親元に生後8週以上いた犬、攻撃性など問題行動の割合が減少
ペットショップなどで販売する子犬を生まれた環境から引き離すのは、生後7週目より8週目以降のほうが、成長後にかみ癖など問題行動を示す割合が減ることが、麻布大の菊水健史教授(動物行動学)の調査でわかった。
調査では、ペット店などで作る「全国ペット協会」に加盟する店舗で子犬を購入した飼い主に実施したアンケート(有効回答・4033匹分)を統計的に解析。その結果、繁殖業者から生後50~56日で出荷された子犬と生後57~69日で出荷された子犬を比べると、成長後の「見知らぬ人に対する攻撃性」や「家族への攻撃性」などの問題行動の程度に「有意な差があることが証明された」(菊水教授)という。
菊水教授は「統計的に、引き離し時期を8週齢以降にすることによって問題行動の程度に差が出ることが明らかになった。ただその差は小さかったため、犬が母胎内にいる時期や出生初期の環境、遺伝などが問題行動の発生に強い影響を持っている可能性も研究していく必要がある」とする。
動物愛護法は生後56日以下の犬猫を販売目的で生まれた環境から引き離すことを禁じているが、現在は付則で「49日」に読み替えられている。今年は動愛法の見直し時期に当たり、超党派の国会議員らが本則通りの「56日」が適用されるよう法改正を目指している。
統計学に詳しい東大社会科学研究所の佐々木彈(だん)教授(経済学)は、「有意差が出た事実は非常に重い。生まれた環境に現行法より1週間長くいることで、攻撃性などの問題行動を低減させられるという調査結果は、社会政策を考える上で大きな意味がある」と指摘する。
欧米先進国の多くでは、8週齢(生後56~62日)未満の子犬を販売目的で生まれた環境から引き離すことを禁じる「8週齢規制」が導入されている。
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