“歌う飼育員” 生き物へ思い込めてトーク 東山動植物園

ザリガニに関するクイズを出す片岡裕貴さん=名古屋市千種区
ザリガニに関するクイズを出す片岡裕貴さん=名古屋市千種区

 開園80周年を迎えた東山動植物園(名古屋市千種区)で、歌う飼育員の「アニマルトーク」が人気だ。ザリガニ担当の片岡裕貴さん(32)が、替え歌と軽快な話術で笑いを取る。「生き物の気持ちになって接してほしい」。トークにはそんな思いが込められているという。


 4月上旬並みの暖かさとなった19日。園内の「世界のメダカ館」前に60人ほどの人だかりができていた。観客の手拍子に合わせ、片岡さんが歌う。「ザリガニの体の色は食べ物で赤くなるよ~♪」


 前奏を口ずさんだり、声色を変えたり。かと思えば、手作りの段ボールのフリップを手に、生態に関する選択クイズを出す。子どもが選択肢にない答えを叫ぶと、「いいよ~、工夫が大事だね」。30分でクイズ4問を出し、3曲歌う。実際に、ザリガニに触ってもらうことも。


「伝えたいから、飽きさせないことにこだわる」。臨場感あふれるトークに何度も笑いが起きた。子どもたちは「歌が楽しかった」「おもしろかった」と笑顔を見せる。動物の生態や特徴を紹介するアニマルトークは、「秋まつり」や「春まつり」など園のイベント中に開かれる。内容は各飼育員の裁量任せだ。


 片岡さんは小さな頃から、「目立つのが好きだった」という。2009年に園の飼育員になり、クロサイやカバを担当。2年目のとき、落ち着きなく動き回りながらエサを食べるクロサイを見た先輩が「怖がっているのかな」と言ったことを覚えている。


 警戒心が強いクロサイは走り回るものと思っていた片岡さんだったが、「言葉が通じない中で、相手の気持ちを考えて接することが大事」と気づいた。手探りで相手に寄り添い、気持ちが通じたと思えた時の喜び。それを子どもたちにも知ってほしいという。


 最初はフリップを手作りし、クイズを出していた。マレーバク担当に変わり、インドサイ担当の先輩と、どちらが来場者を引きつけられるかを競おうと歌を作ったのが今の歌うスタイルの始まりだ。「お客さんが途中で去ると傷つく」。そう笑う片岡さんは最後まで楽しみながら聞いてもらうために日々思案する。喫茶店ではノートとにらめっこ。愛犬の散歩中にフレーズを思いつけば、スマートフォンに録音する。そうやって持ち歌を増やした。


 アニマルトークの最後は「We Are The World」の替え歌「We Are The ザリガニ」で締める。「みんな気持ちを持って生きているんじゃないの~、きっと僕もあなたたちさえもある意味ザリガニと一緒じゃないの~♪」


 片岡さんの次回のアニマルトークは4月8日午後2時から開かれる予定だ。


(浦島千佳)

朝日新聞
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