猫と共存する秘訣! 人間も猫もストレスのない生活をめざそう

猫が感じるストレスは、人間と異なるところがある
猫が感じるストレスは、人間と異なるところがある

 猫と人間がストレスなくいっしょに暮らしていくためには、まず、「猫が何にストレスを感じるのか」について知っておかなければいけません。それと同時に、猫と暮らすことで起こる「人間のストレス」についても考える必要があります。せっかくいっしょに暮らしていくのですから、お互いに不満の少ない、ストレスフリーな毎日を目指しましょう。

猫にとってのストレス

 猫が感じるストレスは、人間が感じるストレスと似た部分もあれば、異なる部分もあります。人間と猫は違う生き物ですから、感じ方も違って当然でしょう。まずは、人間にとってはなんでもないことでも、猫にとってはストレスの原因となる2つの要因についてご紹介します。

■距離から生まれるストレス

 外で知らない猫に出会ったとき、離れているときはただ座っていたのに、一定の距離まで近づくと、「突然走り出して逃げる」ということがあります。これは、猫に向かって走っていったわけではなく、ただすれ違おうとしたときにも起こる猫の行動です。

 猫は、「知らない相手が入り込んできたら逃げる」という、「逃走距離」を持っています。野良猫の場合は、個体差があるものの、3~5mくらいが逃走距離で、それより数十cm離れているくらいの距離感が、「猫にとっての適切な距離」だといわれています。

 一方、家の中で暮らす猫の場合は、外敵に襲われる危険がありませんから、逃走距離はぐっと縮まります。とはいえ、初めて会った人や、まだ警戒心を解いていない人に対しては、1mほど距離をとろうとするのが普通です。訪問先に魅力的な猫がいたとしても、突然近づいたり、追いかけたりすると、ストレスを与えてしまいますから、ぐっと我慢しましょう。

 また、たとえ飼い主であっても、人間のほうから突然距離を詰めようとすると、ストレスに感じることがあります。猫がみずから近づいてくるまでは、適切な距離を保つのが、猫と暮らす上での「マナー」なのです。

■音から生まれるストレス

 大きな音や、子供の甲高い叫び声などは、猫にとってのストレスになります。雷におびえたり、子供の来訪を嫌がったりする猫も多いと思います。

 このようなとき、猫のストレスを軽減させるために役立つのが「ほかのことに注意を向ける」という方法です。

 猫にメトロノームの音を聞かせて脳波を調べた実験では、「猫にネズミを見せた瞬間、メトロノームの音を意識しなくなった」という結果が出ています。人間も、「何かに集中すると、それまで聞こえていた時計の秒針の音を意識しなくなる」といったことがあります。猫にも、これと同様のことが起こるのです。

猫に快適な生活環境を整えるのが大切
猫に快適な生活環境を整えるのが大切

人間のストレス「尿スプレー 」

 マーキングといわれることもある「尿スプレー」は、猫が自分の縄張りを主張するために行う行動です。ですから、家の中で飼われている猫が頻繁に行うことはあまりありません。

 しかし、未去勢のオス猫が暮らす家に新しい猫を迎えたときや、今の生活環境に不満があるときなどは、室内に尿スプレーをしてしまうことがあります。

 この尿には、特殊なたんぱく質が含まれていて、強烈なにおいを発します。家の中でされてしまうと、飼い主は当然強いストレスを感じることになるでしょう。

■尿スプレー対策はストレスを取り除くこと

 尿スプレーは、猫にとってはごく当たり前の行動です。叱りつけてしまうと、不満から尿スプレーを繰り返すおそれがありますから、感情的に怒ることは避けましょう。

 もし、改善されずに同じ場所で尿スプレーを繰り返すときは、その場所に猫が近づけないようにしてしまいましょう。

 また、尿スプレーを繰り返す猫は、何らかのストレスを抱えている可能性があります。トイレの場所や状態、眠る場所など、猫の生活をよく観察して、ストレスを取り除いてあげましょう。

 猫は家具やトイレの場所の移動など室内の「変化」を嫌います。猫の頭の中にはなにがどこにあるかという地図が出来上がっています。これはパトロールによって記憶したものです。これが移動されるとまた覚えなくてはならず、落ち着かなくなるのです。つまりストレスを感じ、これを訴える手段がトイレ以外でおしっこをしたりスプレーの頻度を上げたりすることなのです。

 多頭飼いが原因となっている場合は、いずれ序列がはっきりすれば尿スプレーも治まるはずです。

 猫と快適に暮らすためには、まず、猫のストレスを取り除いて快適な生活環境を整えてあげることが大切です。人間にとっても、それが一番のストレス回避策になることでしょう。

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監修:今泉忠明
動物学者。日本動物科学研究所所長。1944年、東京都生まれ。上野動物園の動物解説員、「ねこの博物館」館長などをへて、現在は奥多摩や富士山の自然調査に取り組んでいる。監修に『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(高橋書店)など、ほか著書多数。

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