犬の殺処分、挑む「ゼロ」 PWJ、西区に譲渡センター

災害救助犬として訓練を受けている夢之丞(右)と、既にいつでも出動できるハルク=広島県神石郡神石高原町の仙養ケ原のがれき訓練場
災害救助犬として訓練を受けている夢之丞(右)と、既にいつでも出動できるハルク=広島県神石郡神石高原町の仙養ケ原のがれき訓練場

 広島県神石郡神石高原町に本部を置くNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ、大西健丞代表)が4月、広島市西区に捨て犬や迷い犬の新たな飼い主を探す保護犬譲渡センターを開いた。PWJはこれまで200匹以上の犬を保護して譲渡先を探し、災害救助犬や心を癒やすセラピー犬にも育ててきたが、犬の殺処分ゼロを目指し、新たな仕組み作りに挑む。

 標高約700メートルにある神石高原町のリゾート仙養ケ原(せんようがはら)ふれあいの里。その一角に、保護犬用の犬舎や災害救助犬の訓練場のほか、芝生と森、池のある計3本のドッグランコースや、犬も入れるカフェなどをPWJが運営している。

 PWJは1996年の創設以来、紛争や災害、貧困などで生命や生活が脅かされた世界各地の人たちに支援活動をしてきた。その一環として、2010年秋から神石高原町で、被災地支援に必要な災害救助犬の育成を始めた。

 救助犬の候補として育て始めた4匹は、広島県三原市にある県動物愛護センターから引き取った殺処分される直前の捨て犬だった。そのとき、国内で大量の犬や猫が殺処分され、とりわけ県内の犬猫の殺処分数が全国でも上位にあると知り、広島から犬の保護に乗り出すことにした。

 プロジェクト「ピースワンコ・ジャパン」と名付け、災害救助犬の育成や犬の保護をスタート。犬の楽園作りも目指し、ふれあいの里のドッグランで一般の飼い犬を遊ばせる活動もしている。

 12年7月から4月末までに保護した犬は233匹。うち17匹は元の飼い主に戻り、83匹は新しい飼い主が見つかった。現在、PWJの下に約120匹がいる。

 最初に県動物愛護センターから引き取った和犬の雑種「夢之丞(ゆめのすけ)」は好奇心の強い性格で、いまも災害救助犬として訓練中だ。同時に引き取った和犬の雑種の「リーベ」は温和な性格だったため、高齢者の心を癒やすセラピー犬に育てた。他の数匹とともに町内の老人施設を2週間に1回程度訪問している。

 広島市西区に開設した保護犬譲渡センターは、人と犬の出会いの場だ。商業施設の広島マリーナホップ内の約60平方メートルのスペースに犬5~10匹とスタッフが詰め、引き取り手を待っている。開設から約1カ月半で、すでに14匹が引き取られたという。

保護犬譲渡センターでは、かわいい犬たちが引き取り手を待っている=広島市西区の広島マリーナホップ
保護犬譲渡センターでは、かわいい犬たちが引き取り手を待っている=広島市西区の広島マリーナホップ

 一方で、災害救助犬の育成も進んでいる。災害現場への出動態勢を整えるため、本格的な救助犬の血筋を持つゴールデンレトリバーの「ハルク」を導入。藤崎啓トレーナー(29)との訓練で既に災害地に派遣できる状態だ。

 県によると、12年度の犬猫の殺処分数は7226匹(犬2229匹、猫4997匹)。プロジェクトリーダーの大西純子さん(42)によると、昨年9月に千日後に県内の犬の殺処分をゼロにする「1000日計画」を始め、300匹近く受け入れられるように保護施設を拡大するという。夢之丞も災害に派遣できるようになりつつあるという。大西さんは「動物に優しい社会にしたい」と話す。

 同プロジェクトへの問い合わせは、PWJ災害救助犬訓練センター(0847・89・0039)へ。(竹久岐史)

(朝日新聞2014年5月24日掲載)

朝日新聞
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