元野良猫「ぽんた」午前3時の「ほなー」 減量作戦は好スタート

 ダイエットを成功させるには工夫が必要だ。単に食事の量を減らすだけでは難しい。人間の場合も同じだ。

(末尾に写真特集があります)

 ぽんたを適正体重にするには、1日のドライフードの給餌量を50gに減らすようにと動物病院では言われた。それを、53gと少し緩めることにした。その分、体重が減るまでに時間はかかるが、ぽんたの場合は極度の肥満というわけではない。そう厳しくなる必要もないだろう。

 また、食事は1日2回、朝晩に与えるのが基本だそうだが、これを午前2回、午後1回、夜3回の6回に分けることにした。空腹の時間が長いよりは、こまめに食事ができるほうがストレスが少ないと考えたからだ。

 幸い、私は家で仕事をしていることが多い。このダイエットプログラムを実行するのは、それほど苦ではない。

 ぽんたは毎回の食事をあっというまに平らげ、「まだないの」という顔でしばらく容器の前に座っていたが、こちらにその気がないとわかると、あっさりと立ち去った。

小太りぽんたには、ちょっと狭い新品の猫ベッド(小林写函撮影)
小太りぽんたには、ちょっと狭い新品の猫ベッド(小林写函撮影)

 しかし、最後の食事を午前0時頃に与え、私たちがそれぞれの部屋に引き上げると、数時間後に鳴き出した。私は布団をかぶり、無視に徹することにした。「規定量以上の食事をせがまれても相手にしないこと。鳴いたからといってフードを与えると、要求が通るまで鳴くようになる」と飼育書にあったからだ。

 「相手にしなければ、そのうち諦める」と心の中で唱えながらじっとしていると、居間から大きな音がした。跳び起きて行って見ると、チェストの上に置いていたパソコンの、キーボードがだらんと垂れ下がっている。ぽんたはというと、翌朝のゴミ捨てのために土間に準備しておいた、燃えないゴミを入れた袋を破り、中をあさろうとしていた。

 「そんな野良猫みたいなことをしちゃダメ!」と私は慌てて抱え上げ、自室に連れて行き、ドアを閉めた。ぽんたは部屋の中を徘徊しながら鳴いたが、私は布団をかぶって目を閉じ、ぽんたが鳴きやみ、クローゼットにもぐり込むまでそうしていた。

 翌日は、午前0時の給餌量を半量にし、残りを午前2時頃に与える方法を試みた。これは少し効をそうした。ぽんたは食後、3時すぎに少し鳴いただけで、すぐに私の布団の上で眠った。

近所のケーキ屋で買った「タヌキ」。「僕、ぽんたよろしく」(小林写函撮影)
近所のケーキ屋で買った「タヌキ」。「僕、ぽんたよろしく」(小林写函撮影)

 しかし、こんなことをしていては人間のほうが睡眠不足になる。

 何かよい方法はないかと、インターネットで検索をしていると、自動給餌器なるものの存在を知った。その名の通り、フードを自動で決まった時間に規定量を与えることのできる器械だ。

 さっそく、隣町のペットグッズショップへ出向き、デザインがシンプルで、もっとも安いアメリカ製のトレータイプを購入した。ふたのついた容器が2つつながっており、それぞれにダイヤル式のタイマーが付いている。設定時間になるとふたが開き、中のフードが食べられる、というものだ。電池式なので設置場所を選ばないという利点がある。

 ただ、問題は、最大48時間後まで設定できるため、タイマーが2時間刻みという非常にアバウトなこと。しかもダイヤルの遊びが大きく、たとえば4時間後にセットしたのか、6時間後かがわかりにくい。

「オジさん用のごはんはいいから、僕のは?」(小林写函撮影)
「オジさん用のごはんはいいから、僕のは?」(小林写函撮影)

 その日の午前0時、私は2時間後にセットした自動給餌器を、フード用の容器の横に置いた。

 午前0時の食事を終えたぽんたは、見慣れないプラスチック製の箱の匂いをふんふんと嗅ぎ、前脚でふたをちょんちょんとつついた。すると、パカンとふたがあいてしまったではないか。

 セットする時間が短く、ダイヤルがゼロに近すぎて、爪のひっかかりが悪かったためだろう。不良品じゃないかと疑いつつ、4時間後にセットし直し、私はぽんたを抱えて就寝態勢に入った。

 数時間が経ったであろう頃、ぽんたが廊下に出て行く気配を感じた。「ほなー」と鳴くと、まるでそれが合図だったかのように給餌器のふたが開き、フードを食べているらしき音が聞こえてきた。

 ぽんたは、おとなしく部屋に戻ってくると、ベッドに飛び乗り、私の足元で丸くなった。

 時計を見ると、午前3時。給餌器は4時にセットしたのになあ、と思いながら、とりあえずうまくいきそうなことにほっとしているうち、意識が遠くなった。

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宮脇灯子
フリーランス編集ライター。出版社で料理書の編集に携わったのち、東京とパリの製菓学校でフランス菓子を学ぶ。現在は製菓やテーブルコーディネート、フラワーデザイン、ワインに関する記事の執筆、書籍の編集を手がける。東京都出身。成城大学文芸学部卒。

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この特集について
猫はニャーとは鳴かない
ペットは大の苦手。そんな筆者が、ひょんなことから中年のハチワレ猫と出会った。飼い主になるまでと、なってからの奮闘記。
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