厳寒の北海道、たくましく生きる猫たち 雪解けにゆるむ表情

 冬の北海道、寒さの中でもたくましく生きる外猫たちの日常を撮った写真集『ゆきねこ』(北海道新聞社刊)が発売された。雪が降り始める初冬から、厳冬、そして雪解けの季節へ。過酷な環境下でも猫たちは生きている。

『ゆきねこ』より(吉田裕吏洋 撮影 / 北海道新聞社)
『ゆきねこ』より(吉田裕吏洋 撮影 / 北海道新聞社)

(末尾に写真特集があります)

 厳寒の中、猫たちは縮こまってばかりいるわけではない。軒下で降りしきる雪を見上げたり、仲間とくっついて温め合ったり。晴れ間には仲間とじゃれ合い、パトロールにも出かけていく……。

 登場する猫たちは、冬毛を身にまとい、銀世界でりりしく生きている。雪の上についた足跡はたくましく生きる証だ。

 撮影したのは、北海道札幌市在住の団体職員、吉田裕吏洋さん。趣味で風景写真を撮っていたが、2013年冬に会った猫たちが「その後どうしているか」と気になり、雪降る季節の猫を「ゆきねこ」と名付け、その姿をカメラで追いはじめたという。

2014年の暮れから本格的に撮り始めました。過酷な寒さの中で耐え忍ぶ姿を想像していました。ところが実際に会うと、周りが雪景色だというだけで、他の季節となんら変わらない光景がありました。猫たちは活発に動いていたのです」

マンホールに乗る猫 『ゆきねこ』より(吉田裕吏洋 撮影 / 北海道新聞社)
マンホールに乗る猫 『ゆきねこ』より(吉田裕吏洋 撮影 / 北海道新聞社)

 もちろん、猫にとっては、常に命の危険と背中合わせの環境だ。

「厳しい季節の生活は、この地に生まれてきた彼らにとっての日常。そんな日々を伝えたくて、シャッターを切り続けました」

 雪国ならではの光景も興味深い。例えば、雪の中、そこだけぽっかり丸く雪のない場所がある。マンホールだ。地下に水が通るマンホールの上は周囲より温度が高く、初冬には、そこだけ雪が解けて水になるという。そこで水を飲む猫がいる。やがてマンホールさえも雪に埋もれる極寒期がやって来る。

 その雪も、待ちこがれた春の訪れとともに、少しずつ解けていく。

「春になり、雪解け水を飲む姿を見ると、感慨深い思いになります。冬を越えた者のみが飲める命の水とさえ思っています」

『ゆきねこ』(吉田裕吏洋 撮影 / 北海道新聞社)
『ゆきねこ』(吉田裕吏洋 撮影 / 北海道新聞社)

「ゆきねこ」を出版した北海道新聞社の編集担当者は、今年初めに札幌市であった写真展で吉田さんの猫の写真を目にして、ぜひ本にしたいと思ったという。

「正直、厳しい冬の中、悲壮感ただよう猫の写真をイメージしていましたが、猫同士が寄り添って温め合うシーンや、雪の上でじゃれ合う2匹のカットにほっとし、救われた気持ちになりました。雪のシーンはもちろん、後半の“春の気配”につい緩むしぐさや表情が見どころだと思います。猫も我々人間と同じなんだなと感じています。北海道の人は、春が本当に待ち遠しいものなので(笑)」

 編集者はこう続けた。

「本当は、全ての猫が寒さに耐えたり、飢えを感じたりしない環境にあるのが良いのですが、本書を通じて、ささやかでも、そんなことを考えるきっかけになればいいなとも思っています」

『ゆきねこ』
写真・文 吉田裕吏洋/発行 北海道新聞社/B5変型判、オールカラー、60ページ/定価1200円+税

写真集『ゆきねこ』『かべねこ』発売記念写真展
場所:札幌市中央区大通西3丁目6 北海道新聞社1F 道新プラザ DO-BOX
日時:10/23(火)~10/28(日)10:00~19:00(最終日は16:00まで)
トークショー:10/27(土)28(日)の11:00、14:00
問い合わせ:北海道新聞出版センター ☎011-210-5742

藤村かおり
ペットライター。小説等の創作活動を経て90年代後半から、ペットの取材を手掛ける。2011年~2017年週刊朝日記者、2017年からsippoメインライター。丹念な取材と独自の目線から、動物と人の絆、動物と共に生きる人の心をすくい取る記事に定評がある。ペット関連の著書に『長寿猫』『明日にアクセス』など。現在は保護した黒猫、キジ猫と暮らす。

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