「かわいい」だけでははかれない 犬や猫が持つ力を感じてほしい

福士蒼汰さん
福士蒼汰さん

 公開中の映画「旅猫リポート」で、訳あって飼えなくなった愛猫と一緒に、新しい飼い主を探す旅をする青年の役を演じた俳優の福士蒼汰さん。自身も、長く犬と暮らした経験があるそうです。動物と長く一緒に過ごす中で感じるようになった思いについて、語ってもらいました。

 ――猫との共演シーンが多い作品です。

 撮影中は約1カ月半、猫と一緒に過ごしました。猫とこれほど長い時間接することはこれまでの人生でなかったので、最初は戸惑いました。でも、だんだんと猫のかわいさがわかってきました。

 共演した猫の「ナナ」は、普段はクール。でもシャンプーをするシーンなど、苦手なことを求められると自分にくっついてくる。そういう「ツンデレ」なところが、なんとも言えずかわいかったです。

 自分自身、実家で犬を飼っていたことはあるのですが、犬と猫とでは接し方や遊び方も全然違います。ナナに少しでも落ち着いてもらえるように、抱っこの仕方を試行錯誤したり、猫の気分が乗ってくるタイミングを待ち構えて演じてみたりと、撮影は最後まで「猫のペース」で進みました。

 ――飼っていた犬との思い出を聞かせてください。

 小学生から高校生のころにかけて、実家で飼っていました。姉が両親に「飼いたい」とねだり続け、ようやく飼うことができた犬でした。トイプードルで「モモ」という名前で、青春時代はずっと一緒でした。仲間というか、友達というか、そんな存在。学校から帰ると、モモにしか言えない話を打ち明けるなどしていました。

 ――家族にペットが加わり、何か変わったことは?

 言葉で説明するのは難しいですが、家族のまとまりがより強いものになったという感じがしました。モモを中心にして、家族が存在しているような。モモのことは皆が心配するし、皆がかわいがる……。そんな時間を経て、家族のあり方が深まった気がしていました。

 ――みとりも経験されたのですね。

 モモの場合、なんとなく「もうそろそろかな」という感覚があったんです。当時、すでに俳優の仕事をしていたのですが、たまたま亡くなった日は休みで、実家にいることができました。命が目の前で亡くなるという経験は、モモのみとりが初めてでした。

 犬や猫などのペットも、人間と同じ「命あるもの」として存在しているけれど、ペットのほうが寿命が短い。ペットは自分たち人間に、一生懸命に生き、死んでいく姿を見せてくれます。モモもそうでしたが、命の大切さを身をもって教えてくれる存在なのだと思います。そして家族として過ごす中で、その命を守る責任にも、自然と気付くことができました。

©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社
©2018「旅猫リポート」製作委員会 ©有川浩/講談社

 ――映画では「自分では飼えない」と判断した主人公が新たな飼い主を探す旅に出ます。一方で現実には「飼えないから捨てる」という人がたくさんいます。

 報道などで「殺処分」という言葉を見聞きすることがありますが、飼い主には「飼い遂げる」責任があります。動物を家族に迎えた以上、最後まで大切に飼うのは当然のことです。

 自分自身、動物が大好きなので「ペットを飼いたい」と思うことはあります。でもそれに伴う責任を考えると、いまは踏みとどまらざるを得ません。ペットは「命」であることに思いを巡らせれば、簡単に決断できることではありません。

 ――作品を通じて感じてほしいことは?

 主人公をはじめとする登場人物たちとナナをはじめとするペットたちとのかかわりから、人間と動物のつながりについて考えてもらえたらうれしいです。ペットを飼ったことがない人にも「動物を通して、様々に関係がつながっていく」ということが伝わればと思いながら、演じていました。単に「かわいい」という指標だけでははかれない、動物が持つ力を感じてほしいと思っています。(聞き手・中井なつみ)

朝日新聞
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