「これ臭うワンワン」元野良犬のビーグルいまや検疫探知犬
クンクンクン。持ち込めない食べ物が荷物に入っていませんか――。外国人旅客が急増する関西空港で、日本に持ち込めない肉製品や果物などを見つける検疫探知犬が大活躍している。中には野良犬から才能を見いだされた犬もいる。
(末尾にフォトギャラリーがあります)
関空第1ターミナルの手荷物受取所では外国からの旅客便が到着すると、ビーグル犬がちょこちょこ歩きまわる。ターンテーブルから移されるスーツケースや旅客手荷物を嗅ぎ、「怪しい」と感じると、荷物の横にお座りして、家畜防疫官に知らせる。
検疫探知犬は鳥インフルエンザなど家畜の伝染病や、農産物についた害虫が国内に入らないよう、肉製品や果物を見つけるのが役目。農林水産省動物検疫所関空支所によると、2005年に成田空港に導入され、関空には08年に2匹が来た。肉製品などを09年は約3・3トン、14年には約4・8トン見つけた。検疫探知犬のハンドラーで家畜防疫官の福田麻衣さん(31)は「旅行中の弁当やおやつ、日本へのお土産などとして、鶏肉やソーセージ、ジャーキーを持ち込む例が多い」と話す。
旅客も急増してきた15年5月、2匹が加わった。福田さんのパートナーのセシル(雄、3歳)は元々野良犬で、アメリカの動物保護施設に収容されていたところ、適性を認められ、検疫探知犬としてスカウトされた。渡米してハンドラーの訓練を受けていた福田さんは「頭も鼻も良く、ビーグル犬としては大柄なので高いところの荷物も嗅げる」とトレーナーから薦められ、日本に連れ帰った。
猟犬として知られるビーグルは嗅覚(きゅうかく)に優れる。22日夕、セシルが韓国便のスーツケースの横にお座りした。該当する食品はなかったが、旅客は「リンゴを入れていて、出国前に食べた」。「当たり」ならご褒美のおやつだが、わずかな残り香を逃さなかったことに、福田さんは「座っただけでも偉かった。言葉で思い切り褒めてあげます」。
関空では新年度にも検疫探知犬がさらに2匹増える予定。同支所は「検疫を知らずに持ってきてしまう外国人旅客も増えている。持ち込めない食品があることに注意してほしい」と呼びかけている。
(中川竜児)
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