肉球でぴしゃり 猫の必殺技・猫パンチ!その役割とは?
猫が繰り出す独特の「猫パンチ」は、多くの猫好きの心をノックアウトしてきました。猫と犬は、どちらも四足歩行のペットですが、犬はこのような動きをすることはありません。猫は、どうして猫パンチをするのでしょうか?猫のぷにぷにの肉球と猫パンチの秘密をご紹介します。
猫の肉球が持つ2つの役割とは
一部の品種を除き、猫の多くは全身を毛で覆われています。ところが、どの品種においても肉球には毛が生えていません。これは、肉球に「毛が生えていると不都合」になる2つの役割があるからなのです。
■クッション性
猫の肉球はぷにぷにと軟らかく、多くの人から「触り心地がいい!」と支持されています。この弾力性は、ただ触り心地がいいだけでなく、抜群の機能性も持っています。
もし、猫が狩りをするときにドタドタと大きな足音をさせてしまったら、あっという間に獲物に逃げられてしまうでしょう。また、素早く移動できなかったり、途中で走り疲れてしまったりしても、獲物を仕留めることはできません。
そこで役立つのが、肉球です。肉球の弾力性は、足音を消し、疲れを軽減させ、素早い移動を可能とさせます。
■発汗
猫は、全身の中で肉球と鼻先(鼻鏡)にだけ汗をかきます。この汗は、猫が歩くときの滑り止めになるとともに、歩いた場所への「マーキング」の役割も果たしています。
以上のように、肉球のクッション性と発汗による滑り止めがあるからこそ、猫は俊敏に動くことができるのです。
猫パンチは何のためにする?
猫は「四本足」といわれることもありますが、前脚と後ろ脚では、持っている役割が異なります。猫パンチは、必ず前脚から繰り出されますし、後ろ脚でキックをするときとは、まったく違う動きをします。
猫がパンチをするのは、おもちゃにじゃれついているときや、何か気になるものがあるときでしょう。このようなとき、猫は前脚でその物の状態をチェックしていると考えられます。なぜなら猫の前脚は、「動くもの」や「震えているもの」に対してとても敏感だからです。
また、狩りをするときの猫も、猫パンチを駆使します。といっても、獲物をパンチで仕留めるわけではありません。猫パンチをするのは、獲物を倒した後に「その獲物が本当に倒せたかどうか」を確認するためです。もし、獲物がピクリと動いたら、猫は勢いよく飛び退って、臨戦態勢をとるでしょう。
猫パンチを繰り出せるのは猫の特権!?
動物の骨格は、動物が進化する過程で形成されていきます。平原を走って獲物を仕留める犬は、前後の動きに特化した骨格をしています。これによって、長距離を効率良く走れる脚を手に入れました。その代わり、左右の可動域は限りなく小さくなり、ほとんど横の動きができない体のつくりになっています。
それでは、猫パンチを繰り出す猫の骨格は、どのような進化を遂げたのでしょうか。それを知るためには、猫の進化について考えてみる必要があります。
犬や馬とは異なり、猫は木の上などにいることも多い小動物を獲物にしてきました。また、天敵であるキツネやジャッカルは木に登ることができないことから、猫にとって木登りができる体は、獲物を捕るためにも、天敵から逃れるためにも必要だったのです。かくして、猫は左右に手を広げて木の幹にしっかり抱きつける前脚を手に入れました。
日頃、何気なく見ている猫の肉球や猫パンチですが、単に「かわいい」というだけでなく、生きていくために必要な進化の結果だったのです。
もっとも、家の中で飼われている猫にとって、かわいいと飼い主に思ってもらうことは、日々の寝床や食事にありつくための戦略にもなるわけですから、現代風の生存戦略ともいえるかもしれません。
- 「飼い猫のひみつ」
- 著者:今泉忠明/発行:イースト・プレス/価格:800円+税/新書判、212ページ
- 「猫はふしぎ」
- 著者:今泉忠明/発行:イースト・プレス/価格:760円+税/新書判、192ページ
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。