないのかなと、あきらめかけたある日。台をじーっと見上げていたぽんたが、天板の上に一気に飛び乗る姿を目撃した。廊下にいて、何げなくリビングに目をやったときのことだった。
私は、見晴台の上のぽんたを背後からそっと携帯で撮影し、「ぽんた登った!」とメッセージをつけて外出中のツレアイに送った。
その日から、見晴台はぽんたのお気に入りの場所となった。朝起きると必ず飛び乗り、午前中はずっと、ときには夕方にも、外を眺めるのが日課となった。
だんだんと、家猫らしくなっていく姿が、私にはうれしかった。
【前の回】元野良猫「ぽんた」午前3時の「ほなー」 減量作戦は好スタート(13)
【次の回】元野良猫「ぽんた」刺し身に大満足 たまにはごほうびも必要(15)
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。