命の恩人に「シャー」 猫には3日過ぎれば敵!?

内弁慶のモモ。よその人も猫も苦手
内弁慶のモモ。よその人も猫も苦手

 前回の続きです。

 

 ある日曜の昼下がり。我が家には、猫のモモの新旧飼い主3人が集合していました。

 

 一人は、モモが生後1か月ほどの頃、植え込みで鳴いていたところを保護したマダムAさん。

 

 もう一人は、モモたち猫の里親捜しをしながら、2~3カ月間面倒をみていたNPO団体代表の女性。

 

 そして、今の飼い主の私。

 

 モモが拾われたときの思い出話をしたり、もう1匹の猫あんずと遊んだり、和やかに時は流れていきました。

 

 しかし、その日の会話の真ん中にいるはずのモモは、チャイム音とともに机の下に隠れたっきり、物音ひとつ立てず、出てくる気配すらありません。

 

 たまりかねた私は、モモを呼びにゆきました。

 

「モモちゃーん、おーい出ておいで~ Aさん来てくれたよ~」

 

 モモが隠れている机の裏をのぞき込むと、目を光らせ、身体を縮め、警戒心まんまんです。

 

 おいおい。現・飼い主のメンツをつぶすなよ。

 

「命の恩人なんだからね~ 出てきて元気なお顔見せなさい」

 

 ちょっと命令口調で呼んでみたけど、やっぱり出てきそうにない。

 

「もう、出てきなさいよっ」

 

 強制執行だ。前脚をつかんで、ずるずる引っ張り出しました。

 

 すると、顔をそむけてイヤイヤしながらも、されるがままに出てきたモモ。おとなしい性格なので、基本的に暴れないところがカワイイ。

 

 そして、Aさんの前にモモを連れて行き、私がだっこした状態で顔を見せました。

 

「あら~」

 

 Aさんは少し目を潤ませ、「毛ヅヤもよくなって、元気そう」

 

 そっと触れようとしましたが…

 

「シャー!」

 

 突然、野生に戻ったモモ。

 

 動物大好きとはいえ、突然のことに驚くAさん。

 

 声の威嚇だけで、ひっかいたりはしなかったけど、じたばたと全身でAさんを拒絶しました。普段はおとなしいくせに、こんな時だけ……。

 

 さっきまでの和やかムードが一転、気まずい空気が流れました。

 

 じたばた暴れるモモを手放すと、一目散にまた机の裏に戻っていきました。

 

「すみません…内弁慶で」

 

 Aさんに謝ると、「元気そうでよかった」と、寛容に受け止めてくださいました。

 

 2人を見送ったあと、モモは警戒しながら机の裏から出てきました。

 

「モモ! Aさんが世話しなかったら、あんた死んでたんだからね! それなのにシャーって! 悪いよ!」

 

 恩知らずを非難しましたが、当のモモはまったく意に介さず、家人以外の人間がいなくなったことにすっかり安心して毛繕いなどしておりました。

 

『猫は三年の恩を三日で忘れる』

 

 ことわざは真実だと思い知らされました。

 

 たとえ命の恩人でも、3日過ぎればただの他人。というか、むしろ敵。それが、猫なんでしょうか……。

 

(ヤスダユキ)

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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