動物とおおらかに暮らす 「世界は美しいものだらけ」

 子どもたちが巣立ち始め、ペットの数も少なくなった桐島かれんさん。世界中を旅し、消えつつある美しい生活雑貨を見つけて紹介しています。旅先で犬や猫と出会うのも大きな楽しみだといいます。

黒猫ライカ12歳 媚びず、つかず離れず気高い
黒猫ライカ12歳 媚びず、つかず離れず気高い

美しく、はかないものが好き

 私は植物、特にお花が好きで、いけることも大好き。いただいた花束は、ばらしながらも、最後の最後の一本まで大切に飾ります。花が咲き開くとき、それが短い時間であるからこそ、「今しかない」最高の美しさを感じさせるのではないでしょうか。日本人が桜の花を愛するのも、その「はかない」瞬間の美しさに心をひかれるからでしょうね。

 私が家の中の観葉植物の手入れと花を飾る担当で、夫は庭の手入れ担当です。夫は、樹木が大好き。人間よりも長く生きる「木のサイクル」の中に自分も一部として存在しているのが好きみたいですね。庭に植えてある木は全て夫が山に足を運び、選んで来たものです。休日には、庭の手入れをするため一日中外にいるんですよ。

人も花も動物も、命に限りはあるけれど美しい
人も花も動物も、命に限りはあるけれど美しい

 いま手がけているセレクトショップ<ハウス オブ ロータス>で紹介している生活雑貨の多くは、「時代の流れの中で、いずれなくなってしまうだろうな」というものなんです。例えば、手仕事でしか作れない手編みのカゴや民族衣装。大量生産の波におされて、カゴはプラスチック製に変わり、手刺繍が施された民族衣装は脱ぎ捨てられています。生活の中に当たり前のように息づいていた、手紡ぎ手織りで織られた布、手びねりで形つくられた器などなど、素晴らしい伝統工芸がいつの間にか消え失せていっています。

 アジア、インドやアフリカを旅していると、まだ少しではありますが、魅力的な手仕事が残っています。でも、「この形の籠を作れるおじいさんはもう1人しかいなくなった」といったような話ばかりを聞きます。どの国でも、伝統技術の伝承が途絶えているのは悲しいですね。少しでも、世界の手仕事の魅力を伝えられたらと思い、始めたのが私の店です。時代に取り残されそうな民芸品や生活雑貨に強くひかれるのは、それらに「はかなさ」を感じるからでしょうね。

 ヨーロッパでセレクトしてきたおしゃれなブランドの服にまじってタイの少数民族や東欧の民族衣装も<ハウス オブ ロータス>には並べているんです。ブランド物の服と比べるとお値段は安いですが、私にとっては、何カ月もかけて手刺繍を施したルーマニアのブラウスのほうが、ブランド物の服よりよっぽど美しく、価値がある物だと思っています。

〈ハウス オブ ロータス〉の春夏物の展示会準備をしているところ
(インスタグラムより)
〈ハウス オブ ロータス〉の春夏物の展示会準備をしているところ (インスタグラムより)

世界を広げると人生は楽しく、美しさは広がる

 美しいものだけに囲まれて暮らせたらどれだけ幸せでしょう。美しさの概念というのは人それぞれではありますが、固定概念にとらわれず美の基準を広げていくと、さらにセンスを磨くことができると思います。

 西洋文化への憧れが強い日本人ですが、アジア、インド、アフリカ、南米にも素晴らしい文化や芸術があります。私は、インテリアでもファッションでもミックススタイルが好きなので、西洋と東洋、伝統とモダンを融合したスタイルを提案しています。

 私のお店にあるバリ島のお面やトルコの織物を見て「美しい!」と思ってもらえるかどうかはわからない。でも、少しでも価値観を広げてもらえるとうれしいなって。「世界には美しいものがたくさんあるんだ」と好奇心を持っていただけたら幸いです。

動物と自然に共存する海外のおおらかさ

モロッコにて。宿の看板猫クロシェットと(インスタグラムより)
モロッコにて。宿の看板猫クロシェットと(インスタグラムより)
 

 海外へ行くときは、動物との出会いも楽しみのひとつです。秋に旅したモロッコの街中には猫がいっぱいいて、じゅうたん屋のじゅうたんの中に埋もれて母猫が子猫に授乳をしていたり、宿泊先の宿には看板猫がいました。その猫は私が朝ごはんを食べていると、必ずひざの上に乗ってくれ、心が安らぎました。そんな、世界中の犬と猫の写真を撮るのも旅の楽しみの一つです。

 バリ島やインドには町中に犬がいっぱいいます。野良犬のように見えますが、野良犬ではない。とはいえ、個人が飼っている犬でもなく、多くは「村の犬」「町の犬」として、ゆるやかに住人たちと共存している感じなのです。インドでは同じく「村の牛」もたくさんいますね。牛も猿もクジャクも犬も自由気ままに町中を闊歩しています。

インドの街には牛や豚、山羊、猿など動物があたりまえのようにいる。もちろん犬も!(インスタグラムより)
インドの街には牛や豚、山羊、猿など動物があたりまえのようにいる。もちろん犬も!(インスタグラムより)

 動物に対して人々はおおらかで優しく、人とともに動物が自然に暮らしている感じがします。ペットではなく、人間社会とつかず離れずの生活を送っているモロッコの猫やアジアの犬たちが教えてくれるのは、動物がペットとして人間に飼われるようになった歴史はまだ浅いということです。

 まだペットという概念のない国々では、動物は「働く動物」として生活の中で無くてはならない存在だったりもします。ベトナムの畑を耕す水牛、タイのジャングルの中で木材を運ぶ象、モロッコの砂漠を人を乗せて移動するラクダ、ギリシャでは車が通らない狭い道でロバの荷車が活躍しています。人と動物が深く関わりながら存在している国々がまだまだたくさんあるのです。

動物の命を感じて成長した子どもたち 変化が楽しみ

幼い頃から猫が大好きだった
幼い頃から猫が大好きだった
 

 4人の子を育てながらたくさんのペットを飼っていた、“繁殖期”のフェーズは終わり、今は子供たちが巣立ち始め、ペットも少なくなりました。今後、新たに動物を飼うことはないんじゃないかな。今いる3匹をみとった後は、夫婦2人だけでのんびりというのもいいかなと。子供やペットの世話に散々振り回されましたからね〜。寂しく感じるかもしれませんが、誰の世話をしなくてもいいことにちょっと憧れもあります(笑)

 独立後の子どもたちが、はたして動物を飼うかどうかということには興味がありますね。ペットの世話をする親を見て「大変そうだな」と思ったかもしれない。でも、生き物の生命力が渦巻く環境の中で育ったのは、子供たちにとっていい経験だったと思います。

 次女の小さいころの夢が「犬を100匹飼うこと」だったんですね。100匹の犬を飼うためには、画家になって、犬の絵を描いて、道ばたで絵を売って、田舎で犬と暮らしたいって。そんな娘は今、ニューヨークの美術大学に通っています。たくさんの動物たちとの暮らしを経験した4人の子供たちが、これからどうなっていくのか楽しみですね

◆HOUSE OF LOTUS
http://houseoflotus.jp/

◆Instagram @houseoflotuskaren

取材・文/小見山友子
写真/浜田啓子

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桐島かれん
1964年生まれ。86年に大手化粧品会社のイメージキャラクターに起用され一躍脚光を浴びる。モデル、女優、歌手、ラジオパーソナリティとマルチに活躍。1993年に写真家の上田義彦氏と結婚、四児の母に。現在は、ライフクラフトブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターとして世界中を飛び回っている

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