保護犬に見た亡き愛犬の面影 預かりボランティアで、離れがたく
![散歩コースのそばのカフェで](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/0bca-l/picture/10574311/9ebc5ca8264ed0ff59d876be30f23743.jpg)
東京都内に住むYuhaさんと保護団体のミグノンとの出会いは、16歳まで生きた愛犬のシーズーとの別れがきっかけだった。
(末尾に写真特集があります)
「犬の16歳は、長生きで大往生だったのですが、やはり失った悲しみは大きくて。いわゆるペットロスですよね。ただ、すぐに新しい子を迎える気にもなれず、でも、犬には触れていたい。それでインターネットで知ったミグノンでボランティアをすることにしたんです」とYuhaさんは振り返る。
一般社団法人「ランコントレ・ミグノン」は、常時ボランティアを募集している。シェルターにいる犬猫の世話、一時預かりボランティアなどだ。Yuhaさんは、現在の北参道に移転する前の中野のシェルターに2013年から通い、ボランティアとして保護犬・保護猫たちの世話をしていた。そこで出会ったのが、オスのシーズーミックス「さじ」だった。
「小型犬だし、人懐っこいし、すぐに飼いたいという人が見つかりそうですが、『さじ』は動物愛護センターに長くいたようです。『さじ』という名前は、ミグノン代表の友森さんがセンターから引き取った当初につけた名前です。センターからミグノンに来たときは、すごく痩せていて、あばらが透けて見えそうでした。『さじ』はミックス犬ですが、前に飼っていたシーズーの面影と重なり、なんとなく気になる存在でした」
Yuhaさんは、ミグノンに通って世話をするだけでなく、「さじ」を自宅で預かる「預かりさん」になることにした。
「預かった保護犬の新たな家族をみつけるため、預かりボランティアの手元からも月に2度行われているミグノンの譲渡会に出席させます。最初に譲渡会に出した時は、『さじ』と暮らしてくれる家族が見つかるといいな、と思っていましたが、2度目以降は『さじ』に家族が見つからないことに、ホッとしている自分がいて。うちで一緒に暮らそうと決めたんです」
![ソファでくつろぐさじ](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/3057-l/picture/10574312/527b58aba3aea946fbf768e9a5392500.jpg)
人が好きな『さじ』だったが、家族に迎えて最初のうちは「のびのびしていいんだよ」と言っても、うずくまって寝たり「きついまなざしで人を観察しているようだった」。全くほえず、あまりに声を出すことがなかったため「この子は声帯を取られているんじゃないか」と疑ったほどだった。だが、最近では徐々に思ったこと(不満や要求)を声に出したり、甘えてキュンキュンいうこともあるという。
「人がそばにいないとすごくさみしがって、最初は留守番も全くできませんでした。留守番をさせると、前脚を血が出るまでかんでしまったり、部屋中のいろんなところにオシッコをしていたり。少しずつ、もう一人ぼっちにはさせられない、必ず帰ってくる、ということが理解できたようで、最近は4〜5時間ならいい子で待っていてくれます。出かける前の、置いていかないで、のアピールはすごいですが……」
散歩の時も、ちゃんとYuhaさんが一緒にいるかどうかを振り返り振り返り、確かめるように歩く。
「分離不安は残っているようですが、5〜6歳という成犬で私たちと家族になったにもかかわらず、日々成長しますし、甘え方が増してくるのも可愛くて仕方がありません。夫が自己流で『さじ』にマッサージをするので、スキンシップもより好きになったようです」
いまの『さじ』の家族は、決して置いていったり、さみしい思いをさせたりすることはない。目いっぱい甘えさせてくれる家族と一緒に、幸せなおじさん犬ライフを満喫してもらいたい。
(新海三太)
<さじの出身団体>
一般社団法人 動物愛護団体 Rencontrer Mignon(ランコントレ・ミグノン)
ミグノンでは、東京都動物愛護相談センターから犬猫、ウサギなどを受け入れ、動物たちが新しい家族と出会えるように毎月第2日曜日と第4土曜日に譲渡会を開催するなど、さまざまなイベントを企画しています。
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-3-5
mail:info@rencontrer-mignon.org
HP: http://rencontrer-mignon.org/
![「それ、おやつですか?」](http://p.potaufeu.asahi.com/sippo-c/26ef-l/picture/10574313/74044bc1012eb80a92fca747a1f0e627.jpg)
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