高齢猫(老猫)との暮らし、長生きのため生活環境を整えよう
「高齢猫(老猫)」とは、平均寿命の8割を過ぎた猫を指します。この考え方でいくと、家の中だけで飼われている猫は12歳、家の中と外を行き来する半外猫は約10歳で高齢猫となります。飼育環境や栄養、医療の改善で、飼い猫は長生きになっています。猫が高齢になったとき、その後の生涯を快適に過ごせるようにするには、飼い主はどんな配慮が必要か考えてみましょう。
外を出入りしないと寿命が延びる
家の外には、猫にとっての「危険要素」があふれています。
野良猫の多くは、交通事故や感染症などによって、家猫よりもずっと早く命を落としてしまいます。このようなリスクは、家の中と外を行き来する半外猫の場合も同様にあります。2017年現在、完全室内飼育の家猫の平均寿命は16歳ですが、半外猫の平均寿命は13歳程度といわれています。
つまり、猫を外に出さずに、家の中だけで過ごさせるようにするだけで、約3年も寿命を延ばすことができるのです。
シニア期に入った猫は、若い猫ほど活発ではなくなってきます。老後は、安心・安全に暮らせる家の中で過ごさせてあげるのがおすすめです。
一方で、家猫の多くは病気によって最期を迎えます。慢性腎臓病やがんといった重い病気にかかって最期を迎える猫も少なくありません。
室内環境を整える
人間の中にも、年を取ると気難しくなる方が一定数いるでしょう。同じように、猫も年を取ることで、こだわりや好みが表れてくることがあります。好みに応じて生活する室内の環境を整えてあげてください。
水や飲み方の好み
高齢猫(老猫)の中には、水や器のにおい、飲み方などに、好みが出てくる猫もいます。好みと合わず、水を飲まなくなってしまうと、健康を害するおそれもあるので、猫の好みに合わせた飲み水を用意してあげましょう。
寝床の好み
寝床についても、その猫が「居心地がいい」と感じられるベッドを準備してあげてください。どのような場所を好むかは、猫によって異なりますから、日頃の過ごし方を見ながら、お気に入りの場所にベッドを置いてあげてください。
体力に合わせた環境づくりを
年を取ると、猫の身体能力にも衰えが出てきます。視力の低下や筋力の低下に対応するため、無用な模様替えをしないようにしたり、上下運動が必要なキャットタワーを片付けたりといった対策をとりましょう。部屋の中の段差をなくし、上下に動かなくても、水や食事をとれるようにしてあげることも大切です。
猫にストレスを与えない
ストレスは、人間にとって大きな不調の原因となります。猫も同様で、特に年老いた猫にとって、ストレスは心身の不調を招く良くないものです。猫にとって何がストレスになるのかを知り、安心して生活できる基盤を整えてあげましょう。
これまでどおりの日々を送る
高齢猫に楽しみを与えようとして、家に新しい猫を迎えたり、お客さんをたくさん呼んだりすることは逆効果です。大きな環境の変化は、それだけでストレスの原因となってしまいますから、これまでどおりの生活が送れるようにしてあげてください。
しかし、普通の暮らしを送っていく上で、来客を完全に避けるというのは困難でしょう。そこで、猫に安心できる隠れ場所を与えたり、来客が猫の目にふれることがないように出迎えたりといった工夫をするのがおすすめです。
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