救助犬の捜索活動で「日頃の備えの大切さ痛感」 和歌山県

倒壊建物の中に人がいないか捜索する救助犬=17日、熊本県南阿蘇村、和歌山災害救助犬協会提供
倒壊建物の中に人がいないか捜索する救助犬=17日、熊本県南阿蘇村、和歌山災害救助犬協会提供

 熊本地震の被災地で行方不明者の捜索活動をしてきたNPO法人和歌山災害救助犬協会(本部・新宮市)の救助犬とスタッフが18日朝、和歌山に戻ってきた。犬を連れて回れる範囲はおおむね捜し終え、区切りをつけてきたという。「日頃の備えの大切さ」を改めて思い知らされたという榎本義清理事長(54)に活動を振り返ってもらった。
 

(末尾にフォトギャラリーがあります)
 

 最初の地震は14日午後9時26分に発生。先発隊(救助犬1匹、スタッフ2人)は15日午前2時半に、後発隊(3匹、2人)は16日早朝に和歌山を発った。
 

 15日にまず入ったのが、震度7の揺れに襲われた益城町。建物倒壊が相次いでいたが、あまり救助犬が活躍する場面はなかった。
 

「『行方不明者はもういない』ということだった。なぜかと関係者に尋ねると、近所のネットワークが密に出来ていて、住民同士で可能な限り建物から引っ張り出したから、と。応援に駆けつけた他県の人もみんな『益城の人のつながりは素晴らしい』と口をそろえていた。どこにどんな人が住んでいるか、顔の見える近所づきあいが災害救助の基本になる」
 

 建物の倒壊は局所的だった。1キロも離れると建物や道路に大きな被害は見えなかった。
 

「全崩壊したのは断層に近いところ。和歌山にも断層はある。どこを通っていて、自分の住んでいる地域はどうか、きちんと把握して備えておかないと」
 

 16日夕、大学生の住むアパートが倒壊したり橋が落ちたりと大きな被害が出た南阿蘇村へ。行方不明者の情報のあるところは他県の救助犬団体と手分けして回り、後は大量の土砂やがれきを重機で撤去する作業が中心になるため、17日夕に現地を撤収した。
 

 南海トラフを震源地とする巨大地震はいつ起きるかわからない。改めて日頃の備えの大切さを痛感したという。
 

「古い建物でも造りがしっかりしていれば完全にぺしゃんこにはならず、隙間ができたことで人が助かったケースがあった。やはり耐震化は大切。また、大災害が起きるとライフラインが止まる。水、食料をどう確保しておくか、いま一度考えないといけない。避難経路の確認など、命を守る日頃の備えについて見つめ直してほしい」
 

(東孝司)

朝日新聞
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