ペットと育んだ家族のかたち 生命力の渦の中にいたころ
愛するペットと暮らすおしゃれなファッショニスタたちが、動物への愛と大切にしている暮らしのスタイルを語ります。
結婚・出産後、4人の子育てをしながらセレクトショップ「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターをつとめ、モデルや女優と幅広く活躍する桐島かれんさん。幼いころから海外を行き来し、多様な価値観にふれて育った彼女はとびきりおしゃれでおおらか、大の動物好き。犬や猫がそばにいるにぎやかな大家族は、生と死のつながりを感じる場だったといいます。(全3回)
(末尾に写真特集があります)
兄弟のような犬たちと、違う世界を生きる気ままな猫
今は犬2匹と猫1匹を飼っています。ジャックラッセルテリアのマティスが16歳、黒いトイプードルのセザンヌが14歳、黒猫のライカが12歳。マティスとセザンヌはオス同士で、兄弟みたいに育ちました。セザンヌのほうが縄張り意識が強く、マティスは猟犬なので若いときは活発でした。
マティスはしばらく前から立てなくなり、今は介護生活を送っています。性格はマイペースで我が道を行く“一匹狼系”。セザンヌは甘えん坊なのにボス犬にもなりたいタイプですね(笑)。
ライカは山の家で拾った元野良猫で、カメラみたいに真っ黒だからライカ。猫らしい猫ですね。媚びないし、つかず離れず、気高い。今まで猫は何匹も飼ってきましたが、私はそこが好きなんです。めったに甘えてこないライカが私を呼ぶのは、おなかがすいた時と、水が飲みたい時だけ。水を水道の蛇口からしか飲まないから、抱っこして水道まで連れて行くんです。3匹の関係は悪くはないけれど、犬と猫は距離を保ち、違う世界で生きていますね。
私は3匹にとって“ごはんをくれるお母さん”
もともと猫派だった私が犬を飼うようになったのは、結婚がきっかけです。当時いた子たちは老衰で亡くなりましたが、夫(=写真家の上田義彦さん)の連れ子(ゴールデンレトリバーとビーグル)と、私の連れ子(猫)との共同生活が始まって。犬は猫とは全然違う魅力があることを知りました。
とまどったのは、犬の飼い主は“ボス”にならなければいけないことでした。犬は人になつくけれど同時にリーダーからの教育も必要で。自由気ままな猫とは大違いです。でも、今うちにいる3匹にとって私は“お母さん”であり“ごはんをくれる人”ですね。夫がリーダーであり、私は「共同生活者」。むしろ猫はこっちを見下してるかもしれないし(笑)。実は私、お散歩中や動物病院などで「○○ちゃんのママ〜」って呼ばれるのは、今でもちょっと苦手なんです。
ペット美容院へも、なるべく行かないようにしています。うちの犬たちは美容院で何時間もぶるぶると震えてつらそうなので。だったら私がシャンプーとカットをしちゃえばいい。へたなので見た目は良くないかもしれないけれど、彼らがストレスなくラクな方がいい。娘たちもシャンプーは手伝ってくれるんですよ。
生きることと死ぬことはつながっている
30代、子どもが増えていくと同時に動物もわさわさと増えていき、生命力の渦の中にいるような状態が一時期ありました。犬と猫のほかに、ハムスター、モルモット、うさぎ、金魚もいたし、なんだか動物園のようでしたね。そうすると、生命力のあふれた生き物たちが家じゅうかけ回っている感じで、時に辟易とするけれど濃密な日々でした。何人でも産みたい、動物も何匹いてもいい、子育て中はなんでも来いって気分で、幸せな「へとへと」感を楽しんでいました。
ただ、家族ではあるけれど“動物は動物”。ベタベタするわけではなく、意外と放任主義です。世話を焼きすぎない、というより、その余裕がなかったのかも。人間も含めたら10匹ぐらいたので(笑)
子育てって、勢いに乗らないとやっていけなくて大変なんですよね。ひとつひとつに立ち止まるひまがない方がいい。動物もそうですが、子どもはエネルギッシュだから、それだけのエネルギーが自分にも必要で。4人いれば次から次へといろんなことが起きます。だれかしら病気をしていて、毎日病院に通っているときもありました。そんななか、動物たちも病気をしますし、その頃、他界した動物もいたりして。生まれること、生きること、死ぬことが同時に織り込まれていくような日々を通して、「すべてはつながっている、サイクルなんだなぁ」と実感することができました。
マティスはあとどれくらいでしょうか。死の気配は数カ月前からしていました。以前うちにいたチョコレートラブラドールの時もそうでした。別れが来ることについては、受け止めています。あとは最後が少しでも安らかに、病院よりは家族と一緒に。家でいつものようにのんびり暮らしてくれたらな、と思います。(続く)
◆HOUSE OF LOTUS
http://houseoflotus.jp/
※マティスちゃんはこのインタビューの数日後に旅立ちました。どうぞ安らかに。ご冥福をお祈りいたします。
取材・文/小見山友子
写真/浜田啓子
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