息子を一緒に育ててくれてありがとう 浜島直子さんと愛犬ピピちゃんが紡ぐ家族の物語

赤ちゃんと浜島直子と犬
「ピピちゃん、弟をよろしくね」

 モデルとしても、愛犬家としても大人気の浜島直子さん。元保護犬のピピちゃんと出会ってから今日まで、いろんなことがありました。ピピちゃんや家族への思い、気持ちの変化や今思うことを浜島さんがつづります。3日連続で更新、どうぞお楽しみください。

(末尾に写真特集があります)

 2021年1月1日。我が家のシーズー犬、ピピちゃんはめでたく11歳になりました。

 保護されたのが6月で、その時点で生後6カ月と推定されていたので、逆算すると1月生まれ。ならば絶対忘れないようにと、1月1日を誕生日にしました。それが2010年のこと。だから2021年で11歳。覚えやすいですよね。

シーズー
「ピピです 11さいになりました」

ピピちゃんを抱っこして、お互いに“充電”しています

 実はピピちゃんを迎え入れる前、私はプラシュスキー・クリサジークという犬種を飼いたくて、あともう少しでブリーダーさんから子犬がやってくるタイミングでした。それが仕事で訪れた保護団体の譲渡会でピピちゃんと運命的な出会いを果たし、家族として迎え入れることに。ご縁とは、本当に不思議なものだな、と思います。

 それからずっと、ピピちゃんは私の心の支え。ソファの前に座っていると、ぴょんとひざの上に乗ってきて、ぴったりくっついてコの字になって眠ります。

 これが、我が家でいう“充電”。私たち家族は、この時間があるから生きているといっても過言ではありません(笑)。まるで極上の温泉につかっているみたいに、心も体もふわーっと癒やされるんです。

膝にのる犬
充電中~

ピピちゃんが兄、息子が弟。家族の輪郭が少しずつ変化

 そんな暮らしに変化が訪れたのは、私が妊娠した4カ月目のこと。日々大きくなるおなかにぴったりくっつくピピちゃんに、毎日毎日こう語り続けました。

 「今ね、おなかに赤ちゃんがいるの。大事な家族が増えるんだ。だから抱っこの時間が少し減るかもしれない。でもね、ピピちゃんのことが大好き。これだけは変わらないからね」と。

 いざ、息子が生まれて退院したその日。私は息子を抱っこして宝物のように見せるのではなく、まず床の上にスッと置いてみました。そして「ピピちゃ〜ん、ただいま! 赤ちゃん来たよ。君の弟だよ」と話しかけたんです。

 するとピピちゃんは、頭から足までクンクンと匂いを嗅いで、じーっと見つめて……。そして30cmぐらい距離を置いて、スーッと寝始めたんです。その瞬間「あ、大丈夫。ふたりはうまくいく」、そう確信しました。

赤ちゃんの犬
「ぼくの おとうと?」

 それからもずっと「うちの長男はピピちゃんだよ。弟のことを守ってあげてね。ありがとう。大好きよ」と伝え続けています。

 息子がうんち、おしっこと泣くと、トコトコと私のもとへ来て、知らせてくれます。私が息子を叱って彼が泣きだすと、必ず私と息子の間に座り、私をなだめてくれます。ピピちゃんがいるだけで、ザワザワやイライラがスーッと収まる。本当に心からいとしい存在なんです。

 そういえば昔、テレビでこんなシーンがありました。小さな男の子が「お父さんとお母さんは、弟ばかりを可愛がるんです」と泣きながら訴えています。すると、そのとき出演されていた細木数子さんが、ご両親にこうおっしゃいました。

 「もし兄弟が同時に泣いていたら、まずは長男を抱きしめなさい。そうして彼の心を満たしてあげなさい。するとお兄ちゃんは3番目の親になりますよ」と。そんなことが頭の片隅に残っていたのかもしれませんね。

赤ちゃんと犬
「ぼくが いつも みまもってるんです」

命の尊さを、さりげない行動で教えてくれた

 実は私は、最初の妊娠で流産を経験しています。子供を望んでいたものの、妊娠という事実に私の心が追いついていかず、「なぜ今のタイミングで? ああ、イタリアロケに行きたかったのに」なんて、自分中心に世界が回っていました。

 そんなある日、突然の大量出血。染色体異常の早期流産でした。痛い、痛い。辛い、辛い。なんでこんな思いをしなければいけないのかと、体をくの字に曲げて唸っていると、おなかまわりにじんわりとしたぬくもりを感じたのです。ピピちゃんでした。

 いつもは私の顔の横に来るのに、そのときだけはおなかに寄り添うように丸くなり、ぴたりと体をくっつけてくれた。そのとき、ようやく理解したんです。「私の心が準備不足だった。だから、まだお母さんになるには早いと教えてくれたのかもしれない」と。

 自分の薄っぺらさ、あさはかさ、すべてが情けなくて、ポロポロと涙が出ました。私のおなかにいたのは、欲しかったアイテムなどではなくて、かけがえのない命。その重さをピピちゃんが教えてくれたのだと思います。

 もちろんいろんな解釈があるでしょう。くの字になっていた私の体勢が、ただ寄りかかりやすかったのかもしれません。でも10年経った今でも、おなかに寄りかかることはない。あのとき“かけがえのない命の尊さ”を、ピピちゃんが教えてくれたのかなと感謝しているんです。

みんなで充電だ~
みんなで充電だ~

※第2回は1月2日公開です。

写真:浜島直子、浅井佳代子(プロフィール)
編集協力:本庄真穂

浜島直子
1976年北海道生まれ。「mc sister」の専属モデルとして18歳でデビューし、「LEE」では10年間専属モデルを務めた。2002〜2014年にTBS『世界ふしぎ発見!』にミステリーハンターとして出演したほか、テレビ・ラジオ番組で活躍。夫のアベカズヒロ氏との創作ユニット「阿部はまじ」として、絵本『ねぶしろ』『ねぶしろとおいしいまる』『しろ』(ミルブックス)を上梓。初随筆集となる『蝶の粉』(ミルブックス)が好評発売中。インスタグラム @hamaji_0912 でも日々の暮らしを発信中。

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この連載について
犬と猫とわたし
愛するペットと暮らすおしゃれなファッショニスタたち。犬や猫との忘れられないエピソードや日々のライフスタイルを語ります
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