子猫の殺処分、歯止めを 広がる野良猫の避妊・去勢

殺処分用のケースの中で身を寄せ合う子猫。生後間もない猫は飼育が難しく、殺処分されることが多い=静岡県浜松市西区の県動物管理指導センター
殺処分用のケースの中で身を寄せ合う子猫。生後間もない猫は飼育が難しく、殺処分されることが多い=静岡県浜松市西区の県動物管理指導センター

 路上で捕獲されたり、保健所に引き取られたりして殺処分される猫が絶えない。静岡県内で昨年度に殺処分された猫は2484匹。うち9割近くが生後90日以内の子猫だった。歯止めをかけようという自治体や民間団体の動きが活発化している。

 静岡県浜松市西区の県動物管理指導センター。約50センチ四方の箱の隅で十数匹の子猫が身を寄せ合っていた。いずれも路上などで捕獲されたという。新しい飼い主に引き取られる猫もいるが、多くの子猫は数日後に高濃度の二酸化炭素ガスで殺処分される。

 静岡県動物保護協会によると、昨年度の犬の殺処分数は181匹。2006年度の約10分の1にまで減った。猫の殺処分数も減少傾向にはあるが、犬と比べると依然、多いままだ。

 猫の殺処分の多さには、理由がある。協会によると飼い犬は狂犬病法に基づいてすべて登録が義務づけられているが、飼い猫には登録の義務はなく、野良猫にえさをやる人も少なくない。1匹の母猫から1年間に20匹以上の子猫が生まれることもあり、避妊や去勢手術をしないと野良猫はいくらでも増えるという。

 そこで静岡市は4月から野良猫に対する避妊・去勢手術への補助金を増やした。市獣医師会も協力し、雌猫の避妊は7千円、雄猫の去勢は5千円と、以前より3千円ずつ安く手術ができるようになった。同種の制度は県内24の市町が設けている。

 民間団体の活動も広がっている。静岡県菊川市の市民グループ「テイルズ・アニマルコネクション」は野良猫を捕らえて、避妊・去勢手術後にすみかに戻す「TNR活動」を続けている。TNRとは〈trap=捕獲、neuter=不妊・去勢、release=解放〉の頭文字。永田千秋代表(53)は「無責任に野良猫を繁殖させてはいけない」と話す。

 TNR活動は1997年に横浜市磯子区のグループが始めたのが最初とされている。県動物保護協会によると県内でも十数団体がTNR活動に取り組み、互いに交流もしている。

 静岡県掛川市を中心に活動する八重樫隆子さん(64)は「10年ほど前は、犬や猫に避妊手術などでお金をかけることに抵抗を感じる人が少なくなかったようだが、確実に意識は変わってきている」と話す。県内の猫の殺処分数も1万匹近かった2006年度に比べれば大きく改善してきた。

「まんまる犬猫病院」(静岡市駿河区)の長南孝司代表(40)は「個人で野良猫を捕獲し、手術を受けさせる人もいる。猫が好きで、無用な殺処分を増やしたくないという考えからだと思う」と話す。

 テイルズ・アニマルコネクションの永田代表は「殺処分は最後の手段。どうしても飼えない場合は捨てるのではなく、飼い主が殺処分される所まで届けるべきだ」と訴えている。(森岡みづほ)

朝日新聞
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